2015.05.08 FUJIFILM

FUJINON Speed Lenses "伝説の復活" #2

“FUJINON Speed Lens”伝説の復活の第二回である。
1954年に発表された、FUJINON 3.5cm F2。
同時に発表されたFUJINON 5cm F1.2のスペックも目を見張るものがあるが、当時としては注目度が高かったのは FUJINON 3.5cm F2の方だったかもしれない。なぜならば、焦点距離35mmでF2という明るさは当時・世界初の性能だったからだ。
当時の製品資料やレビューを見ると、”(普通とは違う)明るい広角レンズ”の使い方、などが紹介されている。”新しい写界”という言葉も見られる。
時代は変わる。
広角レンズの概念は拡大され、今や35mm画角を”広角レンズの入り口”という位置付けになっている。そして大口径化も進み、XFレンズでは35mm画角で”F1.4″も達成されている。
しかしフジノンの設計思想は変わらない。
“新しい写界”、””(普通とは違う)明るい広角レンズの使い方”、FUJINONは常にそれを求める。60年経ったFUJINONが、現在取り組んでいるテーマは”開放からシャープ”な大口径レンズだ。
“シャープさと、大口径特有の豊かなボケの両立”と言い換えても良いかもしれない。キリリとした描写のセンサー面を解像のピークとし、そこから美しいグラデーションを描くようにOut Focusへとつながる。そのピークは高く、そしてグラデーションは前も後ろも滑らかに変化する。それが、FUJINON XF大口径レンズの思想である。
しかし、そこまで追い込んだ設計のレンズを作ることは従来では考えられなかった。なぜならば、一眼レフでもレンジファインダーでも、像面とは違う部分でピント位置を測定するため、一定の製造誤差・設計誤差を吸収するマージンを設けなければならなかった。

像面でピント位置を測定するミラーレス構造ができたこと、そして超高周波まで解像するX­Trans CMONセンサーができたこと、その二つがあって、現在の”FUJINON Speed”レンズの必然性が出たとも言えるだろう。

エピソード3を続けて読む:
“伝説の復活” エピソード3