X-H2インプレッション
今回の作品撮りで使用したカメラは、新開発の4020万画素センサーを搭載し、Xシリーズ史上最高画質を実現したX-H2。デザインも洗練され、ホールド感や操作性も断然上がり、快適なカメラだった。さらに、解放値が明るく、高い解像性能を持つ新製品レンズXF56mmF1.2 R WRとの相性が良かった。
ポートレートをテーマに改めて作品として考えてみた。人には、いろんな顔が存在する。言葉でうまく言い表せないが、私が人から引き出したい顔はいつも同じだ。老若男女誰だろうと。当然私がポートレートで作品を作る場合に限ってのことで、作画の中で、被写体の表情や動きを使い、好きな世界観を表現するのが私の作品だ。
ファインダーの描写が美しいと、シャッターを押す意欲が上がる。ファインダー倍率、解像度もよく、斜めから見てもキレイに見えた。
カメラ操作において、ボタンをカスタムし、フォーカスを追従するトラッキングと顔/瞳認識に使い分けることで、スムーズに意図を反映し、撮影を行うことができた。
写真の美しさとは、常々構図とタイミングだと考えている。X-H2のシャッターのレスポンスは、私が考えるタイミングを外さなかった。また、顔/瞳認識の精度には、目を瞠った。
私は、撮影ポジションを毎ショット変えて動きながら、三脚を使わず撮影するスタイルだ。7.0段のボディ内手ブレ補正は強力で、撮影中手ブレを全く心配しなくてよかった。
基本的にトーンジャンプと狙いでないノイズが嫌いで、芳醇なラチチュードを感じるデータが好みなので、今回常用感度となったISO125で撮影した。高解像度なのにダイナミックレンジが広く、ハイライトやシャドーにも粘りがあり、ノイズ感の全くない優しいトーンの表現力を実感した。
APS-Cモデルとしては、ボディが少し大きい気もしたが、同時発表した56mmF1.2をつけると、無駄に大きすぎないレンズとボディのバランスがよく、ホールドしやすい。
ポートレートとは、人物を撮影し、ありのまままを記録するのが基本。写真家によって、被写体が違って見えるのは、撮影する側の個性が影響しているから。被写体の人格とは乖離している場合もあるが、写真家は自ら思う理想の人物像を描き出す。ただ、被写体にも多重性があり、どの面を引き出すか。個人的作品の場合、もっぱら私の主観で撮影している。
X-H2 & XF56mmF1.2 R WR, f8, 1/250, ISO125
X-H2 & XF56mmF1.2 R WR, f8, 1/250, ISO125
自分の中にある美意識のすり合わせをカメラを構えるたびに自問自答している。それは美しいか、否か。
Model: 早乙女ゆう
Hair make: 高良まどか
Stylist: よしだえりか