2016.04.26 Afton Almaraz

Afton Almarazが語るXシリーズの魅力

Afton Almaraz

富士フイルムのXシリーズは、私がカメラに追い求めていた「コンパクトサイズ」と「高画質」の両立を実現した理想のカメラシステムだ。Xシリーズの品質・デザインと、驚異的な機能・性能があいまって、写真の原点に戻り、私の周りを個性的に捉える。装甲車のように頑丈で、フィルムシミュレーションが搭載されたX-Pro1の登場で、私がそれまで所有していた全てのカメラは、不要になった。富士フイルム特有のX-Transセンサーとフジノンレンズの相性は抜群で、ディテールまでシャープな描写を実現する。それまでJPEGで満足することなかったが、X-Pro1ではJPEGで撮影するようになった。ダイナミックレンジとハイライトとシャドートーンを細かく調整でき、ディテールを取りこぼすこともない。RAWファイルでのポストプロダクションは、ほとんど必要なくなった。それほど、このJPEGは素晴らしいんだ!ルポやトラベル、ポートレートでは、X-T1を使う。相性が良い。しかも、スタイリッシュに仕事をこなせる。

スタイリッシュといえば、Xシリーズのカメラのデザインについても語っておきたい。レンジファインダースタイルのX-Proシリーズから、一眼スタイルのX-T1まで、これらは、全て美しく品位のあるデザインだ。ISOダイヤルやシャッタースピード、露出補正は指先で調節できる。質感も本物だ。外観だけをみると、往年のカメラから進化を遂げていないように思えるが、内部は違う。初代のX-Trans CMOSセンサーから今日のX-Trans IIIまで、富士フイルムは常にAPS-Cサイズで実現できる画質の限界をプッシュしてきた。高品質で美しいアウトプットがなければ意味がないからだ。

ゲッティイメージズのフォトエディターとして、画質は大切であるが、それが写真の全てではないと認識している。目の前で起きていることをしっかりと捉えること(X-T1の超高速AFが得意とする分野)とカメラシステムが成す画質の組み合わせが、写真家にとって重要だ。この組み合わせが良いほど、クリエイティブの幅が広がり、安定してクオリティの高いアウトプットを創りだせる。カメラは、写真を創りだす半分の要素に過ぎない。カメラを扱う写真家が、もう半分の要素で、この2つが組み合わさって写真が完成する。富士フイルムは、考え抜かれたシステムを築いており、多様なレンズ群で、撮影できないシーンはほとんどない。ストックイメージとして、シャープな描写が必要で、私の創造性は、Xマウントの単焦点やズームレンズのような明るいレンズを欲する。フジノンレンズは、素晴らしい。私のクライアント達は、その高画質を目にして、満足をしている。

風景写真を撮りに闇の中へと冒険したり、夜の街へ出かけるなど、暗闇で撮影することが多々ある。そんな時も、X-T1は、頼りになるカメラで、心配事とは無縁だ。高感度撮影でも、画質は素晴らしい。また、タフで防塵・防滴仕様のX-T1は、ニューヨークを直撃したハリケーン・サンディを取材した時にも活躍した。王者の風格で、殺人的な嵐の中でもびくともしなかった。

決定的な瞬間とその素晴らしい体験に、写真の醍醐味がある。戦争から見事な復活を遂げたサラエボに惹かれ、バルカン半島へ旅立った時、X-T1とX-Pro1を持っていった。街を散策していると、大広場に遭遇した。古風で、静かな場所だった。日課で鳩に餌をあげていた男性の横を歩いた。足を止め、目立たないX-Pro1を持ち上げた。餌に満足した鳩が飛び去って行き、男は、私を横切っていく。歴史豊かな街中で起きた美しい一瞬を、小型でフットワークの軽いXシリーズが、完璧に捉えてくれた。このような瞬間を、何気なく簡単に撮れてしまうXシリーズ。Xシリーズでの撮影は、流れが自然で、やりがいがある。これこそが、Xシリーズの魅力だ。