2017.02.08

Xシリーズの5年、"X100"から"X-Pro2"まで(David Airob)

富士フイルムのXシリーズとの出会いを今でも鮮明に覚えている。2010年のフォトキナで発表された製品を自宅で確認していた時にX100の画像が目に飛び込んできたのだ。
見た瞬間に魅了されてしまった。一目惚れだった。そして、それは5年経った今へとつながる良好な関係が始まった瞬間でもあった。

写真家として、撮影するカメラが創りだす画質はとても重要だ。それと同様に、私にとって外観とデザインも重要だ。
写真家は機材と共にする時間が長いので、デザインも非常に重要な要素なのだ。
X100を使い始めた当初は、DSLRのサブ機だった。それが、徐々に日々使う仕事用のカメラと変わっていったのだ。たった5年で成し遂げた技術的進歩は目覚ましい。X-Pro2では新しい領域へと踏み込んだ。

そして、もう1つの重要な要素を忘れてはならない。高性能なレンズ群だ。
個人的には「XF23mmF1.4 R」(35mm判換算:35mm)がお気に入りだ。このレンズがもたらす画角が好きでたまらないし、85%の私の作品はこの焦点距離で撮られている。
「XF16mmF1.4 R WR」と「XF56mmF1.2 R」も一緒にバッグに入れて出かける。非常にシャープで明るいレンズは、フラッシュなしで大抵の場面を撮影を可能としてくれる。本当にこれらのレンズを装着した時はフラッシュ撮影をすることはない。
この3本のレンズだけで世界中に旅することができる。まれに、報道の仕事で、汎用性が求められXF50-140mmF2.8のズームレンズを持ち出すこともあるが、単焦点レンズで撮影するのを好むし、私のスタイルである。

フォトジャーナリストとして、目立たないカメラはとても重要だ。周りに気づかれない方がより良い撮影ができる。そういう点でもXシリーズのカメラは私を助けてくれる。
Xシリーズのカメラを向けても、人々は脅威として捉えない。それは街中であっても他の現場であっても同じだ。
多くの場合、Xシリーズのカメラは、私の存在をかき消してくれる。ありのままの状態を捉えたい写真家としては貴重なカメラだ。

Xシリーズのカメラはデジタル一眼レフとは全く別物と私は考えているし、その活用方法も異なる。Xシリーズのカメラは、外へ出て周辺をよく観察するように促してくれる。大きなカメラだと背中が痛くなるので重量が気になるのだが、Xシリーズのカメラではそんなことは一切ない。歩き回り、観察して、シャッターを切るという写真の原点へと立ち戻り、その行為を楽しませてくれるのだ。ドキュメンタリー写真を理解するのにこれ以上の方法はないのだ。

David Airob(ダビド・アイロブ)