Robert Falconer ~映画のスチル写真をX-H1で捉える~

X-H1 & XF56mmF1.2 R

映画やテレビの撮影現場は混沌としている。数多くの職人や技術者が、良い作品を創ろうと共通の目標に向かって各々の仕事に没頭しているのだ。こういった環境で映画スチル写真を撮るのは、時に難しく困難を極める仕事だが、彼らの撮る写真こそが、広告ポスターなどに使われ視聴者が最初に見るビジュアルイメージになる。

Robert Falconerは、これまでDCTVの「Supergirl」、「Arrow」、「The Flash」、FOX TVの「Xファイル」、映画「プレデター」など数多くの映画やテレビシリーズの現場に携わってきた。若い頃は、写真家として活動していなかったものの、幼少時代から写真は彼の欠かせない一部だった。ここでは、映画スチル写真の仕事や、仕事の大部分を富士フイルム「Xシリーズ」で撮る理由について語ってもらう。

知らない人もいると思うので、映画スチル写真とはどう言った仕事か教えてください

簡単に言うと、私たちの仕事は、撮影現場の写真を撮ってドキュメント化することです。同時に、その映画やテレビシリーズの宣伝に使用されるイメージカットを撮ります。しばしば、肖像画やバックグラウンドに使う巨大なパノラマイメージだったりと、映画に必要な小道具などの素材となる写真も撮ったりします。

あらゆる撮影をこなさなければならないのですね。

そうですね。映画スチル写真の仕事をこなすには、ジェネラリストでなければなりません。昨今、駆け出しの写真家には「専門性を持つように」と言われますが、それに反するものです。また、良い仕事をするには、撮影監督を理解し、映画的な目線を持っていなければなりません。(私たちの場合は、24fpsでなく、1コマずつストーリーを語ります)

写真に興味を持ったきっかけは何だったのですか?

子供の頃、1970年代まで遡ります。幼い頃から写真が大好きで、その時代に育った多くの子供達と同じ様に、コダックのインスタマティックカメラで「ビジュアルストーリー」作りにハマりました。父親は、1938年に製造されたライカIIIを持っていて、どうにか使わせてもらえないか懇願したのを覚えています。「落とさない」、「傷つけない」と約束をかわしてようやく使わせてもらうことができたのですが、このカメラは実に使いづらかった。ツインビューとなっていて、構図とフォーカスを別々にしなければなりません。シャッターを切る準備が整った頃には被写体はすでにいなくなっていたものです [笑]。しかし、このカメラで学んだものは今の私の基盤となっています。その後、両親はクリスマスにキヤノンの中古一眼レフをプレゼントしてくれました。個人的な実験的撮影、大学新聞の写真、旅行写真撮影、友人の結婚式やポートレートなどだんだんと本格的に写真を撮る様になり、プロ写真家としての土台づくりとなりました。

X-H1 & XF56mmF1.2 R
映画スチル写真を撮り始めたのは最近のことです。きっかけはなんだったのですか?

やりたかったことが全て交わった着地点だったと気付いたからです。大学を卒業してからは、脚本家としてのキャリアを追求していました。Star Trekや他のシリーズに10年間携わり、ストーリー展開や脚本など様々なアイデアへの賛辞を受けましたが、最終的には有効なキャリアパスを描くことが出来なかったので、別の道を歩むことを決心しました。憧れの職業だったので、とても辛かったのですが、安定した生活できるだけの収入を得ることができませんでした。なので、次は自分のライティング・スキルを活かせる、ジャーナリズムの世界へと飛び込みました。

それと並行して写真も撮り続けていたのです。数年前、写真に対する情熱がさらに熱くなり、フルタイムの写真家になりたいと思う様になりました。ある種の閃きですが、映画スチル写真だと今まで自分が培ってきた脚本家やジャーナリストとしての経験が全て活かせると感じ取ったのです。原点回帰とでも言うのでしょうか、そして今、再びエンターテイメント業界に戻ってきました。

この仕事の最も難しいところは何ですか?

