2015.06.03 FUJIFILM

XF90mmF2 R LM WRの画質

XF90mmの発表以来、にわかに盛り上がっていることがある。
公開された諸元表やサンプル画像を見て、”なんだこのMTFは?!”、とか”このシャープさは本当か?”と、そこかしこで話題になっているようだ。
1ヶ月後には、世界各国の店頭に製品が並ぶことになるので、その真偽は、実物を以って確かめてもらうとして、本稿ではFUJIFILMが設計・開発上に配慮したことを紹介する。
長焦点距離のレンズを設計する際に、課題となりやすいのは色収差だ。キレのよい望遠レンズを作るためには、色収差対策の成否が重要となる。ここでXF90mmのレンズ構成図を見てみよう。EDガラスレンズが3枚採用されている。
一般的な、135mm画角のレンズでは、2枚程度採用されることが多いが、これに対し、XF90mmはさらに1枚加えているということだ。しかも、レンズ構成の前部分の大口径のレンズ2枚に使っていることが特徴的で、これらが非常に効果的に色収差を抑制しており、シャープな画質を生み出している。
ところで、本レンズはポートレートレンズとしての使用を想定し、近距離(1~3m)での撮影距離でも、高い解像性能を発揮するように設計されている。

一般的に、カタログなどに掲載されているMTFチャートは、無限遠で撮影した場合の測定値をもとにしている。すでにご覧のように、XF90mmのMTFチャートはかなり良好だ。しかし、XF90mmの本当の実力が発揮されるのは、そこ(無限遠)の被写体じゃないということも覚えておいたほうがいい。
3mでのバストショット、1mでのヘッドショット。ポートレートの主戦場こそが、このレンズを選ぶ理由なのだ。