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2018.12.07 Stefan Finger

パーソナルベスト vol.4 | ステファン・フィンガー

Stefan Finger

1983年生まれ。デュッセルドルフとハノーバーを拠点に活動する写真家。
政治学と社会学で学士号を取得後、Political Communicationで修士号を取得。卒論は、写真の影響についてだった。学生時代、フリーランスの写真家兼ライターとして新聞社や通信社と仕事をした。2011年に、フォトジャーナリズムとドキュメンタリー写真について学ぶ。その期間、Frankfurter Allgemeine Zeitungでインターンを務める。 現在は、社会問題を取り上げた長期プロジェクトを掲げ、世界中を駆け巡っている。フィリピンのゴミ捨て場に住む人々に焦点をあてた記事では、CNNの"Journalist of the Year"や、"Mediaprice of the Kindernothilife"にノミネートされた。 2014年に、Insa Hagemannと共同で敢行したプロジェクト"Wanna Have Love? -Consequences of Sex Tourism"では、権威あるUNICEF Photo of the Year Awardを獲得。Schömbeger Fotoherbstは、Alfred Fried Awardに選出された。フォトエージェンシー laifに所属している。

2012年に初めてフィリピンを訪れた時、入国審査に並ぶ白人男性観光客に対し嫌気が差した。「フィリピンで最も安くセックスができる場所」や、「この国の女性達とできること」など様々な情報を交換していた。2年後、私はフィリピンのセックスツーリズム(売春を目的とした旅行)の実態を暴くために、同僚のインザ・ハゲマンと共に、再びフィリピンを訪れた。 この取材に対しての反響は凄まじく、権威ある「UNICEF Photo of the Year」など様々な賞を受賞し、国際的に注目され多くの人々がこのトピックに対して関心を抱くようになった。私が、フォトジャーナリストを志したものを体現した瞬間でもあった。

旅費も安いことから、フィリピンはセックス・ツーリストの人気スポットになっている。 ヨーロッパ、オーストラリア、米国から来る旅行者は、自国へ帰国した後、当地で起きる事を気にかけることもない。彼らの血を引いた何千人もの子供たちが、置き去りにされ暮らしているのだ。 白い肌、青い目または金髪の子供たちは、周囲の人間とルックスも異なる。 彼らの母親が売春婦として働いているかどうかに関わらず、「父親がセックス・ツーリスト」と罵られてしまう。 彼らは疎外と侮辱を経験し、自分のアイデンティティを探すために生涯を費やしている。 彼らのほとんどは、遠く離れた手の届かない別の世界に住んでいる父親を知る機会を得ずに生きているのだ。

写真:Insa Hagemann & Stefan Finger - X-T1 & XF23mmF1.4 R

フィリピンの法律上、売春は禁じられている。特に、熱心なカトリック教徒が多い郊外では、売春婦とみなされるとその地から追放されてしまう。しかしアンヘレス市では、売春はとても盛んだ。「セックスがなければただの汚い街」とセックス・ツーリストはインターネットの掲示板に書き込む。市街のフィールズ通りには全長2キロに渡りバーがあり、一軒当たり1,000人の女性がシフトを回しながら24時間働いている。

写真:Insa Hagemann & Stefan Finger - X-T1 & XF35mmF1.4 R

フィリピンでは、性行為のために直接お金を払わない。女性たちが働くバーは売春宿ではないからだ。かわりに、バーのオーナーにお金を渡すことで女性を外に連れ出すことができる。時に”バー・ガール”を数日間、または滞在期間中ずっと連れ出すこともあるという。連れ出された女の子達は男の食事を用意、洗濯をしつつ、セックスをする。コンドームが使われることはあまりない。4年前、フィリピンで避妊薬が法律で認めらた。

2014年4月、我々はフィリピンに1ヶ月滞在し、セックス・ツーリズムがどのような影響を生活に及ぼしているのか子供たちに話を聞いた。最初からオープンに包み隠さず話してくれる子達もいれば、警戒心を持った子達もいる。時間を掛けて、少しずつ信頼を得る必要があった。

写真:Insa Hagemann & Stefan Finger - X-T1 & XF23mmF1.4 R

子供たちは自分たちの夢を我々に教えてくれた。そして、カメラを持つ我々が、彼らと一緒に時間を過ごすことを許してくれた。大切なのは、子供たちが主導権を持っていること。彼らが我々と一緒に時を過ごしたいと思わない限り、無理に入り込まないことだ。取材には、X-T1を使った。その静かなシャッター音と小さなカメラボディとレンズが、子供たちの警戒心を解いてくれる。我々は、子供達の生活の邪魔にならないように徹底した。日が経つとともに、子供たちも我々を信頼してくれるようになり、日常の写真もたくさん撮らせてくれるようになった。レンズは主にXF23mmF1.4を使ったが、時にXF35mmF1.4やXF18mmF2も用いている。

写真:Insa Hagemann & Stefan Finger - X-T1 & XF23mmF1.4 R

我々のミッションは、体験したことと感じたことを世の中に広めていくこと。フォトジャーナリストはそうであるべきだ。この取材をもとに、我々は本を出版し、ドイツの「Chrismon」やフランスの「6mois」など複数の雑誌や新聞紙に記事を掲載した。この取材を通じて、子供たちの将来に関心を寄せてほしいと思っている。この近代社会に住む人として、一人ひとりに社会的責任があると思う。現実から目を遠ざけてはならないのだ。

プロジェクト「Wanna Have Love?!」

Insa Hagemannとの共同プロジェクトで、以下をはじめとした様々な賞を獲得した。

  • UNICEF photo of the year 2014
  • Winner “Schoemberger Fotoherbst 2015”
  • “Alfred Fried Photo Award”ノミネート
  • “Kolga Award 2015″ノミネート
  • “Festival’s Circle of Life 2016″ノミネート

Stefan Finger (左), Insa Hagemann (右)

雑誌「6mois」

本「Wanna Have Love?!」

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