2022.01.31

More than Full Frame "Kohn for Future" Thai culture archiving project with UNESCO

KHON + Future

2021年12月 これまでの取り組み

新型コロナウィルス感染拡大の影響でプロジェクトの進行は遅れてしまいましたが、素晴らしいキャストを迎え、大規模なプロジェクトを遂行することができました。そして撮影の舞台裏は、それ自体がドラマチックなパフォーマンスだったと言えるでしょう。

Exhibition “Kohn + Future” at MOCA Bangkok

大型プリントと展示会

このプロジェクトの主な目的は、若い世代と伝統ある歴史文化を繋げること、そしてクリエイター同士が一致団結して大きな目標を持つことでした。

ユネスコの呼び掛けに応じたMOCA BANGKOK美術館、シリキット王妃陛下支援財団が共同で、2021年11月に「KHON+FUTURE」展を立ち上げました。この展覧会は、タイの若いアーティストや職人のためのアート奨学金制度を設立するための資金調達を目的としています。本展は今後1年間、多くの会場に巡回する予定です。

Exhibition “Kohn + Future” at MOCA Bangkok

一瞬を切り取る

今回私が重視したのは、これまでの作品とは異なり、タイ独自の文化である「Kohn」独特の複雑さと美しさを描き出すことでした。「Kohn」に関わる全ての職人や演者がもつ伝統、規律、技術、献身を描き出すことが非常に重要です。

撮影を追求していくと、タイ文化のあらゆる時代に組み込まれ、絡み合っているドラマチックで重要な歴史が浮かび上がってきます。これこそが「Kohn」に関わる職人や演者が持っている愛、想い、情熱であり、伝統芸能に宿る魂なのです。

「私は、Kohnに携わる職人の動きと正確さを表現したいと思いました。つまりダンサーが身につける装飾や織物を製作する技術です。

撮影では作品の動きとディテールの両方を捉えることが重要でした。複数のフラッシュと連続光を使った1枚を作り上げています。」

「最初のプロジェクトは、Khonの要素を捉えることでした。しかし、プロジェクトの規模と私たちの目標の重要性から、単なるアーカイブ写真で終わってはいけなかった。人々の想像を超える必要がありました。」

そのため、一人の写真家の作品だけではバランスが取れず、根本的に異なる視点を与えたいと考えました。そしてこのプロジェクトはSUPPORT Foundationの協力を得て10人のタイ人Kohnアーティスト、そして3人のファインアート写真家がコラボレーションするチャリティー展示としました。3人の写真家とは、キット・ベンチャロンクン、カンラペー・チョックパイブーン、そして私ウィリアムです。

© Kanrapee Chokpaiboon

GFX100の魅力

これは私が最初に言ったことではありませんが、中判カメラのユーザーとして「GFX100はゲームチェンジャーだ」と感じています。 システムの柔軟性は文字通り信じがたいほどで、このシステムの多機能性、適応性に匹敵する中判システムは他に存在しません。

GFX100のダイナミックレンジは、想像を超えるレベルです。ボディ内手ブレ補正は私のワークフローに全く異なるアプローチを与えてくれました。低照度下での手持ち撮影の際は、低感度のISO設定でも満足するレベルで使用出来ています。また高いISO感度で撮影しても画像は非常にシャープで、他の中判カメラと比較した際に、想像を超えるレベルのノイズの少なさです。

今回のプロジェクトにおいて、GFXは技術的な面でも、美しい色再現の面でも、素晴らしい成果を上げてくれました。 GFレンズも期待を超えるもので、撮影に失敗することはありませんでした。 テザリングの機能もしっかりしていて、不具合もない。 このカメラの使用感をレビューしましたが、確実に性能を発揮し、期待を超えてくれるプロのためのツールだと言えるでしょう。 撮影した作品とメイキング映像からも、このことを感じていただければと思います。

© Kit Bencharongkul

まとめ

これまでGFX 100と、ほぼ全てのGFレンズを使用してきました。私は非常にタイトで特殊なパラメータで撮影し、機材に対しても究極の解像度、カラープロファイル、高速なワークフローを要求します。私のワークフローにとって重要な要素は、私自身と私のチームの両方をサポートしてくれる、信頼性の高いブランドを選ぶことです。

富士フイルムは、このプロジェクトの実現に大きく貢献してくれました。彼らは、次世代のフォトグラファーやクリエイターの未来を信じ、製品開発だけでなく、ユーザーが何を必要としているかを理解した上で、ブランドパッケージ全体の最適化に取り組んでいるように感じます。

富士フイルムのような倫理観と献身を有する企業を私は他に知りません。これは、別の意味でゲームチェンジャーとなり、将来に向けた一歩を踏み出すために極めて重要な価値観だと思います。

© William Barrington-Binns