Gary Heeryが語るGFXのインプレッション
Gary Heery
富士フイルムが「開発中のGFXを使って試し撮りをしないか?」と話を持ちかけて来たのは2016年末。ちょうどとあるプロジェクトに取り掛かろうとしていたので、私はこのオファーを快諾した。その撮影現場は、動画にも収められていて、私が感じたこの新しいシステムの印象を述べている。
私は、休む暇を惜しんで次から次へとプロジェクトに取り掛かる写真家。これまでに7冊の本を出版して、広告撮影は数知れない。個展も年に1、2回は開催する。
私は、俗に言うカメラオタクではないと思っている。ただ、こだわりは、ほとんど縦位置で撮影すること。静止物を撮るときもだ。標準レンズを好み、画質ファイルは最良ので撮るようにしている。吐き出される画像の描写はクリアでシャープでなければならない。
デジタルに移行する前は、中判フィルムカメラや4x5判カメラを使っていた。デジタルに移行した当初はハッセルブラッドやマミヤ・リーフを使い、その後デジタル一眼レフを使うようになった。Phase Oneもレンタルして使ったことはあるが、あまりにも高価だったので購入を見送った。自分のカメラで撮るのが好きなんだ。だから、GFXの様に中判カメラで大きなファイルデータを取扱いながらも良心的な価格設定なカメラの登場をとても歓迎している。
この氷を使った撮影が行われた日は、とても暑かった。水やアイスが空中を舞う中撮影していたので、防滴構造はとても嬉しかった。水と電気の組み合わせは、非常にまずいとみんな知っているはず。まずは63mmの標準レンズで撮影をスタート。とても満足のいく描写だったが、その次に試した110mmのマクロレンズのシャープな描写にとても驚かされた。本当は、色々と性能を比較したりと試してみたかったけど、時間に限りがあったので、作品作りに専念することにした。
フォーカスが速いこととフォーカスビューがとてもクリアだったこともプラスだ。3.2型のチルト式LCDは、酔っ払ているときでも操作を誤らないだろう。デジタル一眼レフのときはチルトできなかったので頭のなかで混乱が生じたものだ。間違いをなくすためにも、その当時はテザー撮影でしのいでいたんだ。
撮れた写真のダイナミックレンジはとても広く、シャドーはクリーン。フィルムシミュレーションもとても面白い特徴だ。これから色々と試してみたいと思う。カメラ内で完結できることはできるだけ全てやってしまおう。「ポストプロダクションでどうにかしよう」なんて思わないほうが良い。古風的な考えなのかもしれないけど。その当時はネガが全てで、今は画像ファイルが生命線。
私は撮影後のレタッチは自分でしない。そのかわりにその道のプロに仕事をお願いする。そうすることで、一歩下がって写真を見つめることができ視野が広がるんだ。レタッチャーは、大きなファイルを好む。ちょっと前まではファイルが大きすぎると、コンピュータの動作が遅くなったけど、今ではそんな心配も皆無だ。
GFXは私の期待を裏切らなかった。とてもいいカメラだと思う。私の大きな手にもよくなじむし、想像していた以上にコンパクト。レンズの重さを考慮しても使い勝手が良いと思う。
まだまだこのカメラを使いこなしているとは言い難い。ほんの少し試したくらいだ。だから、このカメラを使ってこれから撮影できることに興奮を覚えている。