2016.07.22 Kevin Mullins

カメラバッグの中に -Kevin Mullins

Kevin Mullins

ドキュメンタリーウェディング写真家。2008年にプロとして結婚式撮影を開始して以来、イギリスだけでなくヨーロッパ各地の結婚式を撮影してきた。ドキュメンタリー風に撮影するスタイルで、”伝統的な”結婚式写真ではなく、フォトジャーナリズムを通じて式のストーリーを表現するよう努めている。

私の名前は、Kevin Mullins。イギリスを拠点に活動する婚礼写真家だ。

2010年に、初代X100と出会ってから、Xシリーズのカメラを愛用している。それ以前は、重いデジタル一眼レフを使っていた。X100を試した時に、ミラーレスの時代が来ると確信をして、富士フイルムのカメラが仕事の仕方に変化をもたらしてくれると信じたんだ。

それ以来、結婚式やコマーシャル、ストリートなどあらゆるプロジェクトをXシリーズでこなしてきた。これまで、X100シリーズの3台、X-T1、X-Pro1とPro2、X-E2、X70を使ったことがある。

私の婚礼写真のスタイルは、”ドキュメンタリー”。仕込みなしで写真を撮る。撮影にあたって指示を出すこともない。起きている出来事をありのままに捉えるのが私のスタイルだ。

良い写真を撮るために、被写体の側にいる必要がある。小さくてコンパクトなXシリーズのカメラは、そんな時に力を発揮する。出来事の核心迫り、内面を写し出した1枚を撮ることができるんだ。大きなカメラで同じことをするのは難しい。

結婚式で使うカメラバッグと機材

今使っているカメラバッグは、FilsonのDavid Alan Harveyモデル。結婚式だけでなく、ストリートでも使いやすいバッグだ。現場では、素早く動くことが絶対だ。バッグの中に、3台のカメラを入れて持ち出している。
X-Pro2 x2台
X70 x1台

X-Pro2

クライアントに近づいて写真を撮る時、自分の存在をできる限りかき消すように心がけている。最近は、参列者の方が私よりも大きいカメラを構えることも珍しくなくなった。
これは、私にとって大きなメリットだ。なぜなら、私も参列者の一人として、その環境に溶け込むことができるからだ。
小さな黒い箱にしか見えなかったX-Pro1のデザインは、私にとって優れものだった。X-Pro2も、同じデザインコンセプトなのでとても嬉しい。このカメラは、本当に目立たない。周辺環境に溶け込み、素早く撮影することを可能にしてくるカメラなんだ。

お気に入りの画角は、35mmと85mm相当。なので、Xシリーズでは次の2本が私の定番だ。
XF23mmF1.4 R
XF56mmF1.2 R
18mmF2 Rと35mmF2 R WRも念のため持っていくようにしているが、最近撮影した結婚式のほとんどは、23mmと56mmのレンズで全ての写真を撮った。

最新のファームウエアを搭載したX-T1は、とても機動性に優れたカメラで、私もよく頼りにした一台だ。X-Pro2は、それをはるかに上回る機動性を持っている。X-Pro2のセンサーとプロセッサーは飛躍的な進化を遂げていた。
ファインダーを覗きながら、決定的瞬間を捉えることは当たり前。だが、それ以外にも、ゾーンで被写体を追従したり、腰あたりにカメラを構えてローアングル撮影することもよくある。そんな撮影も簡単にしてくれるのがX-Pro2だ。
X-Pro2は、ドキュメンタリーにパーフェクトなカメラだ。カメラをAF-Cに設定して、被写体を追いかける。フラワーシャワーの時はよくこのモードで撮影をする。

X-Pro2はとても軽い。2台持っていてもそんなに重くない。結婚式を撮影する時、カメラバッグを車に置いていく。1台は、手に持ち、もう1台を肩かSpider Holsterにぶらさげるのが私のスタイルだ。
X-Pro2の測光はとても正確で、大いに活躍する。1台のカメラは、測光方式をスポットに設定して56mmのレンズを装着する。自然光だけを頼りに撮影をするので、使える光源はできる限り使いたい。そんな時に、スポット測光に設定されたカメラが役に立つんだ。どんなに柔らかいライティング環境でも、力を発揮してくれる。

電子シャッターも忘れてはならないX-Pro2の機能だ。セレモニーが静寂な時は、このシャッターが役に立つ。
誰一人と言葉を発せず静かな時でも、電子シャッターのおかげで、セレモニーを妨げることなく写真を撮ることができる。カシャ、カシャとシャッター音で神聖な儀式の邪魔をすることはもうなくなった。X-Pro2は、メカシャッターもとても静かだ。だけど、電子シャッター無音だ。

instax SHARE

instax SHARE SP-1も現場へ持っていく。そうすることで、撮影した写真をiPad経由(Snapseedを使って編集)でその場でプリントして新郎新婦にプレゼントすることができる。

カメラとおなじで、instax SHAREもコンパクト。持ち運びに困ることはない。

X70

X70は、最近使うようになったカメラで、結婚式でも3台目のカメラとして活躍している。だけど、このカメラの真髄は、ストリートフォトにある。とにかく小さくて軽い。携帯電話より小さいくらいだ。被写体に思い切り近づいても気づかれることもない。

X70に、WCL-X70を装着するととても面白い画角の写真が仕上がる。
X70で撮影する時、被写体との距離を本当に縮めることができる。正確には、被写体となる人々が街中を歩き、私に近づいてきても、私がカメラを持っていることに気づかないと言うべきだろう。
どんな撮影でも私が大切にしていることは、日常の人々を捉えること。これは、スナップ撮影では特に重要だ。そんなリラックスした瞬間を捉えることが私の写真の醍醐味だ。

写真:Kevin Mullins