2013.10.06

HABUによるXF18mmF2 Rのレビュー

空の撮影をするときに解像度の高いレンズを選ぶ理由は、雲のエッジを立てたいから。どうしても雲はにじみやすいのである。カチッと写るレンズで最適な露出で撮ることで、雲の立体感と質感が表現できる。

X-Pro1とXF18mmF2レンズの組み合わせでは、夕方近くに表れた雲のモコモコとした形から奥行きまで見事に再現できた。雲のハイライト部分からシャドー部の明暗、空の青さ、地上の陰影まで、思いどおりに描けている。表現領域がとても広い。

ちなみに、「ハイライトトーン設定」は-1のミディアムソフト、「シャドウトーン設定」は+1のミディアムハード。ハイライトは滑らかに、シャドーは少し強めに。これが空の撮影ではよいようだ。

僕が空を撮影するときのテーマのひとつは、「グラデーションをどこまで出せるか?」。雲の白が飛ばないように、印象的な空の青が出せるように――。どこを中心にするか、またどの部分のディテールを写し込むかを考えて露出を決め込んでいくことが大事である。
適正露出から1/3段ぐらいマイナス。そこを中心に、1/3EVか2/3EVステップ刻みのAEブラケティングで撮影するのがHABU 流だ。露出を1/3段変えるだけで、ディテール表現に差が出てくる。だからこそ、1/3段にもこだわる。露出を雲で測らず、青空などで測ることもポイント である。
明暗差の大きな被写体であるから、ダイナミックレンジは広げておいたほうがいい。X-Pro1ではダイナミックレンジを400%に設定。ダイナミックレンジを拡大するためにISO感度を上げているが、さすがは高感度に強いX-Pro1。素晴らしい画質だ。

僕の愛犬、アンコである。カッチリと気持ちのよいレンズだから、彼女と晴れ渡った空まで写し込みたいと反射的に思い、パンフォーカスで撮影。犬の毛の1本1本、草の葉の1枚1枚、空の色までも精細に描写できている。X-Pro1+XF18mmF2レンズの醍醐味である。
露出の違う空と地上、どちらを優先させるかはいつも考えることであるが、これはアンコが主役だから、地上側の露出に合わせている。

また、このセットのうれしいところは、相当にコンパクト、相当に軽いことである。地面スレスレから空を見上げての撮影も、とても簡単。すぐに動いてしまって難しい犬の撮影も、機動力があるから、良い瞬間が押さえられる。

こちらの夕景は、僕の家から撮影したものである。夕焼けのきれいさから、思わずX-Pro1とXF18mmF2を手にし、撮影したものである。
微妙な赤のグラデーション、種類の違う雲のやわらかさ。これらすべてが、XF18mmF2+「Velvia」モードで撮っただけ。フィルターもパソコン上での加工も、何も手を加えないまま得られる。素晴らしい。

「このフィルムで撮ったら、こういう画が上がってくるだろう」とフィルムで撮っていたときと同じようにシミュレートできる。そして、思いどおりに再現できる。これこそが、フィルムメーカーが作ったカメラたる証だろう。

空の作品づくりにふさわしい画質と色再現を可能にするX-Pro1とXF18mmF2。それに加えて、僕の写真心をくすぐるのが、ファインダーと ダイヤル式の操作系である。単焦点レンズで、ファインダーを覗きながら構図を決めていると、「一歩前に出よう、もう少し横かな。縦位置はどうかな?」と、 次から次へとアイデアが浮かんで、気持ちが乗ってくる。露出を変えるのもダイヤルで気持ちがいい。乗ってくると、写真も良くなる。
そんな相乗効果が、このカメラにはある。

僕が空の写真を撮り始めた頃から追い求めたクオリティに加え、新たな世界も見せてくれるX-Pro1とXF18mmF2。僕はこのセットで、もっともっと空の風景をつむいでいく。