2016.06.14 Jason Halayko

Jason Halayko@レッドブル・エアレース千葉2016 Pt.2

「空でのF1」と呼ばれているRed Bull Air Raceは、今年日本で行われるイベントの中でも、最大級の盛り上がりを見せるスポーツイベント。今回のRed Bull Air Raceでの撮影は、昨年に続き二回目なので、心の準備と機材の準備は、昨年より良く分かった気がした。

「Red Bull Air Race」は、世界各地で開催され、レースに関わるスタッフは、このシリーズと一緒に世界中を飛び回っている。イベントの撮影を任されているカメラマン達も同じ。今回の仕事は、その3、4人のベテランカメラマン達と一緒に行動し、彼らから飛んで来る要求に応えるという仕事だった。このような仕事には、様々な困難があるが、ベテランカメラマンはどのように仕事し、どのように素晴らし写真を撮るのかを見る最高のチャンスだ。

「Red Bull Air Race」での撮影は、全5日間だ。最初の3日間は、飛行機やパイロット達が待機している「エアポート」という現場。その後のイベント本番の2日間は、メイン会場で撮影することとなった。

「エアポート」での3日間の撮影内容は、パイロットや飛行機整備士の素直な顔を撮影することだった。これは、もちろん飛行機のハンガーの中でも、飛行機が飛び出す瞬間のところでも撮影していた。この撮影では、僕のNikon D4sとFUJIFILM X-Pro2を同時に使っていて撮影した。僕は、カメラの重さで自分の動くを鈍くするのは好みではない。今まで、カメラ二台で撮影したことが無かったが、X-Pro2の軽さのおかげで、この二台のカメラを使っても全然負担を感じることはなかった。この現場の撮影は、すごく長かったので、X-Pro2は本当に軽くて非常に助かった。

「エアポート」での3日目の撮影では、「パイロットが飛行機に乗り込んで、飛んで行くところを撮って」と現場のボスにお願いされた。普段は、飛行機が飛んで行くところは立ち入り禁止で踏み入ることはできない。僕が、そこの中で撮影が出来るのはとても光栄だった。パイロット一人一人の撮影には、あまり時間がなかったので、ここもカメラ二台を同時に使うことにした。撮影の際には、様々なレンズを使ってみたりして、殆どのパイロットは、飛行機の近くでの撮影を許してくれたが、時々「魚眼」のようなスーパーワイドレンズを使ってパイロットのすぐ目の前で撮影しょうとしたら、少し嫌がるパイロットもいった。パイロット達が、大事な練習に飛んで行く前に、僕が絶対邪魔してはダメなので、この日の午後から、FUJIFILMのXF100-400mmレンズを使うことにした。パイロットが、飛行機に乗って心の準備しているドアップの顔を撮るには最適だった。後、400mmのような長いレンズを使うことで、飛行機から離れた場所から撮影ができ、パイロットが、僕のことを気にせずにいて、飛ぶ前の素直なかっこいい自然な表情を撮ることが出来た。それに、あるパイロット達は、僕に、すごく素敵な笑顔やピースサインを見せてくれた。

撮影が終えて、パソコンで写真を見ると、XF100-400mmで撮った写真の質は想像した以上に高く、大満足だった。それも、普段使っているD4sと70-200mmよりもシャープネスが上な気がした。さらに、XF100-400mmのレンズを付けても、X-Pro2は全体的にD4sより軽くて、一日中撮影しても、いつもほどひどい疲れを感じなかった。

飛行機の撮影以外にも、この三日間の仕事の一つに、朝一から映像クルーと同行する仕事があった。近所の神社へお参りに行く日本人パイロットの室屋義秀氏を撮影するのだ。撮影時間は、とても限られていて、映像クルーが撮影していると横で、僕も写真の撮らなければならない。このような時、映像クルーは、もちろんカメラのシャッター音にすごく敏感になる。「D4sで、写真を撮るのはだめだ。」と言われた。D4sには、比較的に静かに撮影出来る機能がついているが、それでもこのような繊細な現場では使いづらい。それに比べて、X-Pro2のシャッター音はすごく静かで、音声担当にも、X-Pro2のシャッター音に気づかれずに、たくさんのいい写真を撮ることが出来た。この現場では、X-Pro2がとても役立ち、写真の撮影も、映像の撮影もほぼ時間通りに終わることが出来た。

最後の二日間は、メイン会場の幕張での撮影だった。ここでの主な仕事は、もちろん飛んでいる飛行機のアクション写真を撮ることだったが、それとともに、サイドアクトと呼ばれたFMX、ダンス、パルコール等のパフォーマンスとRed Bull Air Raceを見に来て応援している人々の写真を撮ることも仕事だった。残念ながら、土曜日は強風で、飛行機のレースが中止になり、飛行機写真をあんまり撮れなかった。しかし、サイドアクトは、予定通り開催され、それの撮影に頑張り楽しんでいた。ここでの撮影は、Nikon D4sを使うことにした。なぜかというと、D4s内バッファーと使っているメモリーカードの読み込む速さの方が、X-Pro2より上だと感じている。X-Pro2にももっと読み込み速度が速いメモリーカードを使うと今より速くなるかもしれないが、それでもD4sの方が速いと思う。ブレークダンスやフラットランドBMXのような動くが速くてタイミングが難しいスポーツを撮影する時は、かなりの枚数を撮るので、写真のデータをメモリーカードに読む込む時間を待つ暇がない。だから、このような撮影の時にまだD4sを使った方が安心して撮影出来ると思っている。

最終日の午前中は、色々な撮影に追われたが、午後にようやく飛んでいる飛行機の撮影に集中することが出来た。ビーチ会場から撮影することになった。コース全体がが分かり、観客席にいる人たちも写真に入れて撮った。ここでの撮影では、FUJIFILMのXF100-400mmのレンズがすごく役に立った。このレンズ幅のおかげで、ワイドだけではなく、アクションまでズームすることも出来る。以前に書いた記事に書いた「置きピン」で、撮りたい構図を作り、飛行機が来たら連写で撮る。一回につき、3、4枚の写真なので、X-Pro2のバッファーとメモリカードでも十分に速い。上手く写真を撮れていたのだが、一つだけちょっと困ったことがあった。ビーチを移動した最中に、カメラが腰と擦れ合ってしまたことで、時々X-Pro2の上にあるダイヤル設定が動いていた。元に戻すのは簡単だが、この撮影では、1秒のロスでも大変なことが起こる時もある。ダイヤルは、もうちょっと硬めにしてもいいかもしれない。

今回のRed Bull Air Raceで、FUJIFILMのX-Pro2は、とても役に立ち、撮影自体も楽しかったので、普段使う機材の一つにしたい。X-Pro2の軽さと静寂性はとても魅力的だ。しかも、撮った写真の質が非常に高くて、Red Bull Air Raceのような大きな仕事でも、使えることを確信した。もちろん完璧だとは言えないが、D4sと一緒にX-Pro2を使うことによって、今まで撮れなかった写真も今回たくさん撮ることが出来た。これからもこのX-Pro2を色んな現場に持って行くことを楽しみにしている。

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Jason Halayko@レッドブル・エアレース千葉2016 Pt.1