2021.05.26

GFX100S: メイキング・オブ 「Unseen」 x Turgut Çetinkaya

映像作品「 The Unseen」について

ディレクターやシネマトグラファーにとって、機材の選択肢が豊富な時代になりました。GFX100Sは、1億画素の写真用カメラであると同時に、4K-10bitの映像を記録できるビデオカメラでもあり、写真用からビデオ用のインターフェースへの切り替えがあっという間にできてしまいます。これにより、この市場の類似製品の中で際立った存在となっています。

「Unseen」プロジェクトを立ち上げた当初、少人数のスタッフと最小限の機材で機動的に動き回りながら撮影することを、まず意識しました。このようなプロジェクトでは、自分とカメラの限界に挑戦することは、楽しいだけでなく、より強く、より創造的で、より機知に富んだ撮影監督に成長するための、プロとしての進化するために必然的な部分でもあります。

撮影監督としては、この大きなセンサーの恩恵を最大限に受けながら、移動が必要なときにはGFX100Sのコンパクトなボディを活用し、簡単に持ち運びができるようにしました。中判カメラならではの浅い被写界深度のおかげで、広角でも映画のような質感を出すのに最適なカメラです。実際、この2つの特徴と高ISO性能が、本作でGFX100Sを選んだ理由のトップ3でした。

「Unseen」プロジェクトを進めていく中で、私が目指したのは、私たちがいる自然環境を、人間の目で見たときのように、できるだけリアルに撮影することでした。そのために、人工的な照明器具は使わず、自然の太陽光や火だけを照明として使用しています。限られた光源の中で、カメラの特性を活かして、高品質な映像を作ることができました。

私が撮影監督として直面する最大の課題のひとつは、フレームの色をリアルタイムで捉え、それをそのまま視聴者に伝えることです。色は生命の象徴です。GFX100Sには、動画撮影時にカメラセンサーが記録画像の解像度を11Kから4Kに落とすダウンサンプリング機能が搭載されています。これにより、ポストプロダクション工程での色補正に余裕が生まれます。

一般的に考えられていることとは異なり、視覚芸術はスクリーン上で見られるものだけではありません。優れた撮影監督やディレクターは、そよ風のような感覚や、岩の表面を触ったときの感触を視聴者に伝えます。撮影現場では、カメラを持ち、表面を触ってみるというハンズオンのアプローチをしたいと思っています。GFX100SのIBIS/OISは、できるだけ余分な機材を使わずに手持ち撮影を可能にしてくれます。

撮影現場では、私たちがいる物理的環境の条件は様々で、その変化の速さに驚かされることもあります。「Unseen」プロジェクトでは、困難な状況下で撮影を行いました。防塵防滴に優れたGFX100Sのボディは、高温や低温、降水量など、さまざまな状況下でも問題なく撮影することができました。

GFX100Sのもう一つの大きな特徴は、顔・瞳検出機能です。この機能を有効に使うことで、被写体や役者の動きをシャープに捉え、その過程でフレームを失うことなく撮影することができます。

GFX100Sのようなカメラは、私のような映像制作者がストーリーを自然な形でとらえるのに役立ちます。ディーテール、感覚、色、動き、そしてそれらに付随する感覚を全て見ることができます。私がこのようなカメラを使うとき、私は記録するだけでなく、物語を生きているような感じです。
是非、皆さんにも私と一緒に物語の中で生きてもらいたいと思っています。

Turgut Cetinkaya
シネマトグラファー

「Unseen」プロジェクト