2016.06.02 Jason Halayko

Jason Halayko@レッドブル・エアレース千葉2016 Pt.1

ビクトリア市というカナダにある小さな町で生まれたが、13年ぐらい前から日本に住んでいる。この13年間様々な職業を経験してきたが、どのような仕事しても写真を撮ることが大好きだということに変わりがない。今ではプロの写真家になり、ダンスやDJ、BMX、FMX、大学の卒業式などの幅広い活動が出来ている。初めてFMXのイベントを撮影した時からずっとアクションスポーツのプロカメラマンになる夢を見続けて来たので、10年以上経った今、その夢が叶えられたことを嬉しく感じている。

プロとしての活動の中で、やはりアクションスポーツの撮影がメインになっているので、大分早い段階からNikonのDSLRを使うようになった。アクションスポーツのような動きがあるものを撮影する時に、こういったタイプのカメラはパフォーマンスやクオリティの面で頂点にあると思う、と思っていた。
しかし、これは少し変わって来ている。最近、市場にはミラーレスと呼ばれるカメラが出てきた。そして、この世界の先輩カメラマン達は、すでにミラーレスについて検討をしており、彼らに相談したところ、僕のシューティングスタイルに合うんじゃないかと考えるようになったのだ。そして、FUJIFILMから発売されているX-Pro2というミラーレスカメラのパフォーマンスやデザインをチェックして一番いいと思い、最近僕はNikonのD4sというカメラと共に使っている。
この数ヶ月間、様々な現場でX-Pro2を使ってFMXやBMXなど撮影している。正直に言うと、僕にとってX-Pro2は完璧ではないが、殆どのところで満足している。

まず、普段僕が使っているDSLRとの大きな違いは、X-Pro2のサイズと重さである。X-Pro2に比べると、僕の使うDSLRはかなり大きくて重い。数時間、ゆったり撮影するなら、それほど問題ないかもしれない。でも、朝から晩までの長い撮影の場合、その違いは痛いほど分かる。本当に“痛い”思いをしていた。でも、X-Pro2は小さくて軽いのに作りは頑丈で、撮影している時にちょっとぶつかったくらいなら気にしない。
ストリートでのBMXを撮影することがある。町中をライダーと一緒に移動する。僕は、自転車やスケートボードに乗って機材をかかえて同行する。カメラと数本のレンズといえど、かなり重くて体にかかる負担はバカにならない。しかし、X-Pro2と数本のレンズにするとずっと軽くて、一日がかりの撮影をこなしても、びっくりするほど体がラクだった。

画質でいうと、X-Pro2で撮影する写真の質は、殆どの場合十分にキレイに撮れている。満足している。特に、低感度域なら写真の質は高くて、D4sよりキレイなんじゃないかとも思う。だが、ISO4000よりも上げるとときは、D4sを使う。まだ正確な判断をするに早いかもしれない。でも、自分が撮ってきた数千枚の写真を見ているうちに、こう思うようになった。

他にも、X-Pro2について言いたいことはたくさんある。
アクションスポーツの撮影で重要なのは、フォーカスと動体を撮る時にどのぐらい明確に見えるかということだ。まず、フォーカスに関していうと、こういった撮影のときには大きく分けて二つのテクニックがある。一つ目は“置きピン”。これは何かというと、ライダーや撮りたい人物が出て来るところにあらかじめピントを合わせておいて、タイミングが来たらシャッターをおろすという手法だ。“置きピン”のときに大事なのは、“早さ”と“正確さ”で、X-Pro2はこの点でとても優れている。もう一つのテクニックは、“流し撮り”という撮り方。カメラで動いている人物などを追いかけて写真を撮り続けるというやりかたである。このような撮影では、D4sの方がやりやすいと思っている。これはフォーカスの問題というより、ファインダーの問題だと思う。僕は、X-Pro2を使うときは電子式のファインダーを使っているが、動体をおっかける事に関しては、D4sの光学ファインダーのほうが見やすい。被写体を、うまく追いかけて撮り続けるなら、こっちだと思う。X-Pro2は、光学ファインダーに切り替えることもできるけど、焦点距離100mm以下のレンズのときに使うべきで、望遠レンズのときはちょっと違うと思っている。

今週末、千葉で行われるレットブル・エアーレースでカメラマンを担当することになった。僕は、Nikon D4sとX-Pro2を持っていく。とても楽しみだ。今年の撮影の事前準備として、昨年撮影した写真を見て、ベストなシャッタースピードの検討をはじめた。速すぎるとプロペラが止まってしまってつまらないし、かといって遅すぎるのもよくない。ちょうどいいところのアタリをつけている。
また、X-Pro2にはXF100-400mmを装着することに決めた。昨年、僕は望遠域の撮影をあまりできなかった。でも今年は、この組み合わせがあるので、新しい写真が撮れるんじゃあないかとワクワクしている。
それから、ロケーションの下見も念入りにやっているところだ。前回撮影する事が出来なかった場所にもチャレンジしたい。レットブル・エアーレースというイベントは、日本国内でも最大級のスケールで、コースがとても広い。撮影方法や場所の構成をしっかり組み立ててなければならないのだ。

パート2を続けて読む:
Jason Halayko@レッドブル・エアレース千葉2016 Pt.2