2016.08.09

X-T2とコンサート撮影

6月末、デンマーク北部に位置するユトランド半島で開かれたNibe festivalというフェスへ、オフィシャルカメラマンとして旅立った。これは、ステージで常に変化するライティングをX-T2がどのように捉えるか試す事ができる絶好の機会でもあった。

この仕事に使ったカメラは、X-T2とX-Pro2。レンズは、主にXF10-24mmF4 R OISとXF50-140mmF2.8 R LM OIS WRを用いた。

ミュージシャンは、ステージ上でとてもエネルギッシュに動き回る。彼らをステージ上で追いかけるのは容易なことではない。気まぐれに動くので、追いかけるのも大変だし、ステージ上にある障害物がピントの邪魔をするので気を付けなければいけない。あらゆるフォトジェニックな出来事が次々に訪れるが、そんな瞬間を捉えるには、X-T2をAF-Cカスタム設定の「SET 5 激しい動きに強い」に切り替えれば簡単になことだ。ピントは、常にあっていた。3コマ/秒の低速連写に設定したが、とても満足のいく結果だった。X-T2は、とても頼りになるカメラだった。

新しいX-Trans IIIセンサーの描写と色再現をとても気に入っている。カラフルなステージライティングは、迷光によって肌の色合いをマゼンタ寄りにする傾向がある。だが、X-Transセンサーは、迷光に影響されることはないようで、肌の色合いがとても良好だ。そのおかげで、撮影後のレタッチも必要最小限で済んだ。コンサート終了後、急いで画像をメディア用のサーバーにアップロードしなければならなかったので、とても助かった。見た目通りの肌の色合いを、撮って出しの画像で再現できるので、私のワークフローはとても速く効率的だ。

その他にとても活躍したのは、チルト式液晶モニターだ。ステージ手前から構図を考えなら撮影することができる。盲目にシャッターを切る必要がなくなった。特に今回は、XF10-24mmを縦位置に構えて撮影することが多かった。

観客の中に混じりこんで、頭の上にカメラを構えて撮影することもとても簡単だ。小さなカメラなので、一日中手を挙げて撮影しても疲れることもなかった。

X-T2は、自由自在にその姿を変化する。それも、このカメラの面白いところだ。XF50-140mmを装着すれば、ステージアクトを捉える存在感あふれるプレス向けなプロ用カメラになる。XF35mmを装着すれば、あっという間に目立たないルポ用カメラへと変化を遂げる。おかげで、35mmのレンズを付けているとオフィシャルカメラマンと思われないので、観客のキャンディッドな瞬間を何枚も撮ることができた。

X-T2は、要求の多い写真家もきっと満足するだろう。幅広いシーンで使えて、どんな時でも素晴らしい写真を約束してくれる。