自身の存在をかき消すこと[笑]。特に役者の集中の妨げになってはいけないですし、クルーの邪魔にならないようにする気を配る必要があります。ケーブルを引っかけないようにしながら動き、役者の目線に入らないように心掛けつつも、道具の写り込みのない良いアングルで写真を撮らなければなりません。だから、良い写真家であることに加えて、忍者でなければならないのです。

Xシリーズとの出会いについて教えてください。

Xシリーズとの出会いは2011年。アフリカにあるライオン保護地区の撮影をする時に使ったのがきっかけです。大規模プロジェクトだったので、カメラ一台だけで行くにはリスクは大きく、とは言え、重くて大きい一眼レフカメラをもう一台持っていくのも嫌でした。コンパクトで良いサブ機はないか探していたところ、X100を絶賛していたDavid Hobbyのインタビューを思い出しました。早速、家の近くの店で現物を確かめ、その場で撮った数枚をSDカードに入れ、家に帰りました。画質の良さに本当に感銘を受けました。翌日再びカメラ店に戻り、購入しました。当時のオートフォーカスは "のんびり"としていましたが、写真の描写が素晴らしく、メインの一眼レフよりも良かったです。それにコンパクトなので、カメラを向けても被写体に警戒されない。おかげで、親密なショットを撮ることができました。アフリカから戻った後、私はX100を売り、X-Pro1を購入しました。新モデルが発表されるたびにXシリーズのカメラは進化を遂げ、レンズ群も拡張され、エコシステムの完成度が高まりました。その後、X-T1を追加しました。

X100
ミラーレスカメラで仕事するメリットとは何ですか?

X-T1がターニングポイントだと思います。 X-Transセンサーとフジノンレンズから得られる画質にますます感銘を受けただけでなく、X-T1は無音シャッターを導入した最初のXシリーズのカメラでした。これは、我々にとってゲームチェンジャーでした。なぜなら、撮影現場で最も重要なことは、我々の機材が音を立てないことだからです。静かじじゃなくて、無音が理想。その次に重要なのが、高感度性能。Xシリーズのカメラは、一眼レフだと音無しでは不可能なショットを可能にしてくれます。さらに、ミラーレスなので、事前に撮影イメージを確認することができます。おかげで、失敗したカットが減りました。 X-T1 / X-T2 / X-H1にあるチルト式スクリーンは、カメラサイズが比較的小さいことと相まって、今まで撮影することができなかったアングルをも可能にします。撮影幅が広がるのでクライアントに提供できるカットのバラエティも増えて喜ばれるのです。すべて設定をコントロールして、意図したとおりにカメラを使うことができるのはミラーレスならではだと思いますね。

X-H1 & XF56mmF1.2 R
Xシリーズでの撮影で気にって入るところは何ですか?

私はカメラ愛好家であり、またカメラ歴史の愛好家でもあります。時間が許す限り業界のトレンドを追っかけています。長年にわたり私はほぼすべてのカメラブランド、キヤノン、ニコン、ライカ、ペンタックス、オリンパスなどで撮影しました。あなたが天体物理学に精通しているなら、 " ゴルディロックスゾーン"の原理を聞いたことあるでしょう。この原理は、いかに太陽と地球の距離が生命を維持するためにベストバランスを保っているのかを説明しています。少しでも近づくと地球は暑くなりすぎ、少しでも離れてしまうと寒すぎるのです。Xシリーズのカメラも同じように考えられます。なぜなら、少なくとも私がやっている仕事では、使いやすさ、パフォーマンス、画質の全体的なバランスが最も優れているからです。さらに、私はX-T2とX-Pro2を酷い埃の多い環境にさらし、岩石採石場の雨の中で使用したこともあります。それに、セットで何回も落としたこともありますが、壊れることもなく写真を撮り続けてくれます。撮影場所も選ばす、最高の仕事をしてくれます。 加えて今は、GFXもありますね。

仕事で一番使うレンズはどれですか?

