2019.08.09

世界最古のスポーツイベント「Kırkpınar」オイル・レスリング

私はエミン・オズメン。マグナムフォトの写真家です。
私は母国トルコそれから世界中の人権侵害のドキュメンタリーに取り組んでいます。 2011年、東アフリカ飢饉、東日本大震災、ギリシャ経済危機の取材をしました。翌年は、イラクでのシリアの内戦とIS問題について取り上げ始めました。それからここ数年は、2つの長期プロジェクトに取り組んでいます。一つは、紛争のスパイラルに根ざした人口減少をテーマとた«Limbo»と、そしてもう一つはトルコで数十年にわたって広げられてきたクルド紛争をテーマにした«Hidden»です。

ごく最近の仕事は、南スーダンでの内戦の余波、ナイジェリアでのオピオイド危機、ニジェールでのボコ・ハラムとの戦いの人道的影響について取り上げました。 それから今年2019年は、ベネズエラでの経済崩壊の実態のレポートをしています。

ドキュメンタリー写真家として、私は人生のあらゆる瞬間を大切にしています。なによりも重要なことは、私たちが何者であるかを記録することです。現代的、社会的、政治的問題、そして世界を構成するすべての文化的価値。これらの瞬間を記録することで、私はそれらを次世代へと伝えていくのです。地域地域で営まれる行為を記憶し記録する、そうして文化を保存する。それが重要だと思うのです。

今回は、トルコとギリシャの国境にある都市、エディルネ市で開催されるキルディナール・オイルレスリング・フェスティバルに行きました。世界最古のスポーツフェスティバルとして知られ、多くの人々に長らく愛されていると聞いていました。

レスラーは「ペリバン」と呼ばれ(この名称は658年も前から使われているそうです。)アリーナでその力を競い合います。エディルネ市は、かつてオスマン帝国の首都でもありましたので、芸術分野でもスポーツ分野でも伝統的なものが多く残されているのです。

キルディナール・オイルレスリングは、この地域で最も暑い7月に行われます。気温は40度にも達します。アリーナに近づくと、最初に聞こえるのはドラムです。近づくと、歓声と叫び声が聞こえます。ローマの剣闘士を連想させる、アリーナ内の雰囲気は緊張しています。一年間の努力の末、誰も戦いに負けたくない。警察は不満を抱く支持者を収容するためにそこにいます。トルコには数多くのレスリングトーナメントがありますが、最も名誉あることはこのキルディナールで優勝することとされています。

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私はそこで3日間を過ごしました。最も激しい瞬間、つまり戦いに決着がついた瞬間を捉えようと思いました。そこには、一方の敗北、そしてもう一方の勝利が定まり、お互いの感情が噴出が見られるからです。また、レスラーを見守る何千人もの観客の心情の動き、変化を捉えたいと思いました。

試合の前後に人々がアリーナの外で毎日集まっているのを見るのは微笑ましいものです。たくさんの家族が屋台の真ん中でピクニックを楽しんでいました。子供たちは遊園地でメリーゴーランドを楽しんでいます。

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今年は、アリギュルビュズという選手が名誉ある第658回オイルレスリングフェスティバルのチャンピオンとなりました。

私は長年富士フイルムのカメラとレンズを使ってきましたが、一年前GFXを手にいれました。中判カメラですが、屋外撮影での実戦投入も可能なのです。非常に解像度の高いシャープな描写であることは大きな利点です。いままではずっと、GF45mmとGF63mmを使用してきましたが、最近手に入れたGF50mmは、サイズといい使いやすさといい、一層実用的なものだと感じました。シャープに写るのに、フォーカスには何のロスもない。これからは、このレンズで十分です。