X-H2Sのインプレッション
富士フイルムは、Xマウント10周年にあたる2022年に新しい第5世代のセンサーとプロセッサーを発表した。このカメラを手にした写真家は、必ずや満足することだろう。
X-H2Sは誰もが待ち望んでいたカメラであり、正直に言って期待以上のカメラだった。この最新のアップグレードは、野鳥や動物撮影に最適なカメラであり、スポーツ、アクション、自然撮影の写真家にとって最高の選択肢の1つとなるでしょう。
このカメラの新機能の中から、まずは私が注目したポイントを紹介します。
- 高速連写40/30/20fpsで、電子シャッターによるブラックアウトフリー撮影が可能。
- 大容量バッファメモリーでメカシャッターは15fps、電子シャッターは20fpsの連写が可能
- プロユースに対応した新AF/AEアルゴリズム。
- 7段分のボディ内手ブレ補正機能。
XF18-55mmで1/2秒、XF150-600mm(914mm)テレズームで1/15秒の手持ち撮影が可能です。 - SDとCF Expressの2つのカードスロットを搭載。
新たにCF Expressに対応したことで、アクション撮影時にメモリーカードの記録終了を待つ必要がなくなりました。再現性のない個性的な写真を撮り逃さないために、とても重要な機能です。 - オートフォーカスの大幅改良
どんな撮影にも自信を持って対応できるようになりました。特筆すべきは被写体検出機能です。動物、鳥類、乗り物、バイク・自転車、飛行機、鉄道を設定することができます。
動物と野鳥を選択すると、超高速で動く被写体の頭部や目をAF追従しフレーミングや構図に集中することができます。
- 第5世代の2600万画素積層型センサー
ダイナミックレンジが広く、光と影のディテールをより鮮明に写し出します。もちろん高感度ISO(3200、6400、12800)ノイズの心配もなく、鮮やかで美しい写真を撮影することが可能です。
- タッチスクリーン
高速で反応の良いタッチスクリーンで、素早く操作が行えます。 - 本体重量:660gと軽量なボディ
これは間違いなくアクションや野生動物の撮影に適したXマウントの最上位モデルです。
X-H2Sを手にしたら、すぐにそのコンパクトさと使いやすさに気が付くでしょう。特にX-H1を使ったことがある人なら、デザインも性能もほとんど違うことに驚くはずです。グリップやカメラ本体、ダイヤル、トップ画面、ISOボタン、WB、ビデオRECなどの配置は、最近のGFX50S IIやGFX100Sに近いデサインになっています。
また、WB、ISO、RECボタンをシャッターラインの側に配置することで、ファインダーから目を離すことなく、人差し指での操作がしやすくなりました。この変更によって一瞬たりとも見逃すことなく、スムーズなワークフローが実現できました。またそれぞれのボタンは、工場出荷時に設定されている機能だけでなく、撮影者が好みの機能を追加してカスタマイズすることも可能です。
また、外付けの縦位置バッテリーグリップも取り付けられるので、さらにスピーディーで快適な撮影も可能です。
さらに、ジョイスティックのデザインを変更。大型化してファインダーの横に配置することで、より操作しやすくなっています。右手親指の位置にジョイスティックがきたことで、より自然なポジションになりました。さらに、カメラ上部のグリップ部分に2つのボタンが追加されました。この2つのボタンには特定の機能は割り当てられておらず、自分のワークフローに最も適した機能で使用することができます。 私の場合はボタンをクリックするだけで手ブレ補正のON/OFFできるように設定しました。このことにより、メニューから機能を探し出す手間を省き、より直感的に操作できるようになります。
完璧なカメラというものは存在しないと思いますが、このカメラはそれに近いと思っています。何日もかけてフィールドで実際に撮影して、新機能を体感したときの喜びは最高のものでした。特に、人間工学に基づく改良と新しいボタン配置、そしてセンサーとプロセッサーのアップグレードにより、私のワークフローがより効率的になったことに感銘を受けています。
スピードと優れた操作性。富士フイルムの新製品、X-H2Sは非常に信頼がおけるカメラです。
FUJIFILM XH2Sでの 映像制作について -Alberto Saiz
X-H2Sの動画性能のアップデートは、私の期待に応えてくれました。
ボディはコンパクトで、非常に快適な操作性、モダンなデサイン。フィールドで長時間撮影する際も快適に持ち運びができました。
ISOとWB専用の新しいボタンは、他のボタンと同様に大きく、フルカスタマイズ可能です。静止画モードから動画撮影に直接アクセスできるボタン、HDMIフルポート、XLRオーディオ対応は非常に素晴らしい改良点です
解像度に関しては、6.2Kでセンサーの全領域を使用し、ポストプロダクションで再構成や手ブレ補正ができることは、大きな助けとなります。特に自然を撮影する場合、ディテールの多いシーンが多いので、4Kを超える解像度には助けられました。
4K120fps記録の対応も、私たちが待ち望んでいたことでした。映像はとてもきれいで、富士フイルムの有機的な美しさがありH265 422ではポストプロダクションで非常にうまく機能します。
Apple ProRes RAWもしくはBlackmagic RAWで撮影できることも、画像をよりクリエイティブにコントロールできる大きなアドバンテージとなります。
カメラが搭載しているビデオコーデックについては、ProResでボディ内記録ができるという事実も、非常に重要な進歩だと思います。
また録画時間がハイスピード撮影時も含めて大きく伸びたことも重要な進歩です。例えば、X-T4ではハイスピードで約5分などの制限がありましたが、再現性のない行動をする動物を撮影する私たちにとっては、そういった記録時間の制限が無くなることは大きな助けになります。
また、新しいFLog-2では最大14+段のダイナミックレンジを使えます。光の状況をコントロールできないような野生の環境で仕事をする映像作家にとって、大変役立ちます。ダイナミックレンジが広いということは有益です。
また、動画のオートフォーカスも大幅に改善され、動物、鳥、車などを識別する被写体検出機能も興味深いです。
ISO感度も向上していて、ISO25000まで無理やり上げてテストしてみましたが、その後のノイズリダクションで、かなり使える映像になることも分かりました。
また、最大7段の新しい手ブレ補正は、手持ち撮影やジンバル使用時に非常に役立つと思います。そして新しいレンズ、XF150-600mmとの組み合わせは自然や野生動物を撮影するために完璧なシステムです。
今回すべての動画性能においてさらに一歩進んだ、完全なカメラシステムを作り上げた富士フイルムに感謝するとともに、祝福を贈りたいです。