写真に対する私の情熱の原点は、最も美しく最もワイルドな側面において、自然と私自身を結びつける絆から生まれました。自然の中で過ごす時間は存在感のある印象の探求に例えられ、その印象の探求においては光と美の探求が私の美的指標でとなっています。

イメージと風景に対する私の情熱をもって、私は十数年前にプロの写真家になりました。私の活動は、本の出版やフォトグラフェデュモンド(Photographes du Monde:フランス国内外のアートギャラリーでプリントの販売を手掛ける会社)が主催する撮影旅行に同伴するカメラマンという立ち位置によって成り立っています。

私が風景写真に求めるものはシンプルで力強い写真で、被写体の本質に関わるものです。すなわち、本質的なものの探求です。私のアプローチは示唆的なものです。被写体をありのままに見せるのではなく、被写体が何を表現しているのかを見せることを目指しています。それが私の物語の伝え方であり、私の感性を翻訳する方法です。さらに私が拘れば拘るほど、アプローチはミニマリズムに傾いていきます。
最初は被写体を単純化することから始めましたが、今では、Evanescence(はかなさ)やElements(要素)といった自著にあるように、モノクロの光を扱うために色を単純化しています。この2冊の写真集は、私の近辺から北欧諸国まで、洗練された雰囲気をテーマにしたものです。15年の間に撮影した写真をそこにまとめています。

新しいカメラGFX100S IIで撮影するこの一連の写真のために、私は自然とポルトガルの大西洋岸に行き、ナザレの巨大な波に遭遇しました。この場所の海底地質は、驚異的な波の出現に好都合な自然の峡谷を呈しています。1995年以来、国際的なサーフィンのホットスポットの1つとなり、世界で最も高い波(26メートル)の記録を持っています。これらの波は、スリルとカンフル剤を求めるチャンピオンのためのもので、美観とスポーツパフォーマンスの両方において幅広く観客を魅了しています。

私を含む多くの海好きがやって来ては、壮大な方法で自己を表現し、私たちを謙虚にさせるありのままの自然の力を発見します。強風と6メートルを超える波という好天の条件を利用して、極限状態の中で最新のGFXを使った一連の撮影に挑戦しました。GFXはこのカテゴリーで最もポータブルで、1億画素のセンサー、最新世代のオートフォーカス、ハイレベルな手ブレ補正、7コマ/秒に達する連写のパワーを組み合わせて持っています。

波をテーマに首尾一貫かつ多様な一連の画像を作成することは、私にとって真の挑戦でした。私は、フィールドの要件や自由にアプローチできない被写体に合わせるため、幅広い焦点距離をカバーするズームレンズを使用しがちです。そのため、GF250mmF4 R LM OIS WRレンズにGF1.4X TC WRコンバーターを追加したものを選択し、また周辺の撮影用にGF100-200mmF5.6 R LM OIS WR、GF32-64mmF4 R LM WR、GF20-35mmF4.0 R WRレンズを選択しました。

2017年からGFXシステムを使用している私は、GFX 50S、50 R、100、100S、および100 II のカメラを手にする機会がありました。GFX100S IIは、GFX100S同様ホールドしやすいグリップを備えており、重量は900グラム未満に抑えられています。これは、私のように、フィールドでの移動の障壁となる可能性のあるバッグ重量の心配をする全ノマド写真家にとって貴重な財産です。ミニマリストフォトグラフィーの支持者として、このカメラは“less is more”という英語表現(少ないほどよい、過ぎたるは猶及ばざるが如し)の意味がそのまま当てはまるカメラであるといえます。ビューファインダーを覗くと、このカメラの特徴である解像度とリフレッシュレートが大幅に向上しているため、画像の精巧さに驚かされます。現場では、GFX100S IIは信じられないほどのディテールとニュアンスに富んだ画像を生成します。自分の写真を見る度に、その解像度に感銘を受けます。
手ブレ補正は8.0段まで向上し、GF250mmF4 R LM OIS WRレンズ+テレコンバーターにより比類ない快適な撮影が実現します。1/100秒以下でシャープな画像を撮影することが可能になり、手持ちでも風の影響を克服することが可能になります。

私の作風では、色と光の精巧さを復元するために、広いダイナミックレンジを備えた非常に高精細なカメラが必要です。これまでのミッションは第1世代のGFXで達成できましたが、波の動きを捉え、水滴の飛散の問題を解決するためには、十分な応答性と主要な被写体を捉え続けるオートフォーカスが必要でした。今回も、オートフォーカスが人工知能によって強化された、この非常に成功したバージョンの進歩を見ることができました。これは超高速、正確、かつ静音で、動き、干渉要素、光の急速な変化、強いコントラストが組み合わさった特に難しい被写体にも非常に柔軟に対応します。

このGFX100S IIの進化はそれだけにとどまりません。ダイナミックな被写体では、フランスの写真家アンリ・カルティエ=ブレッソンが大切にした「決定的瞬間」を捉えることが不可欠だからです。波が砕けるとき、シーンの最終的な描写を予測することは非常に困難です。シングルショットでは不十分なことが多いです。多くの動きのある要素は目では知覚できないため、素早くバーストするだけでまさにその瞬間を捉える可能性が高まります。今回もそうですが、GFXシステムは、私が撮りたい画像に適応しながら、画質の限界を押し広げます。私が写真機材に期待するものに安心感を与えてくれる選択肢です。
撮影の難しさを克服できたこのカメラの卓越した描写を最大限に活用するために、これらの画像を非常に大きなフォーマットでプリントできることを今から楽しみにしています。次の旅行や写真展のために、私のカメラバッグの中で特別な場所を占める相棒となるでしょう。