2021.07.07 Takashi Sato

風景撮影におけるXF50-140mmレンズの魅力

Takashi Sato

1963年福井県生まれ。山岳写真家・風見武秀氏に師事した後、フリーとなり、47都道府県の農村や自然風景などを対象に撮影を続け、新潟県魚沼と埼玉県見沼田んぼをライフワークとして取材している。近年は、懐かしくほっとする日本の原風景をテーマにした作品作りをしている。その傍ら、写真ワークショップ「里ほっと」を地元埼玉県の見沼田んぼで主宰する。写真集に「47サトタビ」(風景写真出版)「こころの故郷」(恒文社)。写真展は、2014年「里の風景」フジフイルムスクエア、2015年「In the Heart of Japan」モントリオール市立植物園、2017年「47 ぼくのより道」フジフイルムスクエアなど。日本風景写真写真家協会会員(JSPA)。

2020年の春から初夏にかけて、近所で散歩しながら写真を撮るようにしていました。何か見つけたら何でも撮るようにしていたその経験を経て、写真表現に厚みが加わってきていると感じています。

一番はXF50-140mmの使い方に変化が生まれたことです。

中望遠レンズの特徴を生かす撮り方がずいぶんと備わったと思います。一つはボケの美しさを活かす描写。もう一つは圧縮効果で遠くのものを引き寄せる画面構成です。

1.前ボケの主張を写し込む撮り方

奥の被写体にピントを合わせて手前には草や花などを入れ、絞りを開放値近くで撮ると手前がふわっとした雰囲気になる。それが前ボケです。

XF50-140mmはF2.8の明るいレンズのため、前ボケも軟らかく、撮影をしていて楽しくなります。XF50-140mmの手持ち撮影を繰り返し行っているとレンズを支える左手はレンズと馴染んできます。レンズ自体には信頼できる5軸の手振れ補正機能が付いていますが、レンズの持ち方が安定すると、さらに被写体に対してピントが食いついて離れないような感覚になります。Xシリーズの解像度豊かなファインダー越しに見る前ボケには主張があることが感じられます。以前は、前ボケは色味のトーンで見ていましたが、最近では前ボケを大事にした画面全体の世界観を意識して作り出すようになりました。

2.遠くのものを引き寄せる圧縮効果

望遠レンズの最も特徴的表現は圧縮効果を活かした撮影だと思います。撮り方としては、可能であれば見つけた被写体から後ろに離れていき、遠くの被写体と一緒に写す方法です。

前後左右に動きながらの微妙なフレーミング調整も、XF50-140mmならやわらかい動作で素早く正確にズーミングできるので安心です。アクティブなアングルはもちろん、三脚を構えての場面でも、フレーミングが気持ちよく決まります。

3.見つけた物を瞬時に撮れる速写性

普段、GFX 50RとX-T4の2台体制で撮影に臨んでいますが、撮影地まで歩いている時や、GFX 50Rを三脚に固定して撮影している時には、 X-T4にXF50-140mmをつけて首からぶら下げていることが多いです。XF50-140mmの特徴の一つに速写性があると思っていて、いつでも撮れるようにしています。これを撮ったらどうだろう?など余計なことは考えず、かわいい、きれい、と感じた心のまま気楽に写すことが大切です。

ボディ内手ブレ補正搭載のX-T4との組み合わせだと5軸、6.0段の手ブレ補正が得られ、最強の組み合わせだと思います。

XF50-140mmを手にして、初めて撮影した時は驚いたものです。単焦点レンズのようなキレキレな描写が得られたから。これからも、このレンズで何でも撮る、その姿勢は変わらないだろうと思います。それによって自分自身の撮影技術に更なる進化が現れると嬉しいです。XF50-140mmをよりたくさんの方に使ってもらえたらと思っています。