2022.07.12 Bryan Minear

X-H2S: Taking the Long View

Bryan Minear

現在は、中西部に在住するオハイオ州出身の写真家・グラフィックデザイナー。デザインと写真への情熱は幼少時代に培ったが、写真が芸術の表現であることには、大学時代に授業を受けるまで気づくことはなかった。フリーランスのクリエイティブ会社を設立。ウェディングや、ミュージシャンの撮影、コマーシャルワーク、そして、大好きな風景や街の光景を撮影する。この業界に入って10年が経った。だが、まだ始まりにすぎない。2011年に初代X100を手にしてから、Xシリーズのカメラは彼のスタイルと作法に変化をもたらした。そして、それ以来メイン機材としてすべての仕事で活用している。Instagramや、ツイッター、フェイスブック、bryanminear.comによく出没する。

風景撮影のスペシャリストであるブライアン・ミニア。彼の風景撮影のニーズに対して超望遠ズームレンズXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRがどのように応えたのか、そして最先端のFUJIFILM X-H2Sはどのように使うのが最適なカメラなのかを語ってくれました。
  • Flowing sand dunes covered in ripples from wind

    Photos 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/140 sec at F16, ISO 160

  • Rows of sand dunes in blue shadow, with gold sun on horizon

    FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/80 sec at F9, ISO 160

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR + 1.4x, 1/400 sec at F9, ISO 160

「風景や自然の写真を撮るとき、私はしばしばトレンドに逆らっています」とブライアンは語ります。
「その大きな要因はレンズの選択にあります。私は風景写真に望遠レンズを使うことが多く、その利便性は私の制作スタイルの中心にあります。なので、X-H2SとXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRの組み合わせは完璧に思えましたし、事実期待を裏切りませんでした。」

新しいX-Trans CMOS 5センサーを搭載したカメラと超望遠ズームレンズを手に、ブライアンはカリフォルニアのデスバレーとシエラネバダの山に向かいました。撮影者にとっても、機材にとっても過酷な環境ですが、彼はこの機材で十分なチャレンジができると感じていました。「撮影に出かける際は、たいてい壮大な景色を探しているます。」
「このような場所での撮影は非常に意義があることです。望遠レンズと最先端のカメラが真価を発揮するに相応しい、過酷な場所です。」

風景写真では広角ズームや単焦点レンズが主流ですが、ブライアンはなぜ望遠レンズに注目したのでしょうか?
「それには2つの理由があります。1つは、シンプルな構図に惹かれるから。もう1つは、クリエイティブに自分を追い込むことができるからです。風景写真において、望遠レンズはその2つを実現してくれます。選りすぐりで整理されたフレーミングだけでなく、広大な風景の中で驚くような新しい構図を見つけることができるからです。長年XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR、XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WRとテレコンバーターを使用してきたのは、まさにこの理由ためです。」

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/60 sec at F8, ISO 160

グラフィックデザインを本職とするブライアンが構図にこだわるのは当然です。雑誌のページ、ポスター、写真など、フレーム内の要素の相互作用は彼にとっては言語のようなもので、疎かにする訳にはいかないのです。

「もちろん、望遠レンズであればすぐに良いフレームを作れるというわけではありませんし、被写体のすぐ近くにいるのであれば広角レンズは素晴らしい選択肢です。」

「しかし、レンズの視野が広ければ広いほど、妥協せず、メッセージを濁すことなく写真を構成することが難しくなります。例えば、枝や電線が画面の端に入り込んでしまったり、空が真っ白で視線が画面の外に飛んでしまったり。」

「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRは選択的な構図を作るのに素晴らしいレンズであることを証明してくれました。」と彼は続けます。「カリフォルニアでの撮影は、この極限状態の環境に適応する必要がありました。また35mm判換算で900mm相当の焦点距離は、肉眼で見ることさえ困難な要素を発見することもできます。」

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/400 sec at F9, ISO 160

撮影においてはレンズを選ぶだけでなく、レンズを生かせるボディを選ぶことも重要です。X-H2Sは、自然や風景に留まらず、あらゆる分野において超望遠レンズを使用する写真家をサポートするために開発されました。

