XフォトグラファーDavid Anthony Williamsが語るGFXで撮るポートレート写真

2017.09.01

富士フイルムのGFX 50を使って仕事をするのは、エキサイティングなことでしたが、その理由は私の場合少し変わっているかもしれません。
私は、大判フィルムカメラ、特に6x6のスクエアフォーマットを好んで、20年仕事をしてきました。あまりにスクエアフォーマットに慣れすぎてしまって、デジタルへ移行してから今日に至るまで横に長い長方形のフォーマットに戸惑いを未だ感じるほどです。

X-Pro2を使うと撮影中もスクエアフォーマットで構図を決めることが出来ます。それと、とても上質なモノクロフィルムシミュレーション「ACROS」を使うことで、Xシリーズで撮るポートレート写真の仕上がりはグッと高まります。

「なぜ私にとってフィルムシミュレーションが重要だったのだろうか?」富士フイルムのカメラは、優れた品質のJPEGファイルで常に高い評価を得ています。 他のカメラメーカーにとっては、JPEGファイルは妥協の対象となり、RAWファイルが画像を完成させるための「選択の手段」として扱われます。

では、完全に制御された環境で撮影をするとどうでしょうか? もしJPEG画像の画質が自分が必要とする最終的な仕上がりと同等だったら?GFXで撮るJPEG画像は、まさにこれです。RAWはバックアップとして記録するだけです。 富士フイルムのJPEGファイルが持つシャドートーンのリッチな情報量に私はいつも驚かされます。
GFX 50について私が驚いたのは、コンパクトなサイズでした。確かに、大判フォーマット用レンズを装着すると存在感はもちろんありますが、ボディはとてもコンパクトです。
私にとって決め手となったのは美しいデザインのビューファインダーアダプター(EVFチルトアダプター)。アダプターを使うことでカメラを三脚に載せ操作する時、快適性が大幅に向上します。ウェイストレベルからファインダーを覗き込むこともできますし、 45度の角度をつけてファインダーを使うこともできます。 背面モニターとビューファインダーが自動的に切り替わるのもとても実用的でかつ高速です。

ほとんどの撮影はGFXを三脚に設置して行いました。とは言え、アクセサリーの縦位置グリップを装着すると操作性はとても向上します。手持ちが基本となるウェディングでも問題なく使えるでしょう。
俳優のバックステージをイメージして撮影をしてみました。
撮影場所は、私が住むビルの駐車場です。ゴミ箱を移動して日常生活要素を取り払い、看板やグラフィティといったセットを準備しました。

モデルは、ドンキホーテの衣装を身に着け、メークも決めました。17世紀の衣装をまとったモデルがスマートフォンを手に持っている違和感がこの写真のポイントです。
メインライトは、Westcott Apolloライトモディファイアを通したPhottix Indra 500スタジオライト。ライトとモデルの間に遮光板を置くことで、モデルの白い袖に光が当たらないように調整しました。 Phottix Mitros +ユニットは、モデル頭周辺のハイライトをもたらします。補助光は、駐車場の光を活用しました。 カメラを三脚に置き、シャッタースピードは1/125秒、絞りはF13、感度はISO 800に設定しました。レンズは、GF120mmF4マクロレンズを使用しました。

シドニーのポートレートは、シャッターを切る前に、画面表示をスクエアフォーマット・アスペクト比に切り替えて、フィルムシミュレーションに合わせてモノクロで撮りました。撮影後に撮った画像を確認してみるとそれはまさに画面に表示されたのと全く同じものが映し出されました。GFXのハイライトとシャドートーンともにとにかく粘ります。それになめらかな階調も素晴らしいです。

お気に入りのGF110mmF2で撮った一枚です。シャッタースピードは1/125秒、絞りはF9、感度はISO200に設定しました。Westcott Apolloライトモディファイヤーを通したPhottix Indra 500のライトを使いました。

GFXは、私が求めていた大判カメラなのだろうか?と質問されると、答えは「イエス」。それ以上のカメラだと思っています。GFXの解像度は6192x8256ピクセル。だいたい111MBのRAWファイルになる計算です。ですが、それだけではありません。GFXは、大判カメラならではのなめらかな階調と描写力を兼ね備えています。それは、小さいフォーマットでは成しえないことです。。

フィルム時代の大判カメラよりも良いのでしょうか?私の答えは「もちろんイエス」です。

トロント、カナダより