2023.10.26 Claire Rosen

GF30mmF5.6 T/S: Shifting Reality

Claire Rosen

ファインアート写真家Claire Rosen氏は、FUJINON GF30mmF5.6 T/Sを駆使しこれまでにない手法でティルトシフト写真を撮影する。

Claire Rosen氏にとって、写真とは逃避である。彼女の夢幻的な世界は見る者をファンタジーの世界へと誘い、退屈な日常からの脱却をもたらすのだ。

「目を見開き、非日常的で興味深いものを探しながら世界を見るのは極めて特殊な方法だと思う。他のことをするよりも、はるかにこのほうがいいわ」とClaire氏は語る。

写真を通して想像力を掻き立てたいというClaire氏は、FUJINON GF30mmF5.6 T/Sを新たな創作方法を探求する絶好の機会と捉えた。

「ティルトシフトや視点の切り替えだけでなく、歪みを生み出し、レンズを通して何か不思議なものを形作ることで、観客を既存の2Dイメージから引き離すことができるの」と彼女は説明する。

Photo 2023 © Claire Rosen | FUJIFILM GFX100S and FUJINON GF30mmF5.6 T/S, 1/125 sec at F5.6, ISO 320

新たな視点

作家であり自然保護活動家でもあるBeatrix Potter氏の人生と作品に大きな影響を受けたClaire氏は、独自のファインアートフォトグラフィースタイルで自然保護への関心を喚起するため、GF30mmF5.6 T/SとFUJIFILM GFX100Sを組み合わせた。

「Beatrix Potterの大ファンで、いつも刺激をもらっているわ」とClaire氏はほほ笑む。「私が住んでいる農場は約1,000エーカーの保護区に取り囲まれているの。同じような美学や物語を使って、もっと気まぐれで面白い方法で土地の保護について語るという発想に惹かれたわ」。

Photo 2023 © Claire Rosen | FUJIFILM GFX100S and FUJINON GF30mmF5.6 T/S, 1/125 sec at F11, ISO 250

「リアリティを歪めるか、あるいは増長させることができるようなシナリオを選ぼうとした」。

その中にはモルモットが庭の手入れをしたり、2匹の悪いネズミが人形の家で食器を壊したりするミニチュアの世界への入り口や、 天井の高い納屋でのユニコーンとの不思議な出会いといった広めの構図、夢のような起伏のある風景の広大なパノラマなどが含まれる。

いずれの場合も、Claire氏はGF30mmF5.6 T/Sの24mm相当の広い焦点距離と高度なティルトシフト機能が理想的だと感じた。このレンズは最大15mmのパースペクティブコントロールと、極めて微細な調整のために精密に設計されたダイヤルを使用した最大90°の回転ティルトシフトコントロールを提供する。

「モルモットの画像はかなり低いアングルから撮影したので、周囲の構造物がまっすぐに見えるようにティルトシフト機能を使用した」とClaire氏は言う。「でも同時に、エッジのフォーカスを振り切るためにも使ってみたわ。そうすることで、まるでこの小さな世界を覗き込んでいるような感覚になるの」。

Photo 2023 © Claire Rosen | FUJIFILM GFX100S and FUJINON GF30mmF5.6 T/S, 1/200 sec at F5.6, ISO 160

また、GF30mmF5.6 T/Sは内蔵センサーを搭載しており、レンズキャストキャリブレーション(LCC)ツールを支援するための調整を追跡・記録する。このような正確なパースペクティブ補正と組み合わせることで、結果的にポストプロダクションの効率的な作業フローが実現する。

Claire氏にとって、この効果はパノラマを作成するときに特に顕著であった。さらに、このレンズに内蔵された三脚座によって、光軸が常に中央に保たれたという利点もあった。

「一カ所にとどまって、あちこちに動かすだけでよかったわ」と彼女は振り返る。「ポストプロダクションでつなぎ合わせるのはとても簡単で、歪みも編集もほとんどいらなかった」。

「アスペクト比が広いほうが好きだわ。視線の運び方が違うから、絵の中を独特の感覚で旅することができる」。

Photo 2023 © Claire Rosen | FUJIFILM GFX100 II and FUJINON GF30mmF5.6 T/S, 1/50 sec at F10, ISO 400

クリエイティブの自由度を保つ

Claire 氏の撮影スタイルは、多忙で厳しい条件下でのロケが多い。頑丈なだけでなく、直感的に操作できる機材が不可欠だ。

彼女にとって、GF30mmF5.6 T/S、そしてより広いGFXシステムは、まさにそのような役割を果たしているという。「富士フイルムの機材で気に入っている点は、カメラについて考える必要がないこと」と笑顔で話す。

「物語や小道具、そしてこれらの世界を構築することに重きを置いているの」と彼女は続ける。「常にいろいろなことが起こっていて、しばしばカオスな状態になるわ!だからこそ、私が一番心配したくないのはカメラが動くかどうかや、どこに何があるのかを知るために複雑なメニューシステムを操作することなの」。

「GF30mmF5.6 T/Sは丈夫でよくできている。シャープで、ボケは滑らかで、落ち方も美しい。GFX100Sと組み合わせると使い勝手が良い。データはいつもすばらしいし、色もとてもきれい」。

Photo 2023 © Claire Rosen | FUJIFILM GFX100S and FUJINON GF30mmF5.6 T/S, 1/80 sec at F7.1, ISO 1250

限界突破

Claire氏はGF30mmF5.6 T/ Sでの撮影を続けたいと考えているようだ。多くのクリエイティブな機会を与えてくれたという。

「遠近感や フレーミングをこれほどまでに自由自在にコントロールできるのは、とても面白い」と彼女は主張する。

「移動することなくフレーム内にあるもの以上にキャンバスを広げ、それを簡単につなぎ合わせることができるのは重宝しているわ」。

「ミニチュアのセットであれ、大型のセットであれ、セットデザインの小さなディテールを際立たせ、魅せるという点で、得られる奥行きは信じられないほど素晴らしい」。

Photo 2023 © Claire Rosen | FUJIFILM GFX100S and FUJINON GF30mmF5.6 T/S, 1/125 sec at F5.6, ISO 400

Claire氏は最後に、GF30mmF5.6 T/Sは従来のティルトシフトレンズに期待される以上の用途があると感じていると明かした。

「純粋な技術的観点から言えば、このレンズは風景写真家やインテリア写真家の生活を百万倍楽にしてくれるだろう」と彼女は力説する。

「一方で、遠近感の限界に挑戦し、非現実的な写真を撮りたい人にも同様に魅力的なレンズだと思う」。

「このレンズは双方向で優れた性能を発揮するでしょう。一つは厳密で正確な画像を作成するため、もう一つはその逆で、遠近法を面白おかしくいじるため」。

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