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2020.01.27 David Klammer

X100F「コモン・センス」ベッティナ・フリートナー x デービッド・クラマー

David Klammer

1961年西ベルリンに生まれる。2007年よりフォトエージェンシーLAIF/Cologneのメンバー。写真家兼ビデオグラファーで、エディトリアルやコーポレート系のポートレートやルポをメインに撮影している。

エディトリアル系のクライアント: 
STERN Magazin, GEO Magazin, DER SPIEGEL, DIE ZEIT, CAPITAL, TIME Magazine, Wirtschaftswoche, Mercedes Classic Magazin, Nissan Magazin, Lufthansa Exclusive, u. a.



コーポレート系のクライアント: 
AUDI Magazin, KPMG, DPDHL, RTL, Unitymedia, TUEV , Deutsche Rotes Kreuz, Transfair, Misereor, DWHH, Birkenstock, u. a.

日曜の朝、パリ中心部のサン・メダール広場はまだ静けさに包まれている。野菜売りの屋台を組み立て中の人がいる。小さな教会の前で、礼拝の参加者たちが自撮りをしている。首都パリでも最も古い街区の一つに、この美しい場所はある。

クリスチャンもいる。アコーディオンの音色の最終確認をしている。彼は40年間、日曜日になると必ずこの場所にやってきて、伝統的なフレンチシャンソンを演奏する。この街区に住む人たちが、耳を傾け、おしゃべりし、笑い合う。ここは観光名所ではない。このエリアに限れば、パリは今でも地元住民のものだ。

私は今日、セーヌ川沿いにパリの街を移動するベッティナ・フリートナーに同行している。この著名な写真家がなぜFujifilm X100Fを常に持ち歩くのか、その理由を知りたいのだ。私は自分のFujifilm X-T3で彼女を撮影する。

少しずつ、人々が集まり広場を満たしていく。その中にエリザベスがいる。赤い帽子をかぶり、曲に合わせて踊りながら、これも赤色のハンドバッグを振り回している。燃えるようなオレンジ色の髪を持つ振付師や、車いすの人、そして愛想のいい笑みを浮かべ、ワインボトルを持ったホームレスもいる。興味を掻き立てる小宇宙だ。そして、小さなFujifilm X100Fを手にしたベッティナは、これら全ての被写体に没頭している。彼女は人だかりや音楽に合わせて動き回り、笑い、人々の頬にキスをする。曲に合わせて歌ったりもする。まるで人々の写真を撮ることなど、二の次であるかのようだ。それでもやはり、ベッティナが撮る写真は強力で激しく、見る者に迫る。彼女にとって、カメラは扉を開く鍵であり、見知らぬ人と交流するツールである。関係やつながりを築くためにはカメラが欠かせないと、彼女は言う。ベッティナは好奇心が旺盛で、鋭敏な精神の持ち主だ。被写体となる人物のストーリーに興味を抱き、その人物を撮った彼女の写真を見るであろう人々の心にも、同じような興味が湧いてほしいと思う。人々を突き動かすものは何だろうか?脚光を浴びたいという願望か?

ベッティナ・フリートナーは、1989年から写真家として活動している。それ以前には、映画制作者としての教育を受けた。そのことが、写真撮影に対する彼女の考え方に影響を与えたに違いない。彼女の作品には、一貫した特徴を示すものが多い。画像の多くは、写真とテキストで構成されている。彼女のテーマは、ポートレートや政治的なエッセイ、レポートなど多岐にわたる。 ベッティナ・フリートナーは、公共空間に作品を展示することにより、そして挑発的なテーマを取り上げることにより、名声を獲得した。例えば右翼の過激派や売春宿の客、売春婦などをテーマにした、長期的な写真プロジェクトを展開した。これまでに、写真集を10冊出版している。彼女の写真作品は数々の賞を受賞し、国際的な写真展に出品されている。長年にわたり、ベッティナはニコンのシステムを使用してきた。最近になって彼女は、Fujifilm GFX 50SとコンパクトカメラX100Fを新たに使い始めた。システムをめぐる技術的な旅路がベッティナをどこに導くのか、現時点ではまだ分からない。

街中での偶然の出会いを求めて、私たちはさらに先へ進む。曲がりくねりながら坂を上るムフタール通りで、個性的な顔立ちの老人を見かけた。やや猫背気味に道を行く彼は、しゃれ男のような身なりで、画集を脇に抱えていた。通り沿いに立ててあったウォールミラーの前で立ち止まると、手ぐしで髪を整えた。興味をそそる顔つき。ベッティナ・フリートナーは老人に近づき、話しかけた。彼は少し臆した様子で、私の大きなカメラをしげしげと眺めた。一方、小さなX100Fは気にならない様子だった。しばらくして、彼は写真撮影にOKした。後でベッティナが説明してくれた。大きなデジタル一眼レフではなく小型カメラを使えば、委縮する人は少ないという。撮影した人々との連絡を怠らないことが重要だと彼女は語る。そうすれば、彼女の顔を見掛けた彼らのほうからコミュニケーションを取ってくるそうだ。「コミュニケーション」は、ベッティナが好んで使う言葉だ。言葉だけではなく実行する – 両方向で。

夕暮れが迫ってきた。セーヌ川岸のスピーカーからアナウンスが聞こえる。遠くで人々が集まっている。ろうそくを手に持つ人々がいる。ジュリアン・アサンジ氏の釈放を求める抗議活動が行われているのだ。ホルン奏者たちの音色が聞こえなくなってしまったら、パリはもはやパリではなくなるだろう。ベッティナ・フリートナーが本領を発揮しはじめた。人々の間を楽に通り抜け、ミュージシャンたちのそばを過ぎると、異彩を放つ指揮者にカメラを向けた。ベッティナ・フリートナーの写真からは、彼女の特徴である鋭い認識、親しみやすさ、そして好奇心が明確に見て取れる。そして彼女のカメラは人々の気持ちを圧迫するようなものではないことも分かる。

この映像で使用した技術:

  • FUJIFILM X-T3(1080フルHD、LOG、50FPS)
  • FUJINON XF23mmF1.4
  • FUJINON XF56mmF1.2
  • DJI Ronin SCジンバル
  • X-T3用 Smallrigケージ
  • 指向性マイクを接続したZoom F1レコーダー

デービッド・クラマーについて

デービッド・クラマーは写真家であり映像作家でもある。作品は数多くの賞(the World Press Awardなど)を受賞している。最近では2019年に、ハムバッハの森をめぐる抗議活動を取り上げたレポートが高い評価を得て、「Rückblende」から「the First Prize for Political Photography」という栄誉ある賞を授けられた。 クラマーは、シュピーゲルやシュテルン、ゲオなど数多くの雑誌に寄稿する、フリーランスの写真家として活動している。また、いくつかのNGOにも協力している。

デービッド・クラマーは、2019年からFujifilm Xフォトグラファーを務めている。

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