2020.03.13 FUJIFILM

Tales of the X-T4: Tale 1 - Versatile Performance

X-HシリーズとX-Tシリーズ。
両者ともにパワースペックを追求するという共通項がある。
その時点での最高のハードウェアを選択するところは同じだが、この2つを分かつものは、Hシリーズはある特定の方向性にむけて尖らせることに使用するが、Tシリーズはより高次の万能性の実現を旨とする。そこに大きな違いがある。

Hシリーズが100m走や砲丸投げの専門種目の選手だとしたら、Tシリーズは10種競技の選手だ。とはいっても万能=器用貧乏、ということにはならない。実際に世界トップの10種競技選手ともなれば、いくつかの種目では専門種目でも立派にやっていけるほどの記録を持っている。

それでも1種目ないしは2種目は苦手種目を覚悟しないとこの競技は成立しない。どれだけ万能(=10種目)に近づけるかの戦いともいえる。ところが、1980年代 World Recordで8,500点を超えるようになると話は変わる。100mを10秒前半で走りながら、7.26kgの砲丸を15mも投げて、8m近くのロングジャンプをし、しかも1500mを4分30秒以内で完走する選手が現れるのだ。

2020年 3/5現在のRecord Holderは9126点を獲得したKevin Mayer選手だが、彼のパフォーマンスを見ていると、いまや10種競技は”万能”に近づく時代はすでに過去のものになっている。もはや、”万能”の究極値を追求する時代になっている。

話をX-T4に戻そう。X-T4は写真の10種競技でWorld Recordを狙っている。(機能)全部載せ、と言われたことがあるが、文字通り苦手種目、欠点は見当たらないはずだ。

IBIS搭載は言うに及ばず。新規開発されたシャッターユニットはレスポンス、フィーリング、耐久性すべて最高だ。そして、それらの新規ユニットを駆動させるために高出力・高容量になった新しいバッテリーNP-W235。これがなければ、新しいIBISもシャッターユニットも力が出ない。

それから新しいLCD、バリアングル化されたタッチスクリーンが搭載
されたことは静止画・動画の双方に対するコミットメントだ。そしてマグネシウムの外装。専門選手、X-H1を手本にいかにして剛性・強靭さを担保するのかを学び、コンパクトさを維持しながらも同等のタフネスを持つことになった。XF200mmF2などの重量級レンズを装着しても、ビクともしない。

しかもわずか600gそこそこのボディで。先に述べた10種競技のRecord Holder達も、2mを超える大男や、とんでもないバルクのマッチョというのはほとんど見ない。万能性を追求していく過程で、均整のとれたバランスも前提となるのかもしれない。

次回から、この万能を極めたX-T4の魅力をひとつづつ紐解いていきたい。