2023.11.07

GF110mmF5.6 T/S Macro: スチルライフ x デービッド・リントン

GFX100 II & GF110mmF5.6 T/S Macro: コマーシャル・ワンダー

FUJIFILM GFX100 IIとFUJINON GF110mmF5.6 T/S Macroという新たな理想的ツールを用いた忘れられない体験を経て、David Lineton氏は自身の商業的ノウハウを紹介します。

一部のイメージ・メーカーは、写真を撮り始めたばかりの頃から特定のジャンルに惹かれるようになります。David Lineton氏にとってそれは商業写真であり、商品に強く焦点を当てたシーンを構築し創造したいという強い欲求に突き動かされていました。この媒体では、イメージ全体が彼自身の注意深い統制下にありました。

GFXシステムの熱心なユーザーであるDavid氏は、ラインナップが追加されるたびに胸を躍らせています。そんな彼のニーズにぴったりな2つのクリエイティブツールが発表されたとき、彼はすぐにチャンスを感じとりました。FUJIFILM GFX100 IIとFUJINON GF110mmF5.6 T/S Macroは、商業的なワークフローを効率化し、プロの新たな高みに到達するチャンスをもたらしたのです。

Photo 2023 © David Lineton | FUJIFILM GFX100 II and FUJINON GF110mmF5.6 T/S Macro, 1/4 sec at F16, ISO 100

「GFX100 IIでは、GFXシステムのすべてが改善されています。基本的には同じようなセンサーで、同じような画像を提供するものですが、細かな調整でより良くなっています。このカメラはプロフェッショナルのためのより多くの可能性を秘めています」とDavid氏は語り始めます。

「人間工学に基づいた見事なボディで、手持ち撮影に最適なグリップとわかりやすく配置されたファンクションボタンを備えています。ファインダーも驚くほど鮮明で、まるでシーンそのものを見ているようです」。

新開発の大判センサーを搭載したGFX100 IIは、1億200万画素という驚異的な画素数はそのままに、いくつかの明確な改良が加えられています。16ビットのRAW画質はこれまで以上に向上し、標準感度がISO80と低くなり、ダイナミックレンジが広がりました。これらのディテールはDavid氏の細部までこだわった正確無比な世界でも失われていません。

Photo 2023 © David Lineton | FUJIFILM GFX100 II and FUJINON GF110mmF5.6 T/S Macro, 1/25 sec at F18, ISO 400

「GFX100 IIは、富士フイルムユーザーが期待する素晴らしいディテールをあらためて証明しています」と彼は語ります。「100%ズーム時の商品表面の描写は完璧で、ファイルをトリミングしても驚くほど鮮明です」。

「コマーシャルフォトはもはや単なる静止画のジャンルではありません。そのため、GFX100 IIに驚異的な撮影機能を搭載することで、クライアントが必要とする多用途性を実現しています」。

GFXシステムに新たに加わったこの機種は、富士フイルム初のFrame.io Camera to Cloud機能を搭載しており、共有コラボレーションプラットフォームにファイルを直接転送することができます。この機能は商業的なパイプラインにおいて非常に有益です。

Photo 2023 © David Lineton | FUJIFILM GFX100 II and FUJINON GF110mmF5.6 T/S Macro, 1/6 sec at F16, ISO 80

「クラウドから直接作業できるようになったことで、ワークフローを省略できるようになりました」 とDavid氏は指摘します。「これは時間を軽減し、制作に立ち会うことができるようになった海外のクライアントを安心させることができます。ポストプロダクションのスペシャリストは、自分が作業している間に画像を受け取り、そのプロセスの一部を開始することもできます」。

そして、David氏にとってさらにエキサイティングだったのは、商品撮影を含むさまざまなジャンルで可能性を秘めたレンズの存在なのではないでしょうか。GF110mmF5.6 T/S Macroのティルトシフト機能により、通常では不可能な光学的偉業が可能になりました。

「ティルトシフトレンズには多くのメリットがあります」とDavid氏。「単体としてみてもGF110mmF5.6 T/S Macroは素晴らしく、驚異的にシャープなレンズです。どこまでも美しい。しかし、コマーシャルフォトグラファーである私にとっての大きな利点はセンサーに対してピント面を変えられることです。フレームのさまざまな領域でシャープネスを作り出すことができます。例えば、4分の3アングルから見たテーブルの表面全体」。

Photo 2023 © David Lineton | FUJIFILM GFX100 II and FUJINON GF110mmF5.6 T/S Macro, 1/4 sec at F16, ISO 100

「フォーカススタッキングを使えば可能ですが、それには多くのファイルを作成する必要があり、処理に多くの時間がかかります。適切なアングルとスイングを使えば、1フレームで同様の結果を得ることができます。加えて、スタッキングを行うと有機的な被写界深度が失われる可能性があります。ティルト機能を使用することで、深度のフォールオフをより効果的に保持することができます。また、開放F値を使用してもシーンの手前から奥までシャープネスを保つことができます」。

フォーカス面とセンサー面を切り離すことで収束線のカメラ内補正も容易になります。通常は建築写真にメリットがありますが、David氏の特別なビジョンでは、商業写真を対象とした需要があります。

「時々、製品を非常に低い位置からいわゆるパワーアングルで撮影することがあります。この場合、視覚的な問題の原因となる平行線が生じますが、GF110mmF5.6 T/S Macroを使用することでドラマチックな印象を演出し、カメラ内で製品をスクエアに見せることができます」。

「反射性の高い表面であれば、レンズを素早く動かして拡散サークルの位置を変え、カメラをほんの少し左右に動かすことができます」とDavid氏は言い、さらに実用的な利点を指摘します。「ポストプロダクションでカメラの反射を取り除く必要がありません」。

「通常ならより多くの時間がかかるワークフローを短縮することが目的です。GF110mmF5.6 T/S MacroのポテンシャルとGFX100 IIのピクセルシフトマルチショット機能を組み合わせると、400万画素の画像が信じられないほど大きくなります。大きなビルボードキャンペーンを撮影するようなプロジェクトでは、1フレームで撮影することができます」。

ほんの数週間使っただけで、David氏は大いに感銘を受けました。ニッチな分野ではありますが、GFXシステムのクリエイティブな可能性はさらに広がっています。David氏の目には、創意工夫とあらゆるイメージメーカーへの貢献が富士フイルムの最大の強みとして映ったようです。

「彼らは、プロが被写体と関わり続けるために何が必要かを明らかに深く考えています」と締めくくります。「素晴らしい機能はすべて、写真家を支援し、制作プロセスをより容易にするために設計されています」。

Photo 2023 © David Lineton | FUJIFILM GFX100 II and FUJINON GF110mmF5.6 T/S Macro, 0.3 sec at F22, ISO 80