2023.06.30 Mindy Tan

X-S20: トラベル x Mindy Tan

Mindy Tan

新聞記者からキャリアをスタートしたドキュメンタリーフォトグラファー。ストリートフォトやトラベル、スポーツ、婚礼写真結など様々なジャンルの撮影をこなす。
「人」が彼女の写真のテーマ。アジアやヨーロッパの多くの街を訪問しその地に根付いた写真を撮る。代表作として北朝鮮・平壌で撮影したフォトエッセーがある。スポーツフォトグラファーとしては、北京パラリンピックをカバーした経歴を持つ。リー・クアンユーの死をテーマにしたプロジェクトは、シンガポールの国立博物館で展示されている。シンガポールの選挙をテーマにした本”Silenced Minority”も出版している。

X-S20 インプレッション

小型カメラにはどこか惹きつけられるものがあります。日常でも、特別な日でも、旅先でも、持ち主にカメラを持ち歩きたいと思わせることができれば、カメラはその目的のひとつを達成したことになります。X-S20は富士フイルムのレンズ交換式Xシリーズの中で、おそらく最も小型なモデルの一つです。

その小型さにもかかわらず、機能はX-T5やX-H2のようなXシリーズの上位機種と肩を並べるモデルです。カメラとしての基本的な機能はすべて備わっているのに飾り気がなく価格もはるかに安いため、多彩な性能を持つ機材として趣味人たちの想像力をかき立てています。

FUJIFILM X-S20 & XF50mmF2 R WR

もしあなたが写真愛好家なら、このカメラの画像解像度は6240×4160で、ほとんどのユーザーにとって十分な解像度だと言えるでしょう。6000ピクセルの幅の画像は、ホームギャラリー用の大きなプリントに簡単に変換でき、旅行画像や家族の瞬間を拡大するのに最適です。さらに、もしあなたがキットレンズの18-55mmしか持ち歩いていなくて、もっと近づきたいのであれば、画像のトリミングも可能です。

FUJIFILM X-S20 & XF50mmF2 R WR

休日カメラ

X-S20で撮影した1週間は、シンガポールを12時間かけてあちこち撮影しました。屋外で35度の炎天下での撮影でしたが、カメラのバッテリー寿命はなんとか持ちこたえました!写真撮影、ビデオ撮影、Vlogを織り交ぜながら、平均して8時間使用した時点でNP-W235バッテリーを交換する必要がありました。

日暮れまでには、2つ目のバッテリーの半分も消耗していなくて、まだまだ余力がありました。これはつまり、長旅の日にはカメラにバッテリーを1つ、バッグに予備を1つ入れて家を出るのが確実だというわけです。GFXを含め、これまで使ってきた富士フイルムのカメラの中で、最も優れたバッテリー寿命でした。

FUJIFILM X-S20 & XF33mmF1.4 R LM WR

撮影枚数だけでバッテリー駆動時間を判断するのは正確ではないと私は思っています。カメラが動作する環境を考慮しなければなりません。また、ピントを合わせてもシャッターを切らないこともあるだろうし、そういったこともパワーを消耗します。

X-S20は軽量でバッテリー駆動時間も長く、休日に最適なカメラですから、まずは私が住んでいる、世界有数の観光地である街のツアーから始めましょう!

FUJIFILM X-S20 & XF33mmF1.4 R LM WR

今回のビデオでは、60から80の取材先を候補に挙げていました。私が考えていたのは、古いコーヒーショップやホーカーフードなど、生きた歴史のある「ホンモノ」の国を探検することでした。シンガポールは旅費が高いという定説を覆したかった。きらびやかさを求めるなら、確かにそのとおりと言えます。このビデオは旅行記であり、内側からのツアーであり、純粋なシンガポールを映し出すものです。

X-S20はサイズが小さいため、旅行カバンの中に2本の単焦点レンズを入れることができました。もっと重量にこだわるなら、18-55mmと予備のバッテリーを1日中持っているだけで満足できたでしょう。

FUJIFILM X-S20 & XF14mmF2.8 R

基本的にX-S20は、XF16mmF2.8、XF35mmF2、XF50mmF2といったF2単焦点レンズシリーズと相性がいいと思います。 これらはカメラ前部の重量とレンズの重量が均等に分散されるため、操作性に偏りを感じさせません。

FUJIFILM X-S20 & XF33mmF1.4 R LM WR

フィルムシミュレーションの完全体

X-S 20を手に入れることの最大の喜びは、最新のNostalgic Negativeを含む全てのフィルムシュミレーションを手に入れることができることです。最初はGFXカメラにしか搭載されていなかったこの機能が、今では富士フイルムの最新カメラにも搭載されているのです。「生きがい」と言っていいかも知れません。どうしてこんなに小さなカメラで、こんなにパンチがあるのでしょうか?

FUJIFILM X-S20 & XF23mmF1.4 R

シンガポールの澄み切った青空の下、私は新しいフィルムではなく、富士フイルムのお気に入りのフィルムシミュレーション、クラシック・クロームにこだわりました。赤道直下の光には必ずしも適しておらず、特に曇っているときは強さのない暑さにしか感じられません。しかし、3月の乾燥した雲ひとつない厳しい天候では、クラシック・クロームは青をよく映し出し、ほぼティールトーンに仕上がります。また、シャドウを強調し、暗部を一段暗くし、人間の肌にも寛容です。

FUJIFILM X-S20 & XF33mmF1.4 R LM WR

平均15~20MBbのJPEGファイルに少しだけ手を加えるだけで、私の理想であるウェス・アンダーソンのパレットと軽いヴィンテージ感をほとんど実現することができます。

Vlogger向け

言うまでもなく、このカメラはVloggerにとって間違いなくおすすめできるカメラです。「Vlog」ダイヤルは、「ビデオカメラ 」ダイヤルとは異なる専用ダイヤルで、楽しく使用できました。この2つのダイヤルの間で、いろいろな設定をカスタマイズするなど、さまざまなフィルムシミュレーション、鮮明度、シャープネスなどを割り当てることができます。
XF14mm F2.8が手持ちでのVlog撮影に最適なレンズだと私は思っています。ビデオの中で自分自身にフォーカスを合わせるときに主に使うレンズです。頭上と背景の一部を含むように、顔をきれいに縁取るのです。

また、Vlog撮影中にマイクを素早く挿入することもできます。ジンバルをつける必要はなく、IBISを「ブースト」モードにしてX-S20を手持ちで動画を撮影していました。

電車やバスからの撮影ではローリングシャッターの問題が発生するものの(かつてX-H1にはこの問題があったが、X-H2Sでは修正された)、こうした動画がとても鮮明でクリアな仕上がりになっていることに驚いています。

FUJIFILM X-S20 & XF14mmF2.8 R

Vlog 撮影には、間違いなくフィンシミュレーションの内蔵カラーを活用することで、後でカラー編集をする手間を省くでしょう。

X-S20は、この専用ダイヤルによってvlog用に設計されているように見えますが、高速フォーカス、長時間のバッテリー寿命、そして軽量であることから、長距離のハイキングやバックパッキングにも自由に持ち運べることを考えると、むしろ写真撮影用に設計されたカメラだと思います。初めて富士フイルムのカメラを買おうとしている人に、今一番のおすすめです!最高の休日に役立つ万能性が大好きです!