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2012.12.02

赤城耕一によるXF35mmF1.4 Rのレビュー

35ミリ判換算で50ミリレンズ相当の画角が得られる、正統派標準大口径レンズであるが、実焦点距離が35ミリと短いので、少し絞り込むだけ でパンフォーカス効果を得ることができる。過剰な絞り込みによる画質低下が避けられる。標準レンズは絞り込めば広角ふうに、絞りを開けば、望遠ふうにみせ ることのできる万能レンズとして重宝されるが、各種交換レンズを選択する場合の基準になるわけだ。

絞りを開いて、被写体に近づき、背景をボカすことによって、疑似的な中望遠レンズふう作画を狙った。曇天の光の鈍い状態であるが、このレンズ は丹念に光を集めてくれる感じである。コントラストが高く、クリアな描写であることに感心する。被写体のディテール再現も素晴らしい。合焦点のシャープネ スと、背景のボケの優しさという、レンズにとっては背反する要件を見事に納めている

老舗の銀座のバーのママさん。微量光下でのスナップポートレートで、光はストロボなどの補助光を使用せず、その場にある室 内光だけを利用した、いわゆるアベイラブルライトフォトである。タングステンライトや蛍光灯が混在する条件だが、再現は見た目に非常に近い。大口径レンズ なので、極端にISO感度を上げることなく、手ブレの心配のないシャッター速度が得られたのはありがたい。

X-Pro1をマクロに切り替えて花を撮影してみた。極端な絞り込みを避けて、主題となる花の部分のみが浮き立つように絞りを決めている。大口径レンズは近接撮影時には性能がやや落ちるのが普通だが、本レンズはシャープネス、コントラストともに、まったく問題なく使用することができる。マクロ撮影時にはX-Pro1本体のファインダーをEVFに切り替えたほうが正確なフレーミングと合焦確認を行うことができる。

町歩きのお伴にも本レンズは適している。極端なパースペクティブがつかないこと、歪曲収差の補正もよいので自然な描写を得ることができる。コ ンクリートやガラスといった無機的な被写体の再現に関しても、質感描写に優れた性能を発揮するのはよい。基本的には絞りによる性能変化は小さいレンズであ るが、少し絞り込むと驚くほどのシャープネスを得ることができる。まさに万能的なレンズである。

ズームレンズ全盛の時代である。単焦点レンズの存在は時として軽んじられてしまうことがあるが、自分の基準となる固定された視角は絶対に必要だ。
自分の好きなモチーフや撮影条件によって、そこから望遠レンズ、あるいは広角レンズへと必要な交換レンズを認識し、揃えてゆくことが重要なのだ。ズームレンズを使用する場合にも、基準となる視角を持つことで、各焦点距離の描写の変化を知ることができる。
XF35mmF1.4Rは、正統派の大口径標準レンズとして、XFレンズシリーズの根幹となる非常に重要な役割を担っているのである。