2016.04.05 Toshimitsu Takahashi

作品を撮りたいと思わせるカメラ。

Toshimitsu Takahashi

1963年、石川県小松市生まれ。デザインプロダクション勤務を経て、1994年、高橋俊充デザイン室 設立。 アートディレクター、フォトグラファーとしての活動の傍ら、日々ドキュメンタリーを主体とする写真創作に取り組む。

【受賞歴】JAGDA年鑑・入選、日本APAアワード・入選、金沢ADC・会員特別賞受賞、金沢ADC・準グランプリ受賞、ほか多数。【作品展】1983年「FACE」、1985年「WHAT’S GOING ON.」、1993年「異人伝心」、2011年「SNAPS Italia」金沢・東京、2014年「SNAPS Sicilia」神奈川、2018年「SNAPS ITALIA」表参道、代官山。ほか出展多数。【写真集】2014年「Sicilia Snaps 2013」、2018年「SNAPS ITALIA 2010-2017」

X-E1と出会い、モロッコを旅した。旅のカメラはコンパクトでさり気ないものがいい。X-E1はそんな旅に最適なカメラだった。手に納まるようなサイズとルックス。人々はファインダーを向ければ笑顔で応えてくれた。碧い路地が印象的なシェフシャウエンからサンドベージュの迷宮、フェズ。それぞれ独特の空気と湿度を感じる。X-E1はその空気までも写し出してくれた。フェズの夕暮れに出会った子供達。ひとり、またひとりと集まり、私達を撮ってくれと言わんばかりにカメラ向かって微笑んでいた。その笑顔は今でも忘れられない。

シチリアに訪れた際、X-E1にCarl Zeiss 12mmと32mmの二本のレンズを携えた。Zeiss T*コーティングは銀塩フィルム時代から愛用して気に入っていた。高いコントラストに色乗りも良く、シリチリアンブルーの淡い空、青い海をX-Transセンサーは見事に描き出してくれた。まさに銀塩の頃の画を思い起こさせてくれるものだった。

X-E2へ進化したEシリーズはさらにスナップシューターとして快速ボディとなった。街を歩きカメラを向けたくなる瞬間。ファインダーを覗きフォーカスを合わせシャッターを落とすと言う一連の動作が、X-E2ではほぼシームレスとなった。搭載された位相差AFのスピードは圧倒的でワイド23mmや14mmレンズを装着した時には、ほぼフォーカスタイムラグを感じることはなかった。フォーカスのストレスから解放されると被写体に集中できる。撮りたい気持ちと写真がシンクロするのだ。道行く人々はカメラを向けられていることすら感じない。ありのままのイタリアの日常を捉えることが出来た。

Xシリーズの進化は止まらない。一眼レフライクなルックスで登場したX-T1。そのEVFファインダーは、驚くほどの広い視野でまさに光学一眼レフのファインダーを覗いているかのような気持ちにさせてくれた。また、カメラを操作するという上で軍艦部に並ぶダイヤル類はなんとも言えない安心感を与えくれる。このカメラを手にしてから仕事においてもXシリーズの出番は圧倒的に増えた。もちろんカメラだけが良くてもいけない。写真はレンズで決まる。これまでに出揃ったXFレンズはすごい数となっていた。すべてX-Transセンサーのために設計されたレンズ群は驚くほど高画質で、中でも描写へのこだわりを持った単焦点レンズは魅力的なものばかりである。特に気に入ってるのはXF56mmF1.2だ。ピント面の力強い立体感に対しやわらかいボケ。捉えた絵はどれも幻想的な世界へと導いてくれる。

ハイブリッドビューファインダーはX100Tにより大きく進化した。OVF内に小さなEVF窓を表示させる事によりピントの確認が出来るようになり、これまでのOVFの使い勝手を一気に向上させるものとなった。X-Pro2にもさらにその進化形が搭載され、OVFの表示倍率の切り替わるマルチビューファインダーも含め、このファインダー窓の中には、ものすごい技術が詰め込まれている事になる。なぜここまでOVFにこだわるのか。それは光学ファインダーに優るものが無いと言う事だ。ファインダーを覗き、ブライトフレームに構図を描いて写真を撮る。この非常にシンプルなこの行為のための、最高の道具を作りたいという強い思いだろう。
ファインダーのみならずX-Pro2への進化は驚くべきものがある。X-Pro1で産声を上げた唯一無二のカメラは、フォーカススピードを始め様々な改良が加えられ完成形と言えるだろう。見た目こそ同じだが全く別のカメラと思えるほどの仕上がりだ。そしてその良さはスペックに表れないものも多く、手にして使って見て初めて伝わってくる。ダイヤル、スイッチのクリック感。職人が作り出したクラフトのように一つ一つ手に伝わってくる。そして何より気に入っているのがシャッターフィーリングだ。なんとも言えない心地よさで、低くささやくようにシャッター音が手の中で響く。よく写ればいいだけだろうか。そうではない。カメラは単なる道具ではなく、まさに作品を生み出す身体の一部なのだ。手に馴染み触っているだけで気持ちも高揚させてくれる。そしてなにか郷愁を感じるカメラ、X-Pro2。
このカメラとともに早く次の旅に出掛けたい…。

ハイブリッドビューファインダーはX100Tにより大きく進化した。OVF内に小さなEVF窓を表示させる事によりピントの確認が出来るようになり、これまでのOVFの使い勝手を一気に向上させるものとなった。X-Pro2にもさらにその進化形が搭載され、OVFの表示倍率の切り替わるマルチビューファインダーも含め、このファインダー窓の中には、ものすごい技術が詰め込まれている事になる。なぜここまでOVFにこだわるのか。それは光学ファインダーに優るものが無いと言う事だ。ファインダーを覗き、ブライトフレームに構図を描いて写真を撮る。この非常にシンプルなこの行為のための、最高の道具を作りたいという強い思いだろう。

ファインダーのみならずX-Pro2への進化は驚くべきものがある。X-Pro1で産声を上げた唯一無二のカメラは、フォーカススピードを始め様々な改良が加えられ完成形と言えるだろう。見た目こそ同じだが全く別のカメラと思えるほどの仕上がりだ。そしてその良さはスペックに表れないものも多く、手にして使って見て初めて伝わってくる。ダイヤル、スイッチのクリック感。職人が作り出したクラフトのように一つ一つ手に伝わってくる。そして何より気に入っているのがシャッターフィーリングだ。なんとも言えない心地よさで、低くささやくようにシャッター音が手の中で響く。よく写ればいいだけだろうか。そうではない。カメラは単なる道具ではなく、まさに作品を生み出す身体の一部なのだ。手に馴染み触っているだけで気持ちも高揚させてくれる。そしてなにか郷愁を感じるカメラ、X-Pro2。

このカメラとともに早く次の旅に出掛けたい…。