
Yolanda Hoskey
Yolanda Hoskey is a multitalented creator, with a decade of experience across the spectrum of visual arts, film, digital media, and entertainment. Graduating from City College of New York, she holds a BA in theatre, but her post-graduate output proves that artistic development is anything but linear.
Yolanda fights the system by creating bold images of black art, described as “a little creativity mixed with a little ghetto” – a nod to the community where she was raised. An East New York native, she challenges traditional social norms and wears authenticity on her sleeve.
Yolanda Hoskeyの人の内面に目を向けた写真は、鋭い観察眼で人種的ステレオタイプを打ち破り続けている。そこには彼女の芸術的根源が鮮明に表現されており、我々を惹きつける。
経験によって形成された発育期の繊細さが、柔軟な思考を育む。未知の世界に飛び込んだ私たちは、選択と発言の自由がない世界に足を踏み入れる。神の気まぐれによって慣れない環境に放り込まれ、運命を左右するような順応と適応を繰り返す。幸運は私たちの限界に無関心で、結末にさえ興味がない。
良くも悪くも、人類は偶然の出会いが基盤となった、自身の意思や決断により形成されるこの未知の世界の産物である。私たちは過去が現在にどう影響しているのかを解明し、そしてよりよい未来を交渉する努力をしている。
ブルックリン、イーストニューヨーク地区にあるルイスヒートンピンクハウスで生まれ育ったYolanda Hoskeyの幼少期は、まさに運命に振り回されたものだった。彼女の生まれ育った建物は、貧困に苦しむ人に向けて手頃な値段の住宅を提供する目的で、1959年秋頃に公営住宅局よって建設されたものである。
建設後、この地域は犯罪の温床となってしまった。2000年に起きた公共宿泊施設に対する投資抑制が、ただでさえ危機的な状況をさらに悪化させた。流れを食い止めることはできず、この決定は多大な影響を与えたのだ。
日用品が手に入らなくなる代わりにドラッグや銃器が出回り、日和見主義勢力は投資抑制を悪用した。住民たちは組織的な問題に対処するのに精一杯で、結果「ザ・ピンクス」は州内で最も治安の悪い地区の一つとして悪名をとどろかせた。
この時代に生きる人々にとって、日々の暮らしは苦難の連続だった。特に、多感な年代の若者達は、毎日生きることに精一杯だった。
「そこで生まれ育ったからこそ、生々しさや現実を肌で感じることができ、私に大きな影響を与えました。そしてその地域から離れることで、私たちがどう見られているのか客観視することもできました。」とYolandaは語る。
「ここで生まれ育った黒人女性として、何回も差別されてきました。数え切れないくらい。私のことを知る前に決めつけられてしまうのです。偏見の無限連鎖を何度も見てきました。生まれ育った環境のせいで、自分の価値が低く評価されているように感じるのです」
既成概念に囚われた考え方や誤った決まり文句によって、Yolandaは無数の中傷に見舞われたが、それは彼女のクリエイティブな情熱に傷をつけるには至らなかった。2017年にニューヨーク市立大学で演劇の学士号を取得し、ここ3年間はその美しさで知られる数々の写真を制作している。そのほとんどは、自分らしい個性の価値や、彼女の生い立ちの意義についてである。
「私のように貧しい地域で生まれ育った人間は、勝手に悪印象をつけられてしまいます。この偏見に挑むのが私の仕事だと感じています」と彼女は言う。「プロのモデルを撮影するのではなく、私と同じような境遇の人たちに焦点を当てています。独特な複雑さや二面性を持っていて、とても魅力的なのです」
「『黒人』という先入観以上に、私たちは複雑です。『黒人』と一まとめにされがちですが、当然ながら一人一人の個性が存在します。このプロジェクトを通して、その複雑な人間性を深く追及したいと感じました」
最新のプロジェクトでは、劣悪な環境で育った自身の記憶を深堀し、そこに住む人々について知ることで自身のルーツを忠実に探求した。新しいFUJIFILMX-H2と選りすぐりの単焦点レンズを手に、友人達とともにブルックリンに戻り、Trendsettersという素晴らしいシリーズを演出した。
「X-H2が大好きです。このカメラのおかげで本当に力強い作品を制作できました。フィルムを使っているかと聞かれることが多々ありますが、デジタルであると伝えるといつも驚かれます」
「このカメラは映像のような繊細さがあります。40MPの解像度は素晴らしい方法でアイデアを実現させてくれます。また、瞳AF機能が非常に優秀です。ポートレート写真家として必須な機能ですが、このカメラには類をみないものが備わっています」
最初の数枚は家族3人の愛情溢れるやりとりを撮影したものだ。ルイスヒートンに住むごく普通の家族が日常生活を送る様子を写している。
