X-H1開発秘話 #2 -フレーム Pt.2-

中編では、内部構造に目を向けたい。 デバイスは、それ自体の性能も必要だが、その性能を如何なく発揮できるように組まれていることも重要なのだ。特にX-H1は、従来のラインナップには無かった新たなデバイスを搭載することになっている。

まず最初にあげられるのは、手ブレ補正ユニット(IBIS)だろう。Xマウント初となるIBISを配置すること自体、設計としてはチャレンジなのだが、画質のFUJIFILMを自負する”最高性能”のIBIS搭載を目指した。つまり最初から最高を狙ってしまった。IBISの開発チームの気持ちも分かるが、外装設計チームのチャレンジのレベルは更に高まったというわけだ。

次回以降、IBISについての稿を予定しているので、ここでは多くは書かないが端的に言うと、最高性能を出すためにかなり奢った設計になっている。ポン付けできるような大きさでもないし、したとしても性能は出ない。
そこで取られたのが、内部にIBISユニットを保持するための内骨格的なフレームを持たせるという手法だ。これはまさしく”内骨格”である。
複雑な形状のパーツを取り付けなければならないので、加工性にすぐれるマグネシウムが採用されているが、こちらもかなり肉厚。それ自体が骨太な支持体になっているが、さらに強度を増すためにスチール製の補強材が組み合わされている。IBISユニットが高速振動しても、ビクともしないようになっている。

手ブレという外部振動に対し、IBISが自ら振動してブレをキャンセルする。しかし、振動は実は、カメラ内部からも発生する。代表的なのはミラーショック、それからシャッターショックだ。X-H1はミラーレスカメラなのでミラーショックは無い。しかし、シャッターショックはある。
もともとXシリーズは、シャッターショックへの対策を講じた設計となっている。

 記事 シャッターの性能

しかし、IBIS搭載機となると話しは別だ。センサー部分をフロートさせておかねばならないので衝撃に対してより敏感になる。従来よりもさらに高いレベルの衝撃対策が必要となる。

要は、IBISを含めたセンサーユニットが衝撃に対して敏感なのが課題なのだ。それならば、衝撃が伝わらないようにすれば良い。シャッターユニットはセンサーの目の前にあるのに?そんなこと出来るのか?

出来る。というか、やった。具体的には5本のスプリングを使って、シャッターユニットを保持する構造がその解だ。スプリングによって、シャッターユニットはいわば中空に吊られているのだが、シャッターが動作したときも、このスプリングがショックアブソーバーとなって衝撃を吸収する。つまり、他のデバイス・カメラ内へと振動が伝わらない。

うんちくに過ぎないが、この5本のスプリングはそれぞれの張力が異なっている。 シャッターが動いた時、5点それぞれにかかるインパクトが違うからだ。 さて、その衝撃対策の効果たるや一目瞭然。 画質に対するインパクトはほぼ無くなったと思っていいだろう。

同時に、静粛性にも大きく効いてくるが、この点についてはYoutubeでRobert FalconerやFabio Lovinoの映像を見てもらうと、その恩恵の絶大さが分かることだろう。

X-H1: Robert Falconer x Cinema Still "Luchador" -Proud of-
X-H1: Fabio Lovino x Cinema Stills -Proud of-

それから最後に、動画性能の向上についても紹介しよう。
X-H1の連続動画撮影時間は、X-T2よりも1.5倍に伸びている。4K撮影などの負荷の高い処理をさせ続けると、プロセッサがオーバーヒートしてしまうので、リミッターがかかっているわけだ。ではなぜ同じデバイスを使っているX-T2より、X-H1は長く撮れるのか?

フレーム設計は、その答えの一つを担っている。X-H1は、プロセッサで発生する熱を効率的に外に逃がすために、大型のヒートシンクを搭載している。そして、ヒートシンクで吸収した熱をカメラの前面・背面へと伝達させ、より多くの表面積を確保することで早く熱をカメラ外部へと放出するようになっているのだ。

デバイスを活かすも殺すも、フレーム次第ということがお分かり頂けただろうか。
次回は、フレームのパッケージングとしての秘密に迫りたい。 Å


ホーム X Stories X-H1開発秘話 #2 -フレーム Pt.2
© FUJIFILM Corporation