2022.07.12

X-H2S: ミュージックビデオ x 林響太朗

幼い頃から家にフィルムカメラがたくさんあったこともありフィルムカメラのフォルムやモノとしての存在感が好きでした。そういったデジタルカメラを探しているうちに、X-Pro1に出会って、そこからX-Pro2、Pro3、GFX 50Rと愛用しています。昔のフィルムカメラの存在感や哲学を継承している気がして、モノとして気に入っています。

今回ミュージックビデオを撮影するのに使用した新製品、X-H2Sの最初の印象はグリップ感がいいこと。GFX100Sを使った時の感覚にも近くて気に入りました。

今回、X-H2Sを使ってミュージシャンの奇妙礼太郎さんのミュージックビデオを2本撮影しましたが、ドキュメンタリーを撮る感覚で、且つ映画的に撮影を行いました。車やスタビライザーに載せてみたり、様々な手法を使いながら、コンセプトとしては彼が楽しそうに歌っている様子やライブ感をそのまま再現出来たらと思って撮影しました。特に「かすみ草」という楽曲では車のバンパー付近にX-H2Sを装着して撮影をしたので、かなりガタガタするのではと心配しましたが嫌な揺れ方をせず、手持ち撮影時も違和感なく使えたので、手ブレ補正の威力を感じました。

外部出力をしてPRORES RAWでも撮影したのですが、カラーコレクションで多少無茶な色味の作り方をしても変な破綻をすることもないですし、キレイに仕上げることができました。サブ機としてX-T4も使っていたのですが、やはり解像度が全然違いましたし、明暗部が白トビ、黒潰れしにくいという点などはRAWで撮れるメリットを感じます。後半は時間が押してしまい、日が落ちる前に撮り終えなくてはと思いながら撮影していましたが、とても綺麗な夕日だったので、高画質で撮っておくことができて良かったです。

今回の作品もそうですが、画像をデジタルっぽくしないよう、加工をすることが多いです。フィルムで撮影する場合は明暗部が潰れてしまうこともありますが、ダイナミックレンジが広いカメラだと明暗部もしっかりと残ってくれるので、画に陰影がほしい時には助かります。

また、今回は6K30Pで撮影を行いましたが、写真のようにトリミングをしてみたり、後から工夫できる余地があるのは良いですね。それと、6K30Pだと3:2アスペクト比での撮影が出来る点が魅力的だと思います。普段写真を撮っている時は3:2や4:3で撮影をしているのに、映像に切り替えた途端に画角が16:9になってしまうのが以前から疑問でした。3:2だとセンサーもフル画素で使えますし、スチルと同様の画角のままで映像を撮影できるというのは嬉しかったです。

一眼カメラで映像が撮れる時代になってから、スチルカメラと映像専用機の距離がどんどん近付いてきていて、コンパクトで機動性がありながら、写真と映像をシームレスに切り替えて撮影出来るという点がX-H2Sを含む、ミラーレス機の魅力だと思っています。

自身の制作活動で大切にしていることの一つとして、「生っぽさ」や「リアル感」は意識せず、人々が見ていて「いいな」「ワクワクする」という気持ちになってほしい、という想いがあります。Xシリーズに関しても、これからもユーザーが「欲しい」「撮りたい」と思えるような、魅力のあるカメラを期待しています。

「かすみ草」 Official Music Video

Director,Cinematographer: Kyotaro Hayashi | 1st AC: Ken Yamamura | Focus Puller: Masaki Sato | Key Grip: Takuma Yuki | Transport: On Location | Production Manager: Dante Kuwashima,Kazuya Kawamura,Kaoru Miyachi | Producer: Satoshi Miyata | Production: Flip-book Inc.

「たまらない予感」 Official Music Video

Director,Cinematographer: Kyotaro Hayashi | 1st AC: Ken Yamamura | Focus Puller: Masaki Sato | Key Grip: Takuma Yuki | Transport: On Location | Production Manager: Dante Kuwashima,Kazuya Kawamura,Kaoru Miyachi | Producer: Satoshi Miyata | Production: Flip-book Inc.