2021.09.15 Seigi Takakuwa

GFX50S II: "More than Full Frame" x 高桑 正義

高桑 正義

大学卒業後、印刷会社入社。アシスタントを経て、フリーフォトグラファーとして独立。
現在はBeauty Fashion 広告、雑誌、カタログなどを中心に活動している。
撮影からレタッチまでの全てを自身が手掛ける。クオリティには定評があり、特にBeautyの分野ではその才能が如実に表れている。
NY世界最高峰の国際コンペ international Photography Awards
2012 International Photography awards 広告:Beauty Pro 部門 受賞
2013 International Photography awards 広告:Beauty Pro 部門 受賞
2017 International Photography awards 広告:Fashion Pro 部門 受賞

GFX50SⅡインプレッション

GFX50SⅡは “気軽” に表現の新たな可能性を切り開く
 

私はBeauty、Portraitというジャンルを専門としつつ、商業写真家として様々な被写体や様々な内容の撮影をしている。
現在は仕事内容や状況、媒体によってGFX100、GFX 50R、X-T4、X-Pro3を使い分けている。

富士フイルムのカメラは、どの機種を使っても仕上がりの色を違和感なく合わせることができるため、コンセプトに合うカメラをフレキシブルに選択できるのも魅力の一つだ。

動き回ったり、よりレスポンシブに撮りたい場合はXシリーズ。
高画質・高精細・ハイダイナミックレンジの色表現や立体感のある表現をしたい場合はGFXシリーズ。
というような使い分けもできるのが嬉しいところだ。

GFX 50SⅡはその両方のいいとこ取りをしたカメラだと言えるだろう。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

GFX 50SⅡはGFX100Sと同じボディを採用し、コンパクトかつ軽量でハンドリングがよい。
GFX 50シリーズでは初のX-Processor 4が搭載されたことにより、コントラストAFモデルでありながらもGFX100Sに見劣りしない、素晴らしいカメラに仕上がっている。

上記のように布で顔を隠すようなシーンでも顔検出/瞳AFがしっかりと効いて良好な結果を得ることができた。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

そして、小さなボディにセンサーシフト式の手ブレ補正機構が入っているため、動きのある絵や低照度撮影など、様々な過酷な環境でも安心してブレずに撮影が行える。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

魅力的な操作性、ハンドリングの良さ

今回の撮影では、シンプルかつ美しいポートレートで多くのバリエーションを撮りたいと考えていたため、一箇所の撮影に時間をかけず、サクサクと手持ちで、動き周りながら撮影をしている。慌ただしくバリエーションを狙う撮影時は、ボディの操作性とデータハンドリングの良し悪しがとても分かりやすい。

GFX 50SⅡは5000万画素と、比較的ハンドリングしやすいデータサイズなので、128GBのSDカード2枚を使用するだけで撮影を終えることができた。
ボディはしっかりと考えられた作りになっていて各ボタンにアクセスがしやすく、設定項目をカスタマイズできるのも魅力だ。
グリップが深いため、大口径レンズを付けてもバランス良く保持でき、5000万画素でもシビアにならずに、ストレスなく多くのバリエーションが撮影できた。特にフォーカスレバーは従来よりフラットな形状になり、撮影中に非常に重宝した。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

真俯瞰撮影などの無理な体制の撮影では、他社の大きく重いカメラでは手持ちでの撮影がしづらかったり、大掛かりなセッティングが必要だったが、GFX 50SⅡは手持ちで気軽に撮影することができる。この重量、サイズであれば、無理なく自由度の高い撮影に挑戦できるので、写真家にとって非常にありがたい。

バッテリー交換も度々になると煩わしくなるものの一つだ。GFX 50SⅡのバッテリーはGFX100S、X-T4と同様のNP-W235を採用している。今回丸一日撮影をしていて、交換は一回のみだったことを考えると充分なバッテリーライフだ。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

ラージフォーマットの魅力

高画素ラージフォーマット機のメリットは高画質・高精細・ハイダイナミックレンジの色表現や、立体感のある表現ができるところだ。高画素だと肌のレタッチが大変そうという意見もあるが、低画素ではつぶれて汚れに見える部分が鮮明に描かれ、肌質が伝わるのでレタッチの必要がなくなる。またGFXに搭載されているスムーススキンエフェクト機能を使えば、肌感を活かしつつ滑らかな肌を描写できる。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

ピント面の描写とボケの美しさ

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

ラージフォーマットの魅力として、メインの被写体を引き立たせる描写とボケの美しさを忘れてはいけない。
美しいなだらかなボケはピント面に視線を誘導することができ、何を魅せたいかという意図を伝える手助けをしてくれる。

なめらかな階調表現

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

マジックアワーの淡い色表現、かつ海風を感じながら海辺を歩く姿を撮っている。最新プロセッサーによる高性能な顔検出/瞳AFが活き、ストレスなくレスポンシブに、綺麗に色が連なる滑らかな階調表現と、奥行きを感じる作品に仕上がった。その場にいた記憶を思い起こさせるのは、階調の広さのおかげであることは言うまでもない。

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

ディテールを描写する解像力

GFX50S II & GF110mmF2 R LM WR

瞳、肌、髪の毛、衣装のレース、壁、布と様々なマテリアルのディテールをしっかりと解像することで、まるで目の前に存在しているかのように感じさせる。これもラージフォーマットならではだ。

 

結論

GFX 50SⅡは”気軽”に表現の新たな可能性を切り開くことができるカメラだ。
ラージフォーマットの魅力である、驚くほどの緻密な描写と豊かな色の再現性、美しく滑らかなボケ表現。滑らかな階調と描写性能を得られる上にハンドリングのしやすい小型軽量ボディ。5000万画素のデータの扱いやすさ。X-Processor 4による処理速度の向上による顔検出/瞳AFの性能。非常に優秀な手ブレ補正――

高精細・高画質とハンドリングを両立した一台が完成した。
ラージフォーマット機が当たり前の時代がきた、と感じさせる1台に仕上がっている。

GFX50S II & GF80mmF1.7 R WR