「家庭環境に焦点を当てたかったのです」とYolandaは説明する。「私の作品の多くは黒人男性の男らしさをテーマにしています。彼らの穏やかさや繊細さという、従来のステレオタイプとは正反対の一面を強調しました。極端に荒々しく見られているので、そのイメージを覆したいと思いました」
父と息子が楽しくひげを剃り合っている様子を参考に、Yolandaは温かみのある作品を制作した。父親役の男性はパートナーの髪の手入れにまで気を配り、愛情を表現している。ホットコームに焦点を当てた写真は細部へのこだわりが感じられ、リアルな暮らしを垣間見ることができる。
「このような親密な場面は、私の父と兄弟の関係をそのまま再現したものです。一般的に、髪を整える繊細な作業と黒人男性は結びつきにくいかもしれません。なぜなら、普段のイメージとは正反対だからです」
Yolandaは幼少期から青年期にかけて、大叔母に育てられた。ある意味、彼女の写真は自身の経験できなかった「典型的な」家庭を表現している。とは言っても、思いやりは彼女が生まれながらにして持っている感情です。
金銭的な余裕はなく、ましては機会も少なかったが、養母の努力によりYolandaは彼女の言う「愛に満ちた家」で育てられた。それは彼女の写真にも顕著に現れている。
Photos 2022 © Yolanda Hoskey | FUJIFILM X-H2 and XF33mmF1.4 R LM WR, 1/250 sec at F2.5, ISO 1600 | FUJIFILM X-H2 and XF16mmF1.4 R WR, 1/200 sec at F4, ISO 800
「何より人が大事で、その人が人生に与える影響は大きいと思います。自分が育った場所は変えられませんが、後悔していることは何もありません。むしろ、そのおかげで視野が広がりました」
「私の写真には細部に至るまで『誠実さ』があります。被写体同士の親密さを表現しています。批判や嘲笑を恐れずに感情を出すのはとても難しいと思います。私の両親は不在でしたが、いつも家庭内で愛情を感じていました。もっと多くの家庭がそうであるべきだと思いますが、その大半がただ生き延びるのに精一杯だということも理解しています」
「年齢を超越する知恵と視野を持っている女性に育てられたのはとても幸運なことでした。彼女は『自由な志を持ちなさい』と教えてくれました。環境はあくまで一時的であり、確定的なものではないと理解していたのです」とYolandaは説明する。
置いてある壺は単なる飾りではなく、Yolandaの将来を切り拓いた女性の遺灰を収めたものだ。周囲の期待を裏切り野望を叶えた彼女にとって、当事者である彼女独自の視点が、この地区を表現するのに必要不可欠だった。
また、自然な家族の写真に加え、粋なハイファッションと古びたアパートを融合することで、「黒人」「表現力」「スタイル」にまつわる先入観を解体している。
「ポップカルチャーではこのような人々は常に悪者にされ、取り残されています。しかし、そのスタイルのいくつかの側面は、常に広い文化圏で取り上げられています」と、彼女は説明する。「私たちのスタイルを多くのメディアが嘲笑しているのを見ますが、そのスタイルが流行り出すと、途端におしゃれだと言われるのです」
「歴史的に見れば、私たちのファッションは自分達を表現できる唯一のものでした。だからこそ存続させることが何よりも重要です。他の誰でもなく、私たちが定義します」
スタイリストのNtombi Moyoと選んだ衣装は皮肉めいた相違が際立つものとなっている。荒れ果てた建設中のビルのなかに被写体を配置するという特殊なテクニックを駆使し、背景とモデルの間にコントラストを生むことで興味深い作品に仕上げた。
「使用したレンズは全部で6本、すべて単焦点です。 XF16mmF1.4 R WR、XF18mmF2 R、XF23mmF1.4 、XF33mmF1.4 R LM WR、 XF35mmF2 R WR、 XF56mmF1.2 Rを使いました。」「ズームレンズでは得られない鮮明さがあります。また、レンジも広い。どんなニーズにも答えてくれました」
「空白が好きなんです。私はより広いレンズを使い被写体に近づいて撮影することが多いですが、その結果体や顔が歪み、ドラマチックに演出できます。そうすると表情がより強調され、とても面白い写真に仕上がります。
ファッションが再生・再利用される中、これらの周りにある本物らしさがそのスタイルを生粋でリアルであると位置付ける。人形とのやりとりを通じて、子供達の自己認識や世間からの評価に対して、いかに社会的プレッシャーが与えられているのかが表現されている。
頃、私たちは外に出る前に『身だしなみ』を整える必要がありました。身だしなみに気をつければ、困難や迫害の対象にされることが減るだろうという単純な考えからでした」
Photos 2022 © Yolanda Hoskey | FUJIFILM X-H2 and XF18mmF1.4 R LM WR, 1/80 sec at F2.8, ISO 800 | FUJIFILM X-H2 and XF23mmF1.4 R LM WR, 1/80 sec at F1.4, ISO 160
「検討の余地はあるアイデアでしたが、ある意味息苦しさもありました」
周囲の環境に関わらず、Yolandaの作品は純粋な自己表現を呼びかけ、そして見た目の個性を持つことの意味を訴えている。
「自然主義的な世界とハイファッションを並べ、一つにしました。私は本質を追求しています。それを見つけたときのみ、シャッターを切るのです。写真に個性を感じた時、初めて共感を得るのです」
「私の魂もそこにあることを願います」