2022.07.01 Hendrik Osula

X-H2S: スポーツ x Hendrik Osula

Hendrik Osula

エストニアのプロ写真家。2007年に、父親のカメラ(キヤノン・パワーショット)を使って遊んだのがきっかけで写真に関心を持つ。2009年、「Nature Year Photo of Estonia」青年部門1位に輝く。それ以来、フォトジャーナリズムの道を歩むようになり、ニュースメディア関連のアルバイトを始める。現在は、エストニア最大手ニュースメディアのフォト・チーフエディターを務める。2013年、Estonian Press Photographyのスポーツ部門一位に輝く。
好きな題材はスポーツ、ポートレート、それにストリートフォト。Xシリーズのカメラを手にしたきっかけはストリートフォトで使いたいと思ったからだ。2014年にX100Sを購入して、それ以来徐々にキヤノンからフジフイルムへとシステムを移行してきた。2015年からX-T1をキヤノンのカメラと共に仕事で使うようになる。
「パーフェクトな一枚がないのだから、パーフェクトなカメラはこの世に存在しない」と彼は言う。そんな彼にとってベストなカメラを探し求めると、時に妥協も必要だ。「色々と考えたがXシリーズが一番という結論に達した。小さめなセンサーを採用しているが、そのおかげでカメラとレンズもコンパクトになった。その結果、どんなカメラとレンズでもいい写真が撮れるんだ。負担なくリュックにも詰め込むことができる。一緒に持ち歩くカメラがベストカメラ。富士フイルムのファミリーの一員となってこれからがとても楽しみだ!」

バスケットボール x Hendrik Osula

速い、予測不可能、ダイナミック、エモーショナル……
これらは私の撮影対象である、偉大なるバスケットボールを表現する言葉のほんの一部に過ぎません。このスピード感溢れるスポーツは、写真家に多くのことを要求し、使用する機器に対してもさらに多くのことを要求します。X-H2Sはこういった場面で威力を発揮してくれます。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

私はX100SからX-T4まで、富士フイルムのカメラで様々なスポーツを撮影してきましたが、素晴らしいアクションの瞬間を収めることに成功しても、カメラが対応できない条件があったり、スポーツ撮影を想定して設計されていないと感じることもありました。しかし、富士フイルムは新しいX-H2Sでスピードとアクションに焦点を当て、本当に妥協のないモノづくりを果たしてくれました。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

このカメラの最大の魅力は、もちろん新しいセンサーでしょう。電子シャッターと高速連写(最速40コマ/秒)が使えるようになり、バスケットボールで決定的瞬間を逃さずに撮影できるようになりました。また、新しいセンサーはフリッカーが全くありません。画質も申し分なく、慣れ親しんでいる富士フイルムの色で撮影が行えます。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

以前のカメラと比較した際、2番目に大きくアップグレードした点は、バッファメモリの増加です。バスケットボールの場合、プレーヤーが動きを始めてから終えるまでの長いシークエンスを撮影しなければならないことがあります。これは今までの私にとっては最大の制約でした。バッファがいっぱいになると、カメラの挙動は遅くなります。これが本当に困る点でした。X-H2SであればRAWでも最大20コマ/秒の連写でバッファもほぼ無限に撮影ができるので、心配はいりません。苦悩から解放されました!

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

その他、動きの速いスポーツを撮影するためにカメラへ求めるのはオートフォーカスの性能です。X-H2Sはオートフォーカス性能の更なる向上に取り組み、素晴らしいアップデートを行いました。改善項目の中でも、オートフォーカスの性能は最も大きな進化だったように思います。その最たる例が顔検出/瞳オートフォーカスで、X-T4でもかなり高いレベルでしたが、特にAF-Cモードの際はさらに正確性があがり、レスポンスが良くなりました。バスケの撮影でも問題なく使えるようになっています。顔が完全に見えない状況でも検出され、どの方向にもしっかりと追従します。顔検出だけでなく、通常のトラッキングやゾーンのフォーカスも、レスポンスや精度が向上しているように感じます。競合機種に引けを取らないレベルに仕上がっています。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR

ソフトウェアのアップデートだけでなく、カメラ本体にも大きな変化がありました。Xシリーズのユーザーであればまず気が付くのは、天板上のISO感度やシャッタースピードのダイヤルがなくなっていることでしょう。ボディはGFX100Sのようなスタイルで、左側にモードダイヤル、ファインダーの右側にサブ液晶といくつかの新しい設計が取り入れられています。私は6年以上富士フイルムのカメラで撮影しており、X-Tシリーズのダイヤルやボタンのレイアウトに馴染んでいるので、慣れるまでには時間がかかりました。しかし、新しいボタン配置には良い面もあります。まず、モードダイヤル上のカスタム設定では、カメラの設定を細かくカスタマイズし、様々なシーンに対応する個別設定を割り当てることができます。例えば、AF-Cでバスケットボールを撮るときには、フォーカスモードのゾーン、コントラストを強めた画像設定にして、AF-Sを使ってポートレートを撮るときには、シングルポイントで顔検出を行い、繊細かつ鮮やかな画質設定にカスタマイズすることができます。また、ボタンも大きくなり、反応や感触も良くなっています。

X-H2S & XF200mmF2 R LM OIS WR

X-H2Sのボディは、他のXシリーズと比べると大きくて厚さがあり、グリップも大きいです。そのためXF200mmF2などの大きなレンズも今まで以上に使いやすくなりました。 それでいてコンパクトで軽いので、一日中持ち歩くことができます。また、新たに対応する記録メディアとして、CFexpressを使用できます。このカードは高速転送によって編集ワークフローの高速化を実現してくれます。バスケットボールの試合の画像を数十秒でバックアップできるようになりました。

X-H2S & XF33mmF1.4 R LM WR

より大きく、厚くなった新しいバッテリーグリップは2種類あり、ファイルトランスミッター(FT-XH)を使えば、Wi-Fiまたはイーサネットケーブル経由でFTPサーバーにファイルを転送できるようにもなります。これは、数年前にほかのメーカーから富士フイルムの機材に乗り換えて依頼、私が失っていた機能でした。私の仕事は高速な画像転送を必要とします。画像をクライアントに共有するために、これまでは常にパソコンを携帯する必要がありました。X-H2Sにファイルトランスミッターを装置すれば、必要に応じてカメラからFTP経由で直接画像転送することが可能になりました。また自動アップロードもできるので、インターネットに接続できる環境さえあれば、バックアップにも良い方法だと思います。

X-H2S & XF16mmF1.4 R WR

X-H2Sは、富士フイルムがスポーツ、アクション、報道写真家のために作った最高のカメラだと自信をもって言えます。プロ写真家が求める必要な条件をすべて満たし、さらにそれ以上の出来栄えです。X-H2S、ようこそ!あなたを長い間待っていました。

X-H2S & XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR