2022.07.29

X-H2S: スポーツ x 千葉格

X-H2S インプレッション

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

スポーツ撮影の魅力は、被写体となるアスリートが紡ぐ物語が目の前で展開されることだと思っています。その物語を、自分の視点とカメラで写真として留めておくことができる。そんな贅沢な立場にいるフォトグラファーとしての自分には、アスリートの最高の瞬間を残す責務があると言って良いかもしれません。

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

普段、サッカーの撮影をすることも多いのですが、強烈なシュートでゴールネットを揺らした選手の笑顔、勝利を決めたチームが作った歓喜の輪、タイトルを手にした選手の喜びの涙――そういったアスリートの感情溢れる姿を残すことが、僕にとっての喜びです。
40コマ/秒でシャッターを切れるX-H2S、これがあれば、決定的な場面で撮影したアスリートの姿が、目が閉じてしまっていることで台無しになる、そういったことが避けられます。言い方を変えれば、最高の瞬間をベストの表情と共に残すことができるというわけです。今回撮影を行った卓球のように、ボールスピードの速い種目であっても、選手の躍動とボールが同じ画角に入った写真を難なく撮ることも可能になります。

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

さらに、バッファメモリーの大容量化のおかげで、連写を続けた時に書き込みが止まる不安がないのも大切なこと。例えばサッカーのゴールシーンであれば、選手がシュートを打ってゴールが決まって喜んで…という一連の流れで100コマ以上を撮ることになります。その時に、制限なく連写をすることができるなら、迫力あるプレーの場面からチームが歓喜に包まれる様子まで、余すところなく残し続けることができるはず。X-H2Sは、瞬く間に繰り広げられるドラマを写真として残そうとするフォトグラファーの味方になってくれそうです。

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

スポーツの現場には、キャリーケースを片手で引きつつリュックを背負い、片方の肩で一脚とワークスツールを担いで向かいます。フォトグラファーが立ち入ることができる場所は当然競技フィールドの外に限られるし、時にはスタンドからの撮影になることも。そのため、撮影には望遠レンズを用いるのがスタンダード。だからといって、常々重たいカメラボディとレンズを持ち歩くのは、慣れていたとしてもなかなか大変です。

X-H2Sの最初の印象、それは「軽い」という非常にシンプルなものでした。重量が約660gというボディはもちろんですが、APS-Cサイズセンサーであるため、レンズも小さく、軽くなります。広大なフィールドで行われるサッカーのような競技の撮影でも、ボディとXF200mmF2レンズと1.4倍のテレコンバーターを持って行くためにリュック型のカメラバック1つあれば十分だということには驚きました。またX-H2Sには7段分のボディ内手ブレ補正が搭載されているため、ある程度明るい環境での撮影には一脚も必要なくなります。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

さらに、国外でのスポーツを撮影する機会が多い僕としては、飛行機移動の際に機内に持ち込める機材の重量についての気掛かりが少なくなることも密かなポイントです。ボディやレンズが軽ければ、さらに一本異なるレンズを持って行くことも可能になります。

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

スポーツの現場に行くと、プロ顔負けのカメラとレンズでアスリートを追っているファンの方々をよく目にします。そういった方々も、写真を撮ると同時に競技の熱狂を感じたいという思いがあるに違いありません。軽い装備で持ち運ぶことができるX-H2Sが手元にあれば、ブラックアウトフリーの連写で、お気に入りのアスリートのプレーや表情を写真で残しながら、そのスポーツの熱狂を自分の記憶にも刻むことができるのかもしれません。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

撮影協力: T.T彩たま、撮影場所: T.T彩たま卓球ステーション浦和美園店