X-H2S インプレッション
今回、X-H2Sを使って和歌山電鐵貴志川線を撮影してきました。
私は普段フルサイズミラーレスカメラを使用しているのですが、鉄道写真の中でもスナップ感覚やイメージ写真といった作風が多い私にとって、普段通りの感覚でスムーズに撮影がおこなえる心地良さは相性が良く、撮影する楽しさや安心感へと繋がりました。
静かな朝の空気感をフィルムシミュレーション「Velvia」で切り取り、雰囲気のある作品に仕上げた。
X-H2Sを使わせて頂き、コンパクトなシステムサイズでありながら、鉄道写真撮影に欠かせない、高い性能をフルで備えている事に驚きました。
まずは操作性。直観的な操作が必要な撮影において、ほとんどの操作が右手だけでおこなえる事はとても重要です。
近付いてくる列車に対して、左手でレンズのズーム域を変更しながら列車を追い、右手でフォーカスポイントや露出の変更を感覚的に行える操作性はフラッグシップモデルには必要不可欠だと感じます。
晴れた日のお花畑をこちらにやってくる列車を超広角で捉えた。
朝靄の中、駅を出た列車が静かに向かってくる、幻想的なシーンをとらえる事ができた。
新たに搭載された被写体をAIで検出、追従するオートフォーカス機能「被写体認識AF」の「電車」モードを使用して撮影を行ったのですが、列車が見えた瞬間からAFの検出が始まり、列車の前面、側面、そして後方からの後追い(後ろ姿)と、列車が見えなくなるまでAFを合わせ続けてくれたため、その分構図へと集中する事ができました。
最近のミラーㇾスカメラは高速連写の性能がアップしており、私もそれに頼る撮影が多くなりました。X-H2Sは電子シャッターで最大40コマ/秒の撮影が可能なので、安心感がありました。時には列車の前を鳥が横切る事もありますし、桜の季節は舞い落ちる花びらの角度など、選べるコマ数が多いのは作品撮影において有利です。
建物の隠れ具合も大事にしながら、前ボケの隙間に列車がいる位置を選ぶことができた。
また、撮影中は雨に降られることもありましたが、防塵防滴性能のお陰で列車がやってくる寸前の突然の雨にも対応できました。
今回メインで使用したX-H2Sと新レンズXF150-600mmの組み合わせは、鉄道写真撮影において最強とも言えます。
まず手にした瞬間に思わず口にしてしまう「軽い!」の言葉。超望遠ズームなので若干の大きさは気になりましたが、構えたときのバランスの良さは格別で、レンズの長さが変わらないインナーズームとインナーフォーカスであることも嬉しいです。
また、超望遠の世界で「グっ!」と止まる、手ブレ補正性能には感動しました。鉄道写真撮影では架線柱などの他の障害物も多く、僅かな隙間から被写体を狙って35mm判換算で約900mm相当の超望遠を手持ちで撮影できることはとても重要な要素。さらには、バッテリーグリップを装着する事でグリップ感も安定し、より良い構図で撮影することができました。
鉄道写真を撮影されるユーザーにとって、撮影機材に求める点は、AF性能や連写性能、EVF性能、望遠レンズ、手ブレ補正、そしてトータルシステムとしてのコストパフォーマンスだと思います。今回のX-H2Sはプロユーザーにも応える性能と機能を実現したモデルに仕上がっており、素晴らしいカメラだと思います。
X-H1の特長を引き継ぎながらも、全く新しいカメラへと進化していることに加え、フラッグシップモデルとしての手にした時の心地よさがすばらしく、作品を作り出す力に繋がっていくと確信しました。
撮影協力:和歌山電鐵 貴志川線