私はいくつかのレンズを使用していますが、一番使うのは、XF16-55mmF2.8とXF50-140mmF2.8のズームです。身動きのとれない場所にいても、広角から望遠まで汎用性が高く高画質なショットが撮れるからです。近年は、ARRI Alexaのような非常に高感度性能が優れて、暗闇での撮影でも力を発揮するシネマカメラがあります。なので、スチル写真でもISO 6400以上で撮らなければなりません。このような状況では、XF56mmF1.2とXF35mmF1.4を絞り開放で使います。これら2つのレンズのもう一つの利点は、描写がとてもシネマチックなところ。味のあるイメージが撮れるのです。

X-Pro2 & XF35mmF1.4 R
インスピレーションはどこから得てますか?

いろいろなものからインスピレーションを得ています。写真家 SebastiãoSalgado、Henri Cartier-Bresson、Diane ArbusやRichard Avedonなどの作品。ピエール・モンドリアンの芸術や、ル・コルビュジエのデザイン。それにもちろん、映画やテレビ。突き詰めるとアート、音楽、ファッション、または書籍などあらゆる要素からインスピレーションを得ています。「写真をとるために、どのように本がインスピレーションを与えるのですか?」と質問されたことがあります。答えは簡単。場面や状況の説明的な段落は、(スクリプトを読むのと同じように)視覚的に刺激され、インスピレーションを与えることができます。単語でさえインスピレーションを与えることができます。よく、写真は何千もの言葉の価値があると言います。しかし逆に、写真を見て「悲劇的」「皮肉な」「美しい」といった一言をすぐに連想する人は何人いるのでしょうか?その写真は「________」だと。時間がある時、「皮肉」を探しに街へ出かけてみてください。それを視覚的に捉えようとしてみてください。インスピレーションはどこにでもあります。

映画スチル写真以外でどのような写真を撮りますか?

ファッション、ビューティ、ポートレート、旅行写真など。それをシネマチックに捉え、新しい作法を見つけることが好きです。クリエイティブの刺激にもなります。

X-Pro2 & XF56mmF1.2 R
X-T2とX-Pro2に加えて、新たにX-H1も使い始めました。このカメラの気に入っているポイントを教えてください。

主に2つあります。まずはカメラから得れる撮影のフィーリング。ソフトなシャッターレリーズや6fpsでのブラックアウトフリー連写などレスポンスが向上しています。より静寂なシャッター音と組み合わさると、すべてが直感的に感じられます。もう一つは、IBIS。ボディ内手ブレの技術的制約を理解し、この機能を使い分けることが大切です。例えば、三脚を用いた風景写真では不要です。シャッタースピードを1/500秒以上に設定する昼間のスポーツ撮影でも必要はありません。しかし、静かで暗いセットを、XF56mmF1.2 Rレンズを使用して撮影する場合、IBISは必要でしょう。シャッタースピードは1 /30秒 、ISOは6400に設定しても大丈夫。IBISのおかげで、ブレのない鮮明な写真が撮れるでしょう。

それ以外にも、X-H1は、長時間の撮影時にとても重宝します。正確にピントを合わせるために改良されたAFアルゴリズム、大きくなったハンドグリップ、高精細なEVF、電子先幕シャッターモード。ちょっとした改良ポイントですが、一つ一つが写真家に少し余裕を持たせてくれるので長丁場の時に生きてきます。

映画業界で得た経験から、写真愛好家へアドバイスできるようなものはありますか?

良い質問ですね。私が思うに大切なのは、対人コミュニケーションを磨くことが重要だということ。映画撮影現場はエネルギーに満ちたクリエイティブな人々が多く交わる刺激的な環境です。良い写真をとるには、時間制約がある中、みんなを安心させて寛容にし、各々の能力を尊重し必要な時間を与えなければなりません。これは、どんな写真にも適用できるスキルです。ポートレート、婚礼、または旅行写真でも行かされます。まず大前提としてまず人間であれ。写真家はその次であることを忘れないでください。

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