15年くらい前からいくつかのデジタルカメラを持ち替えながら、妻や娘をときどき撮っていたけど、富士フイルムの「X-T10」に出会ってぼくのカメラ生活は変わった。というより、「生活」が変わった。
「色味で、写真がこんなに楽しいなんて!」
「手が喜ぶと、こんなに撮りたくなるなんて!」と。


それから「X-T10」を5年、後継の一つ「X-T30Ⅱ」を3年使っているぼくは、シリーズ最新機種「X-T50」における進化に深く共感している。
ぼくがかつて何より感動し、”これのないカメラにはもう戻れない”と思った色味の設定「フィルムシミュレーション」の選択肢が、<ノスタルジックネガ>や<REALA ACE>など、「X-T30Ⅱ」からまた増えている。そして、それを変更する「フィルムシミュレーション専用ダイヤル」が新たに設けられている!


X-T50の情報を知った時、手ブレ補正や画素数の進化に衝撃を受けたあと、この新しいダイヤルがじわじわ心に来た。
「ダイヤルがなくても、メニュー内で変更できればそれでいいのでは?」と思う人がいたら、「それでも事足りるけど、このシリーズにとっては、核心的な進化なんです」とぼくは言いたい。
ぼくを含めたこのシリーズの愛好者は、『手の喜び』に惹かれていると思うのだ。


持ち上げたとき軽いから、棚から取り出したくなる。
グリップが握りやすいから、握りたくなる。
チルト液晶の左上にちゃんとツマミが付いてるから、液晶をひょいと傾けて、腕を頭上へ伸ばして構えてみたくなる。
そして、ダイヤルをつまんで回したときの”くりっ”という感触が気持ちいいから、露出やシャッタースピードをいろいろ変えて楽しみたくなる・・・。


「X-T50」はそこに、フィルムシミュレーションモードが加わった。新しいモードも、今まであまり使わなかったモードも、どんどん試したくなるだろう。


カメラを使って写真を撮るのは『手』。
その『手』に心地良いカメラだから、いくらでも撮りたくなる。
「いつのまにか写真を撮っている生活」になる。
大好きなカメラで、そんな生活をこれからも味わっていきたい。

