2018.05.22 Deniz Saylan

X-H1で撮影してみて ~Deniz Saylan

Deniz Saylan

Deniz Saylan specializes in portraiture and automotive photography. He started his career as a magazine photographer for international news magazines shooting documentaries and portraits all over the world. After documenting the aftermath of 9-11 in New York and covering the war and daily life in Afghanistan in 2003 Deniz decided not follow the path of war photography and journalism and move on his career focusing on portraiture and advertising. He begun to shoot portraits of artists, politicians and economic leaders for magazines and international clients. His portraits of musicians for the Salzburg festival led him into the world of classical music. A portrait series of female opera singers for the Salzburg festival draw the attention of Daimler/Maybach for his work. Being asked to shoot cars as well, Deniz shot his first automotive pictures in 2005 for Daimler and Maybach. Further assignments followed for Infiniti, Lamborghini, Rolls Royce, BMW and Porsche, Bechstein and others. Deniz lives in Berlin, Germany.

プロトタイプのX-H1を受け取ったのは、ちょうどXシリーズへシステム移行をしたタイミングだった。だから、正直なところその当時の私はXシステムについて熟知しているとは言い難い。それ以前は、ずっとデジタル一眼レフと中判カメラで撮影してきたわけだから、まだXシリーズについて勉強している段階だったんだ。

なぜXシリーズに切り替えのか?一番の理由は、そのコンパクトなサイズ。従来のカメラより圧倒的に小さくて軽いから日々の負荷が大きく軽減される。
重い機材を持ち歩くことから解放され疲れも溜まらない。空港で航空会社と荷物で揉めることもなくなった。大切な機材だから機内に持ち込みたいのだけど、DSLRの場合、重量制限の関係で持ち込みをNGにされてしまうんだ。

X-H1を箱から取り出して、手にした瞬間にこのカメラのタフさを感じ取った。
バッテリーグリップを装着しなくても、グリップ感が非常に良い。ファインダーも大きくなっている。まるで、デジタル一眼レフのファインダーを覗いているようだ。もちろん、サイズだけでなくて、ファインダーの性能もとても素晴らしい。光学ファインダーを使っている感覚に非常に近い。電子ファインダーのメリットは、シャッターを切る前にイメージ像の確認ができること。一眼レフだとできないこと。それに、周囲が明るすぎて背面液晶だと見えない環境でも、電子ファインダーを覗くことで、しっかりと被写体の確認ができる。

ボディ天面にあるサブモニターはとても便利。写真家に必要な撮影条件やバッテリー残量などの情報を瞬時に確認できる。画面に表示させる項目を選択できたり、マイメニューのカスタムができたりするのもユーザーエキスペリエンスを著しく向上する。ファンクションボタンに必要な機能を割り当てることもできるし、リングの回転方向すらも好みに替えることができる。とにかく自分の好きなようにチューニングできるカメラだと感じる。

細かい調整が出来るということは、自分に合った”マイカメラ”を作り上げることができるということ。Xシリーズのコンセプトはとても理にかなっていてISO感度、シャッタースピード、絞りなどはダイヤル操作を基本としている。コマンドダイヤルでそれらの値を設定したい場合でも、コマンドダイヤルの設定を変えることで可能になる。アナログダイヤル操作のメリットはカメラをオンにしなくても瞬時に設定が分かること。アナログ操作とカスタマイズされたボタンの配置などで操作生はとても直感的になり仕事のテンポが良くなる。

ボディ内手ブレ補正の効き目は抜群。静止画、動画両方で申し分なく使える。カメラをジンバルに装着するととても安定した動画撮影が可能になる。オートフォーカスもしっかりと追従する。X-H1では、F-Logのカメラ内記録も可能になったのでとてもうれしい。外付けの記録メディアは不要だ。200Mbpsで記録されるので撮影後の編集でも細かいところまで追い込むことができる。ARRIのAmiraで撮った映像とX-H1で撮った映像を繋げてもきっとその違いに誰も気づかないだろう。

後、忘れてはならないのはスローモーション動画機能。Full HDの画質で120fpsまで可能だ。この機能で色々と試してみたくなるね。

全ての根幹にある画質の点で言わせてもらうと、動画、静止画共に素晴らしい。特に静止画はいいよ。多くの人は、フルサイズより小さいセンサーサイズ、それに2400万画素だと仕事にならないと思い込んでしまっている。それは非常に残念な発想で、激しい思い込みとだけ言っておこう。実際に撮った写真を見てもらえば分かると思う。