2018.02.21 FUJIFILM

X-H1開発秘話 #3 -カメラボディ

前編と中編では、シャーシ部分についての解説をおこなったが、後編ではボディ部分について掘り下げていこう。
防塵防滴耐低温、文字にしてしまうとたったこれだけなのだが、設計上・組立上の作業は最も多いものの一つだ。何しろ、ボディ本体で68点、バッテリーグリップで26点もの部分でシーリングを施すことで成立しているのだから。
参考までに、防塵防滴のために使用されるシーリングパーツは、X-Pro2が61点、X-T2が63点。数字から見ても、最大級の設計が行われた。操作ボタンの数が増えたことや、搭載デバイスの変更からくるパーツ形状の変化により、シーリングの仕方が複雑になっているためだ。

そうした上で、実際の検証を行っていく。-10℃に耐えるという場合、試験環境はもっと低い。なぜならば-10℃の環境でも、強く風が吹く場合などはボディ表面からどんどん温度が奪われていくので、かなりのマージンをとった上で試験をしなければ、フィールドでの-10℃での動作保証は到底できないのだ。
また、試験環境では全ての動作確認が行われる。いかなる環境下でも、操作できない作業があったらそれは動作保証とは言えない。

さてそうして次に、X-Photographer達の手に渡る。今回、X-H1でも多くのトライアルが行われた。砂漠・上空・河川・雪山・岩場、Youtubeで”Proud of, X-H1”と叩いてもらえれば、X-H1がどれだけのフィールドテストを経て完成に至ったかが分かることだろう。

 

X-H1: Gary Tyson x Reportage in Cambodia -Proud of-

X-H1: Faruk Akbas x Landscape -Proud of-

X-H1: 辰野 清 x Nature -Proud of-

特に今回は、スタジオでもかなり激しいシチュエーションでの撮影が行われた模様だ。
防塵防滴は、室内でも重要だと痛感する。

X-H1: Du Yinfeng x Fashion -Proud of-

さて、ボディ部分の解説はこれでは終わらない。最後の仕上げ、コーティングにも今回あらたな試みがとられている。 たしかにパッと見は変わらない。いつもの黒のハンマートーン塗装だ。しかしよく見てみよう、手元にX-T1やX-T2があったら見比べてみるとよく分かる。塗装の粒度が異なっていることに気づくだろう。

X-H1のほうが、若干ツブが大きくなっている。これによって、より強く塗料が表面に食いつくようになる。つまり、ひっきかきや擦りに強い塗膜が形成されることになる。

塗膜の引っかき硬度を規定する単位として”H”というものがある。従来のモデルでも十分な強度”4H”(=自動車のボディ塗膜と同程度)を達成していたが、X-H1では実に”8H”の引っかき硬度を達成している。これは、塗装コーティングによるほぼ限界値とも言えるが、X-H1はフレームそのものの頑強性と同時に、表面でもこれ以上ないタフさを持っているわけだ。

という事で、3回にわたってX-H1の外装部分・フレームについての解説を行った。 頑丈だからと言って粗末に扱うわけではない。しかしカメラの耐久性に信頼がおけるならば、必ずそれは写真に貢献がある。不安を持ったままフィールドに出るのは、今回の”Proud of”に参加したX-Photographerだけで十分だ。逆説的だが、おかげで”Proud of”に参加してくれたX-Photogapherは皆、X-H1のパフォーマンスに全幅の信頼をおいてくれたようだ。かわいい子には旅をさせた甲斐があったものだ。 Å

X-H1開発秘話

#1 フレーム Pt.1
#2 フレーム Pt.2
#3 カメラボディ
#4 エテルナ
#5 エテルナ Pt.2
#6 AF
#6 ボディ内手ブレ補正