2021.11.26 White Smoke Studio

X-E4: "Make More with Less" x White Smoke Studio

White Smoke Studio

ドロタ・カズバ(Dorota Kaszuba)とミハウ・ワルダ(Michał Warda)は、ともにワルシャワ在住。ドロタはZPAF(ポーランド芸術写真家協会)とポズナン芸術大学マルチメディアコミュニケーション学部を卒業。Michałは独学のジャーナリストで、通信社に勤務してジャーナリズムのスキルを身につけてきました。主な活動分野は写真とビデオ撮影。写真はルポルタージュ・ストリートフォト。2006年にはWhiteSmoke Studioを設立し、ストリートやファッションをウェディングフォトに移行させることに成功した先駆者的なチームである。報道機関や広告代理店からの依頼をこなすことでポートレート写真の経験と評判を得ました。ポラーンドで最も著名なフォージングジャーナルに掲載されました。

イタリアの雑誌「JM: JUST MARRIED」では、2年連続(2009年と2010年)で世界で最も優れたウェディングフォトグラファーとして認めています。彼らは、WPJA、AGWPJA、ISPWP、Fearless Photographers、IPAが主催する数々の国際的な業界コンテストで賞を獲得しています。

なぜ写真家には小型カメラが必要なのか?

プロの写真家にとって、小さくて目立たないカメラは何のために必要なのでしょうか?

X-E4 & XF23mmF1.4 R

ストリート写真を撮るときには、人目につかないような目立たないカメラが必要です。あるいは、クライアントのためにルポルタージュを撮影する場合は、メインのカメラのバックアップとして使用できる信頼性の高い小型カメラが必要です。そして、もちろん結婚式のスナップでも小型カメラは必要です。結婚式のゲストは、大きなカメラではなく、小さな機材を持った写真家の存在に安心感を覚えるものです。

X-E4 & XF23mmF1.4 R

また、大規模プロジェクトでは撮影の前にロケーションを探すこともよくあります。そんなときには、小さくて軽いものをバッグに入れておきたい。X100Vのようなカメラが最適でしょう。しかし、レンズ交換ができないことが気になることがあるのも事実です。撮影プランを練るときに、特定のレンズを装着して意図的な表現をしたい場合などです。小さなカメラは、写真家の生活に非常に適しています。誰もが強力なセンサーを搭載した、小さくて軽いカメラを常に持ち歩くことを夢見るでしょう。私は、犬の散歩にだってカメラを持っていかない日はありません。

X-E4 & XF18mmF2 R

 小型カメラについて話したところで、X-E4について考えてみたいと思います。このカメラは18mmと27mmという2本のパンケーキレンズとの相性が抜群です。この組み合わせは、私にとってまさに夢見てきた小型カメラです。一方で小型だからこそ人間工学的な観点で、この小さなカメラボディはグリップ感に欠けることも事実です。そこで、私はサムグリップの使用を強く勧めたいと思います。親指でボディをホールドすることで、グリップ感が格段に向上し、この小型カメラを存分に使い倒すことができます。X-E4の場合、サムグリップも用意されていますので、グリップに問題を感じる場合でも問題ありません!

X-E4 & XF18mmF2 R

ボディに関して言えば、X-E4はこの小ささにしては、十分な重量感があります。誤解しないでいただきたいのは、決して重いわけではないということです。手に取ったときに、カメラらしい重量を感じるということです。作り込まれた感じがあります。私の印象では、X100シリーズがあるからこそ、富士フイルムは上級機ではないカメラにも十分な品位があると思います。X-S10同様に、X-E4もしっかりとした品位を感じます。2020年の夏、X-E3とX100Vのどちらを選ぶか悩んでいた私にとって、X100Vを選ぶ決め手となったのは、品位の高さと、そのソリッド感でした。私がX-E3とX100Vで悩んだ際はそれぞれのモデルが競合していたように感じましたが、X-E4はX100Vを補完しているように思います。XF18mmF2レンズを装着すれば、少し広角なサブ機として常に持ち歩くこともできます。

X-E4 & XF35mmF1.4 R

このような小型のカメラでは、私は通常、電子ビューファインダーを使わないようにしています。特に街中での撮影では、液晶画面の方が自然な感じで撮影できるからです。X-E4もこの点では負けていません。チルト式でもあり、タッチパネルでもあります。晴れた日でも、快適に使うことができます。もちろん、露出を厳密に判断するにはEVFの方が良いのですが、液晶を使っても同様に簡単にフレーミングができます。

