X-H1開発秘話 #6 -オートフォーカス

本当にAFの性能向上というのは恐ろしい。
というか、AFの開発者の考えることは恐ろしい。
節目節目で”次のAFは進化しますよ”と報告してくれる。”まだ、次世代デバイスは出来てないだろう?”と尋ねる。”いや、新しいアルゴリズムが完成したんです”と言う。与えられたデバイスは、限界性能まで引き出しきらないと納得しないのだろう。

X-H1のAFは最大325点(13x25点)から選べる。しかしAF速度を重視するならばこの中でも位相差AFが効くセンター部分である13x13点の169点を使うことになる。AFレバーのおかげで操作感も上々。これだけ緻密に並んでいれば、まず間違いないところにフォーカスポイントを選択できる。

このフォーカスポイント内にある、位相差画素を使ってAFしてくれるというわけである。今回の新規アルゴリズムのポイントはここにある。 なにしろ、1つのAFポイント内には実に20,000ものPD画素があるのだ。(※フォーカスポイントのサイズがデフォルトの場合)そこから如何に情報を取り出してフォーカシングをするのか、その性能向上とは如何なるものなのかが、今回のテーマである。

まずフォーカスポイント内を5エリアに分割する。上下左右の4分割と、中心部分だ。(※中心部分は、上下左右の4エリアと共有部分がある)
基本的にはフォーカスポイントの中心に狙っている点があるはずだが、それでも抜けたりすることがあるためだ。これによって前ピンや抜けなどが回避できる。

そして5分割された領域内を、さらに4列に分ける。微細化に次ぐ微細化。これにより前述の前ピン・抜けなどを防ぎ、細かいテクスチャを持つ被写体も正確に把握できるようになるわけだ。

さて、この時点でのPD画素の数を数えてみる。5分割されたエリア内を4列にわけている、PD画素は20,000ピクセル。つまり20,000÷5÷4=1,000。1単位あたり1,000のPD画素を使って位相差情報をとる。数量としては十分であると分かるが、それをどう駆動させるかが筆者を驚嘆させた内容だ。

それは配置された1,000のPD画素を水平比較・垂直比較・二次元比較という3種類の駆動を行うというもの。

基本的には、位相差画素はA画素・B画素の2種類を1対にしている。水平方向に配置されているAB画素の位相差を測ることでフォーカスする。教科書にも載っている理屈だ。しかし、X-H1のような像面位相差センサーならば、さらに縦方向にあるAB画素の位相差を測ることもできる。これが垂直比較という方式だ。そして、さらに単位面積あたりのA画素すべて、B画素すべての位相差を測ることもできる。いわば面で比較しているわけだが、これを二次元比較と呼んでいる。

これら3種類の方式を考えたことだけでも驚くのだが、これを並列処理するというから呆れる。設計者は、 ”従来は、それぞれの方式の得失をかんがえて、二次元→垂直→水平の順で駆動させていました。でも、並列で処理することで、それらの得失を埋めあって、より精度の高い情報が得られることがわかったんです”と言う。

もう一度算数をやろう。1つのフォーカスポイントで、5分割x4ラインx3種類駆動=60。実に60種類もの信号を得ることで、AF性能は飛躍的に進化しているという理屈だ。スペックで言うと、従来は+0.5EVまでしか機能しなかったPDAFが-1EVの暗さでも機能する。そして、F11の小絞りまでサポート。小絞りとセットで覚えておきたいのが、高周波被写体にもタフになった。

かつて、AFの最速値はもう変わらない、肝心なのは最速値を発揮できる環境、つまりPDAFが駆動できる範囲を広げることだ、と書いた。X-H1でもそうだ。

 X­-Pro2 AFは速くなったのか?

案の定、X-H1を使ったX-Photographer達は”AFが速くなってる”と口を揃えていう。しかしAFの最速値は変わってない。変わったのは、最速値を発揮できるシーンが増えたことだ。彼らが撮るようなタフなシーンで、今回のアルゴリズムの効果が確認できたのは、喜ばしいかぎりだ。 Å


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