「X-H2Sに搭載されたボディ内手ブレ補正はその要素のひとつです」とブライアンは説明します。
「XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRの光学式手ブレ補正(OIS)と組み合わせることで、ほとんどの状況で三脚が不要になりました。その効果は絶大で、風速30~50mの強風の中、600mm域(35mm判換算:900mm相当)で手持ち撮影を行うことができました。実際その時一緒にいた友人は、私がこのような超望遠ズームレンズを使いながら高いレベルのシャープネスを得ていることが信じられず、笑っていましたよ。」
「だからといって、1/2秒のシャッタースピードで手持ち撮影をするようになるわけではありません。 」彼は笑います。
「IBISやOISがもたらすのは明瞭度への累積作用と、思考やリアクションのスピード短縮のメリットです。1/20秒で手持ち撮影した画像がまるで1/1000秒で撮影したように見えたこと、また1/400秒で撮った画像が1/8000秒で撮影したかのように見えたことさえあります。状況によっては、三脚にカメラを固定することを考える必要もないほどです。光学的に非常に優れていることに加え、手ブレ補正によってその品質を余すところなく享受することができるのです」。

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/180 sec at F9, ISO 160

「また、レンズの設計とX-H2Sの操作性に優れたデザインも素晴らしいです。」

「このレンズは決して小さいものではありませんが、フルサイズのレンズのサイズと重量には到底及ばないコンパクトさです。また、インナーズームのおかげで非常にバランスがとれています。X-H2Sは前モデル同様に大型のグリップを備えており、長くて重いレンズを装着しても簡単にサポートすることができます。さらに縦位置バッテリーグリップのVG-XHを装着すれば、その効果はさらに高まるでしょう。」

「長時間露光、タイムラプス、動画などの撮影でレンズを着脱する必要がある場合、特大の三脚座が簡単に装着できることも気に入った点です。さらにアルカスイス互換なので、クイックリリースプレートを追加で取り付ける必要がありません。また、使用しない時には簡単に取り外すことができるので、バッグの中のスペースと重量を節約できます。」

またX-H2Sの2610万画素のX-Trans CMOS 5センサーは、山や砂漠のハイコントラストと微妙な色合いのミックスを見事に表現してくれました。
「光の描写は難しい課題です。この撮影の際はRAWで撮影することはできませんでしたが、X-H2Sで得られるJPEGは、驚くほど豊かなトーンとディテールを備えています。解像度は十分で、多くの人にとって効率的なアウトプットとなることでしょう。」

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF70-300mmF4-5.6 R LM OIS WR + 1.4x, 1/550 sec at F5.6, ISO 160

X-H2Sのその他の特長として、彼は「クレイジーなほど速く、正確なオートフォーカス性能と信じられないほどの高速連写」を挙げています。

「私は普段風景撮影を好むので、このような写真はあまり得意ではありません。でも、カメラの限界に挑戦したくて、飛んでいる鳥を撮影してみました。鳥に特化したAFモードがあり、ピントは完璧に合っていました。画面上でも瞬時に鳥の目を見つけて追尾しているのが分かります。また積層型センサーの搭載により、15fpsのメカシャッターや40fpsの電子シャッターを使用した際も優れたAF追従性能で、被写体をフレーム内に収めることがとても簡単になりました。」

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/140 sec at F8, ISO 160

ブライアンはX-H2Sで映像やタイムラプスのコンテンツも作り、砂丘から吹き出す砂や岩の谷間を横切る光の動きなど、美しい風景のディテールを捉えました。
「富士フイルムは、映像と静止画、どちらにも取り組むハイブリッドなクリエーターに最適なカメラを作ったと思います。4K 120pの映像は素晴らしく、映画制作に携わる多くの仲間がこのカメラを気に入ることでしょう。またF-Log2によるダイナミックレンジの拡大やフルサイズのHDMI端子による接続のしやすさなど、多くの点で優れています。」

Photo 2022 © Bryan Minear | FUJIFILM X-H2S camera and XF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WR, 1/120 sec at F7.1, ISO 160

ブライアンはX-H2SとXF150-600mmF5.6-8 R LM OIS WRによる撮影を振り返り、こう語ります。

「今回のプロジェクトに参加するにあたり、このレンズを使いたいと思っていました。とても楽しく、用途が広いレンズです。最近夢中になっている月の撮影も、ぜひこのレンズで挑戦してみたいです。X-H2Sととても良い組み合わせです。X-H2Sは富士フイルムらしい操作性に優れたボディデザインで、これだけ機能が充実していながら、サイズもちょうどいい。多くの人に受け入れられるカメラになるでしょう!」