2019.03.29 Luca Bracali

パーソナルベスト vol.20 | ルカ・ブラカーリ

Luca Bracali

世界138ヵ国を訪問し、10冊の本を出版、8つの国際的なフォトコンの賞を獲得した経歴を持つ。環境問題を取り上げた出版物が評価され2008年からApecsのメンバー。2009年には北極点にスキーで到達した唯一のレポーターになる。2010年からはファインアートの作品作りを開始。ローマやキエフ、コペンハーゲン、モントリオール、ニューヨークといった都市で展示会が開催された。2011年からはテレビ局Rai1のディレクターも務める。National Geographic誌でルポを執筆。

使用機材:

  • FUJIFILM X-H1
  • FUJIFILM X-Pro2
  • FUJIFILM X-T2
  • FUJIFILM X-T1
  • XF10-24mmF4 R OIS
  • XF16-55mmF2.8 R LM WR
  • XF50-140mmF2.8 R LM OIS WR
  • XF100-400mmF4.5-5.6 R LM OIS WR

北極圏 -発見の地

南極大陸を初めて訪れた2003年に、「Green Conscience (グリーンの良心)」計画を誰の力も借りずに立ち上げた。

その当時、南極のVernadksyベースで発見されたオゾン層の穴について議論されており、私はこのトピックについてもっと理解を深めたかった。ジャーナリスト達が行っていることは真実なのか?本当に地球は危険にさらされているのか?など自分の目で確かめたかったのだ。悲しいことに、これらは真実で、その状況は年々悪化している。

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    カナダ、ハドソン・ベイにて。しろくま親子が、例年だと凍っている地を歩いている。アザラシではなく、カニを食している。

  • スバールバル諸島にて。何ヶ月も食べられていない状況が続く夏の終わり頃 、クマは食べ物を求めて歩き続けるため、体力を失っている。

気候の変化による影響を最も受けやすいのが北極と南極圏だ。これらの地は、地球の鼓動の中心地でもある。警報は、この遠く離れた地から始まった。

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    カナダ、ハドソンベイにて。ブライアン家ではクマと犬が一緒に暮らしている。クマは犬とよくじゃれ合って遊んでいる。.

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    スバールバル諸島の名スイマー。凍った海の真ん中にある氷の上に登った後、クマは食べ物を嗅ぎ始める。

最初の旅行から5年後、私はカナダに行き、その後2008年にアラスカで、個人的なプロジェクト「Arctic Sun on my Path (北極太陽の道)」に取り組んだ。地球温暖化と繊細な北極圏生態系への影響を研究することが目的だ。

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    ハドソンベイ、カナダにて。吹雪により、あと数日でここは氷の地になるだろう。クマはその時旅にでる。

  • ハドソンベイ、カナダにて。近くの湖が凍ってきた。ホッキョクグマの歩く地が整備された瞬間だ。

次の年に、私はアメリカの科学者、ロシア人そして最後にイタリア人と一緒に研究を深めた。アラスカの永久凍土、北極点の氷、スバールバル諸島の空気を写真に収めた。私は、通常はアクセスできない、スバルバード・グローバル・シードボールトに入ることを許可された最初のフォトジャーナリストの一人だった。

ハドソンベイ、カナダにて。じゃれ合い、食物、異性など毎日のようにクマは争う。

炭素汚染は、地球にとって非常に破壊的だ。それでも、人間による破壊は止まることはない。

カナダ、ハドソンベイにて。地球温暖化を信じないものでも、この写真をみたら一目瞭然だ。

写真は表現の手段としてだけではなく、とりわけコミュニケーションの手段としても私にとって欠かせないやり方だ。写真の喚起力、この世で最も普遍的な言語を通して、私はこの惑星に対するより深い理解とより深い尊敬をもたらす経験と感情を人々に伝えることができる。写真を通して、すべての人々の心に直接話すことができ、喜びを刺激し、文化や言語を超えた重要な会話を刺激する。

アイスランド、ゴダフォス。気温が上がるにつれて、Godafossのような凍った滝は別の顔を見せることになるだろう

この地球で起きていることに関係なく、私のスタイルは常に自然の美しい面を見せ、滅びることを決して見せない。

アイスランドのokulsarlon。それは素晴らしいショーのように見えるが、それは実際には自然の災害。 Diamond Beachでは、ヨーロッパ最大の氷河であるVatnajokullから崩れた氷山が毎年流れ込む。過去80年もの間、毎年100メートル失われている。

20年後の世界はもはや同じではないだろう。しかし、写真の刺激的な力は、人々にこの物語を伝え続ける。北極圏とその静かな氷の世界は、過去の記憶となるだろう。

Ballstad、ロフォーテン諸島。このようなオーロラを使ったスタートレイルイメージを得るには200ショット必要だった。寒い気候では、60分以上のシャッタースピードに設定しないで、XおよびGFXシリーズに内蔵のインターバルタイマー機能を使用することをお勧めする。

一眼レフカメラを27年使い続けた後、自分自身の挑戦のために、2013年、所有する機材をすべて売り払い、ミラーレスに切り替えた。(8mmから800mmまでをカバーした40,000ユーロ相当のセット)。ミラーレスが未来であることを確信していた。そして、この新しいカメラ技術に懐疑的だった多くの人々がいる中、早々に新しいスタイルの旅行や写真に適応させることが、私に重大な利益をもたらすことをわかっていた。X-Pro1、X-E2、X-T1、X-T2、X-T3、そしてX-H1とGFX 50Sを所有する。レンズに関しては、XF8-16mm、XF16-55mm、XF50-140mm、XF100-400mm – そして時にはXF16mmF1.4とXF56mmF1.2を使う。X-H1が5軸ボディ内手ブレ補正で安定しているのがとても良い。写真撮影には有用で、ビデオ撮影では並外れた性能を発揮する。X-T3の裏面照射型センサーで撮れる夜間撮影、特にオーロラ撮影が大好きだ。ノルウェーのロフォーテン諸島とアイスランドを撮影したGFXシリーズも気に入っている。この中判カメラが創り出す見事な高画質な描写を目の当たりにしてしまうと、私の写真がもう一段上のレベルに到達できることを実感した。私は、近々再びシステムを切り替えるかもしれない!

スバールバル諸島にて。Nordenskjøldbree氷河は多年生。湾近く​​に隠れたこの氷の洞窟は本当に美しい。天井は青い泡で覆われており、酸素は氷の結晶に閉じ込められているので、光があらゆる方向に反射される。

グリーンランド、ディスコ湾にて。 Eqip Sermiaは、他の氷河よりも頻繁に色々なサイズの氷が崩れ落ちるので、 "細分化氷河"と言われている

グリーンランド、ディスコ湾にて。Jakobshavns氷河は最も深い場所では2,500メートルもあるが、過去10年間でそれは100メートル減少して、全長も15キロメートル後退した。

グリーンランド、ディスコ湾にて。巨大な氷の彫刻は海の上で静止しているように見える。実際には、氷山は1日17キロメートルの速度で動いる。

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