2012.12.18 Norifumi Inagaki

稲垣徳文によるXF18-55mmF2.8-4 R LM OISのレビュー

Norifumi Inagaki

1970年東京生まれ。新聞社出版写真部の嘱託カメラマンを経てフリーに。中国シルクロードをはじめ、南極など訪れた国・地域は50カ国を越える。写真集『大陸浪人』、フォトエッセイ『旅、ときどきライカ』などを出版。日本写真協会会員。

XFレンズ初のズームレンズは軽快感ある撮影を可能にしてくれる。35mm判換算で広角27mmから中望遠84mmの焦点距離は、旅先でのスナップ撮影はもちろん、風景やポートレートまで使用頻度の高い領域をこれ一本でカバーできる。

レンズ交換をすることなく多くのシャッターチャンスをモノにでき、今回の撮影では単焦点レンズを使っているときよりも多彩な作品を撮影できた。
X-E1ボディとの組み合わせでは660g。数値以上のフットワークのよさを実感できるだろう。

行き交う人々のシルエットが美しかった。いつもなら撮影をあきらめてしまうような暗い屋内でも、手ぶれ補正機能を活かして撮影できた。やはりこんなシーンでは、手ブレ補正機能はありがたい。X-E1は高感度にも強いが高感度に頼らない撮影が可能になるのだ。

いつもなら撮影はホテルに荷物を預けてから始めるが、ボディ+レンズというシンプルな機材だから日本から到着したばかりの空港ロビーからスタートできた。暗いシーンでも諦めることなく、新たな撮影のイメージが膨らむ。

広角のパースペクティブを活かし、被写体にグッと寄って撮影した。
猫のガラス玉のような瞳、毛の一本一本まで、すばらしい解像力だ。背景の木立も柔らかで自然にボケている。点光源のような木漏れ日も画面周辺部まで歪まずに真円を描いている。収差を抑えた優れたレンズ性能を実感できる。
これなら、これまでの単焦点レンズのユーザーでも満足できる描写力だろう。

望遠側の立体感ある描写にも驚いた。
被写界深度の浅くなる望遠側でもあまり絞り込むことなくシャープで解像力のある描写を期待できる。また、テレ端の84mmという焦点距離はポートレート撮 影にも最適で、バストアップから表情のクローズアップまで、ポジションを変えることなく撮影が可能だ。テレ端の開放値はF4。柔らかで素直なボケが期待で きる。
モデルとの会話も自然にできる距離感だからとても使い易い。

モデル:OLGA NUNNINKさん
http://olnuzola.com/

1/3EVステップできめ細かな設定が可能な絞りリングも魅力のひとつだ。
ズームレンズは焦点距離に合わせて被写界深度をコントロールすることも多い。
絞りリングがレンズにあるおかげで、ファインダーを覗いたまま絞りの設定変更も可能だ。
被写界深度を深く設定していたスナップからポートレートを撮影するため絞りを開け背景を柔らかくボカす。そうした一連の動作も瞬時にできる。単焦点レンズと変わらない操作性、最適化されたクリック感も心地いい。
解像力や描写力はもちろん、携行性や操作性にまでこだわりを感じる、まさにXFレンズらしいズームレンズだ。

1/3EVステップできめ細かな設定が可能な絞りリングも魅力のひとつだ。
ズームレンズは焦点距離に合わせて被写界深度をコントロールすることも多い。
絞りリングがレンズにあるおかげで、ファインダーを覗いたまま絞りの設定変更も可能だ。
被写界深度を深く設定していたスナップからポートレートを撮影するため絞りを開け背景を柔らかくボカす。そうした一連の動作も瞬時にできる。単焦点レンズと変わらない操作性、最適化されたクリック感も心地いい。
解像力や描写力はもちろん、携行性や操作性にまでこだわりを感じる、まさにXFレンズらしいズームレンズだ。