2019.06.27 FUJIFILM

GFX100ストーリー #1

G Mount & Athleticism

44x33mmのフォーマットを、どう称するのか、その議論にはあまり意味を感じない。
銀塩フィルムの時代に根拠を求め、6×4.5からが中判、4×5 inchからが大判である断ずる向きもいるが、その説明には歴史的な正統性以外、なんの示唆も含んでいないからだ。

いまでも中判・大判のフィルムを使用して写真撮影を楽しむかたは多い。その理由は画質的な理由が最大を占める。しかし、こと解像度だけで言えば、現在の44×33フォーマットは6×4.5はおろか、8×10すらも凌駕している。銀塩フィルム独特の色再現などはここではおいておくが、“大きくプリントして鑑賞する力があるのが中判・大判”というならば、銀塩フィルム時代に規定された判型にはもはや根拠がない。正直、GFXなら“もっと大きくしても大丈夫”と断言できる。

それでは撮影の技法的に、“これは中判・大判にあらず”と言うのはどうだろうか?
これにはある種の納得感がみられる。写真館に行って、ビューカメラを覗いた写真師(ここでは敢えてカメラマンではなく写真師と呼ぶ)に写真を撮ってもらったときのことを思い出してみるといい。あの一連のプロセスは、大判ならではのものである。じっくりと撮る、そして日を置いてから現像しプリントを仕上げ、受け取りに行く。スローフードならぬ、スロー・フォトと言ってもいい。撮影という行為を、撮影する側もされる側もゆったりと楽しんでいる。これに類するものかというと、明らかに違うだろう。
ファスト・フォトではないが、スピーディなフォトである。

さて冒頭の話に戻ろう。44x33mmのフォーマットを呼称することの意義だ。
正直に言うと、これは過去にあったフォーマット名を使っても馴染まないと考えている。
なぜならば、それらが実現してきた効用のどれともイコールではないし、それよりも新しい用途を提案するものであるからだ。

その理由は、GFX100というカメラが大きなフォーマットのカメラでは、従来想像もできなかった運動性能を持ち得たことに因る。
筆者はX-Pro2が発表された頃のことを思い出す。それまで“写りはいいけど、AFがね?”と散々言われていたXシステムの評価が一変したときのことだ。

X­-Pro2 AFは速くなったのか?

X-Pro1からX-Pro2になり変わった大きな変化は、像面位相差AFの搭載だ。それは、GFX 50S/50Rからの進化点と同じくする。しかも、それだけではないGFX100にはX-T3で開発された位相差画素駆動アルゴリズムも搭載される。つまり、速くなるだけでなく、低照度にも強く、そして高周波被写体・低コントラスト被写体にも強い。
もっと端的に言おう、X-T3のような敏捷性があり、8×10を超える描写力を実現している。そんなシステムは過去になかった。比肩するものも無かった。
これは完全に新しい撮影体験を作り出している。

さて、その新しい撮影体験を生み出しているのはGFX100のボディだけではない。レンズにも言及をしなければならない。GFレンズが先々を見ていたと分かるのは、1億画素をサポートする光学設計と、この像面位相差AFに対応するためのメカ設計だ。
どのレンズもGFX100の1億画素のセンサーに最適な光を届けるべく設計されているし、またどのレンズを使っても必ずやAFのスピードアップを感じることができるだろう。

さてこの効果を体感するには、まずGFX100を手に入れることは当然だが、決して忘れてはならないのがレンズ側のファームウエアのアップデートである。GFレンズに、位相差センサーに対応した新アルゴリズムが搭載されたファームウエアへと書き換えしてやること。これであなたのGFレンズがまた生まれ変わる。

GFレンズのファームウエアアップデート