X-E4 & XF23mmF1.4 R

使い勝手の良さは、昔から富士フイルムのカメラの大きな強みだと思っています。どのモデルであっても、考え抜かれたダイヤル類を備えていて、不要なダイヤルは排除されている程です。そのため、必要なものだけを手に入れることができます。これはミニマリストのためのカメラです。シャッタースピードや露出調整のダイヤルなど、必要なものはすべてあるべき場所にあり、左側のビューファインダーは、レンズ交換のできない昔のアナログコンパクトレンジファインダーカメラを思い出させます。富士フイルムのフジカを覚えている人もいるでしょう。同じボディサイズです。目的も似ていると思います。私たちは、このタイプのレンジファインダー機で写真のキャリアを始めたのです。富士フイルムが伝統を重んじていることがわかります。マイナス面としては、AFモードレバーがないことが挙げられます。AF-CからAF-Sに切り替えるためには、メニューに入るか、露出補正ホイールの隣に移動したクイックメニューの枠を割り当てる必要があるのです。フルオートのスイッチはトップカバーから消えていますが、これはX-E4がより意識の高い写真家向けになっていることを示唆しているのでしょう!

X-E4 & XF35mmF1.4 R

従来の小型で目立たないカメラの場合、画質が悪いという妥協点もよく見受けられました。しかし、X-E4では、フラッグシップモデルであるX-T4と同じセンサーを採用し、往年の色再現を実現するフィルムシミュレーションを搭載。同じシステム内でも、常に最高画質を実現しているメーカーは、おそらく富士フイルムだけでしょう。なぜそれが重要なのか、プロの写真家の視点で話したいと思います。

何百キロ、時には何千キロも離れた場所に仕事で赴く時、同じカメラを何台も持っていくのは好ましくありません。それぞれのボディには用途があり、レンズも決められています。ミラーレス一眼の場合、レンズはほとんど交換しません。1日中ルポルタージュ撮影をしていると、20回、30回、50回とレンズを交換しなければなりません。これでは、撮影に時間がかかるだけでなく センサーに余計な汚れをつけてしまうことにもなります。私たちのように、F8〜F11の絞り値で複数の構図をとることが多い場合は、特に重要だと思います。もちろん、同じX-T4やX-Pro3のボディを2台用意して、23mmと35mmまたは56mmのレンズをセットで使うこともできます。しかし、18mmや16mmのレンズが必要になることもあるので、3台目のカメラに大きなボディを購入することは必ずしも意味がありません。そこで、「X-S10」や「X-E4」のような小型で安価な選択肢が出てくるのです。信じられないかもしれませんが、画像データ単体を見れば、どちらが高価なカメラで撮影した写真で、どちらが安価なモデルで撮影した写真なのかを見分けることはできません。画像データはまったく同じ方法で処理され、同じ色と品質が得られるのです。これにより、ワークフロー全体が驚くほど改善されます。これは、プロの写真家の場合には特に重要なことです。プロの写真家の特徴は、最適化されたワークフローと作業効率にあります。

X-E4 & XF23mmF1.4 R

効率といえば、AFシステムのスピードと精度も、小型カメラでは軽視されがちな要素です。このX-E4について、AFは問題ないと言えます。極端に暗くてコントラストの低いシーンでは、AFが誤動作することも少なくありませんでした。しかし、ダンスフロアでは、光に対してだけでなく、非常にダイナミックな状況でも、良好なショットの割合が非常に高く、結果には満足しています。AFの速さは、カメラ全体のレスポンスの良さと密接に関係しています。電源を入れた直後から動作可能で、煩わしい遅延はなく、シャッターボタンの反応も非常に速く、バーストモードではメカニカルシャッターで8コマ/秒、電子シャッターを選択した場合は30コマまで撮影可能です。連写モードで快適に撮影するためには、高速なメモリーカードを強くお勧めします。ちなみに、我々がこれまで仕事に使ってきた一眼レフカメラでも8コマ/秒を実現しています。こんなに小さいのに、こんなに速いカメラがあるなんて驚きです。

X-E4 & XF23mmF1.4 R

結論として、X-E4はX-E3を非常に良い方向に進化させたカメラであることは間違いありません。毎日の仕事に最適なツールとして、誰にでも勧められるカメラです。X-T4のようなセンサー、高速で信頼性の高いAF、最小限に抑えられたボタン操作、X-Pro3やX100Vと同じバッテリー、しっかりとした作り、そして付属のサムグリップ。コートのポケットにすっぽり収まる、大きな可能性を秘めた小さな相棒です。

X-E4 & XF23mmF1.4 R