2015.08.19 FUJIFILM

One lens one story #1

XF14mmF2.8R、ラインナップで最もワイドな単焦点レンズ。
XF10-­24mmなど、この焦点域をカバーするレンズが他にもあるが、それでもこのレンズの魅力は少しも陰りを見せない。
実は、XFマウントだけでなく、全マウントを含めても超広角単焦点レンズカテゴリで、常にトップシェアを誇るレンズでもある。
その理由は、”Distortionが全く無い。超広角レンズでは仕方ないと諦めてたのは間違いだと知った”とまで評された、そのキレ味に代表される画質だろう。
実際にXF14mmは、光学設計のみで歪曲収差を徹底的にとるのに成功。
電子的なDistortion補正をしない。
この”電子的なDistortion補正をしない”ということの効果は思いのほか大きい。
なぜなら、電子的なDistortion補正の過程で、高周波成分が犠牲になるからだ。乱暴な言い方をすると、”電子的に歪みを直そうとすると、全体がシャキっとしなくなる”。XF14mmはそれを嫌い、光学のみで歪曲収差をとろうとしたのだ。
レンズ構成図を見てみよう、センサー面のかなり近くまでレンズが配されている。そして、絞りより後ろにも大径のレンズ群が配置されていることが分かる。光線を追いかけると、センサーに対し非常にまっすぐ光が当たっていることも分かる。光線の途中途中でも、極端な曲がり方をしている部分は見受けられない。全体を通じ、非常に素直で良好な光を得るための構成であることが分かるだろう。
いわゆる一眼レフでは、こんな設計のレンズはない。なぜなら、センサー前にはミラーボックスがあるためレンズを配置できないのだ。また、ミラーレス機ならどこでも出来るというわけでもない。開口部を広くとり、大きなレンズを配置できるようなマウントでなければならない。
画質という意味でも、設計という意味でも、最もXFマウントらしいレンズ。それが、XF14mmF2.8 Rである。

エピソード2を続けて読む:
One lens one story – エピソード2: XF23mmF1.4 R