2022.10.04

X-H2: アドベンチャー x Rémi Flament

X-H2インプレッション

私はフランスの中央山脈に住んでいるRémi FLAMENTです。制約のある環境下で、産業や自然に関係した地中の写真を撮ることに特化した写真家です。この作品は、地下を描写すること、地球の自然や隠された風景を芸術的に明らかにすること、あるいは地質学、考古学、古生物学の財産をデジタルデータで守ることを目的としています。今日は、皆さんを富士フイルムとともに地球の深部へ連れ出し、新しいカメラ「FUJIFILM X-H2」をテストしていきましょう。

X-H2 & XF8-16mmF2.8 R LM WR

主に石灰岩の山塊で写真撮影やケイビング探検を実践しています。石灰岩の土壌には、数多くの洞窟や鍾乳洞があり、そのほとんどが未知のものです。これまで撮られたことのないものを撮影し、発見することは快感です。

ヘルメット、ヘッドランプ、ウェットスーツ、ハーネス、電池式パンチ、ロープ、カラビナは、写真家としてのツールキットの一部です。撮影機材は湿気や繰り返される衝撃から守るために、防水パッド入りの容器に丁寧に梱包しています。新しい冒険の旅に出かけ、最高の写真を撮る準備がようやく整いました。

X-H2 & XF8-16mmF2.8 R LM WR

地中の写真を撮ることはいつでも試練に満ちています。閉鎖的で、光が届かず、アクセスも困難で、外からの助けも期待できない環境です。チームとして協力しながら進みます。光がない地下では、暗いため、撮りたい被写体を確認することができない、と認識しなければなりません。フレームにおける照明を意識し、計画することは、長年の経験の結晶であり、直感的な仕事です。非常に複雑な環境、広い空間、垂直な場所では、アシスタントと一緒に仕事をします。地下の世界は時に騒々しく、音響的に好ましくないので、照明の調整と指示は無線で行います。寒さにも負けず、チームの士気を高めるためにも、「撮れる」と確信したときだけ撮影に踏み切ります。物的・人的資源と時間的余裕を常に考えています。地下では、時間の目安がないため、意外と時間が経過していて驚くことがあります。あまりに遅れると、フランスのケイビング・レスキュー・チームの出動を誘発することになります。

X-H2 & XF8-16mmF2.8 R LM WR

未来のFUJIFILM XH2の優秀さと耐性をテストするために、2つの地区を選びました。ロゼール県とロット県です。この2つの県には、緑豊かな入口、垂直のシャフト、地下河川、巨大なホールなど、地下世界が提供できるあらゆる景観が広がっています。この新しいカメラを紹介するために、マラバルの地下河川で富士フイルムのチームと合流しました。そこは、水が遍在する美しい地下渓谷です。

防水ケースからFujifilm X-H2を取り出します。GFX50Sや100Sと同じような、落ち着いた機能的な構造です。グリップは、非常にはっきりしたハンドルで安心感があります。本体上部に配置された2つのキーの外観に注目します。1つはWB専用、もう1つは感度専用です。背面パネルは、X-T4モデルを引き継ぎ、操作キーとそのスクリーンをボールジョイントにすることで、進行段階での保護を可能にしています。メニュー側は非常に見やすく、アクセスしやすくなっています。高性能なオプションの追加は、重量を増すことなく実現できます。

X-H2 & XF8-16mmF2.8 R LM WR

ボディに装着した地中の撮影では決して外さないレンズは、XF8-16mm。非常に質的な超広角であり、狭い空間の限界に挑戦し、地下空間に新たな側面をもたらします。洞窟写真家にとって、このようなレンズは非常に重要であり、必要不可欠なアイテムです。アクションショットには小型の望遠レンズ(理想的にはXF16-55mm)を、鉱物のディテールにはマクロレンズ(XF80mm)を合わせています。

NP-W235バッテリーは共通の規格になりつつあり、電池の共同利用が可能になるポテンシャルを持っています。富士フイルムのこのアプローチはありがたいものです。バッテリーを充電し、電源を入れたら、次はX-H2の使用環境チェックの番です。川に星空が映ることもない、暗闇の世界へようこそ。

X-H2 & XF8-16mmF2.8 R LM WR

はじめの写真から印象的だったのはAFの性能でした。コントラストや直射日光のない地面でも、AFが難なく追従します。ターゲットをロックして追尾するのは非常に見事で、これは私が使い始めたばかりのオプションですが、地下環境で効率的に使用できます。AFは、モデルチームメイトのヘッドランプを完璧に追尾します。唯一の可視光線であり、暗闇の中で目印になる存在です。新世代のオートフォーカスのおかげで、構図と光の管理に十分集中できるようになりました。

地中での使用に適したハイブリッド技術は理想的で、いわゆる光像式照準器はすぐに使わなくなりました。Fujifilm X-H2は先代と同様、低照度を強調させます。ファインダー内では劣化することなく鮮明に表現します。線、塊、遠ざかるものははっきりと識別できます。この見え方の良さは、人工的な光を加えることで変容する景色を想像し、それを書き写すという写真家としての仕事を支えました。

X-H2 & XF80mmF2.8 R LM OIS WR Macro

センサーの手ブレ補正もお見事。この技術的な飛躍は、初めてGFX100を購入したときに体験したものでもあります。X-H2の手ブレ補正はさらに進化しており、携帯用リュックから専用の三脚を永久に外すことになりました。今では、電子ストロボの光と連続光を、ブレを気にすることなくミックスして撮影することが可能になりました。この自由度の高さによって、これまで固定されていたシーンに動きを与え、演出できるようになりました。

地下環境では、センサーの感度が非常に重要です。富士フイルムは、高感度管理に優れていると評価されています。私は、ISO800の感度とF7.1に近い絞りで統一して撮影しています。この固定値は基準であり、それに合わせて各フラッシュのパワー、ズーム、向きを調整しています。5年前、ISO800という値は、画像を劣化させないために超えてはならない私の限界値でした(非常に主観的な話しですが)。X-H2では、画質を落とすことなく、簡単に感度を2倍にすることができました。これによって、照明器具の不足を補い、あり得なかった写真を撮影できるようになったのです。

X-H2 & XF8-16mmF2.8 R LM WR

このカメラを受け取ったとき、私が抱いた大きな疑問は、これほど高い解像度(4000万画素)を持つAPS-Cセンサーの存在意義についてでした。カメラ背面の大きな画面で、RAF/JPG変換後も解像度は素晴らしく、すでに非常に成熟していると考えていた旧世代との差を否応なしに広げます。この解像度の向上は、大判プリントを作りたくとも、現場で何枚もの写真をデジタルでつなぎ合わせることが難しい、情熱的な写真家を対象にするでしょう。プロである私にとっては、これは品質の保証になります。4000万画素は、画質を落とすことなく、リフレーミングやメディアへの適応の自由度を高めてくれます。

このセンサーフォーマットは、私たちを驚かし続けることでしょう。

冒険は続きます…