2017.04.05 Takashi Nakagawa

FUJIFILM X100Fと2つのコンバージョンレンズ

Takashi Nakagawa

1981年京都府生まれ。世界中を旅し、ストリート&ドキュメンタリーフォトを撮影している。ナショナルジオグラフィックを始め海外のメディア、雑誌、写真集に作品が掲載されている。ナショナルジオグラフィックトラベルフォトグラファーオブザイヤー、その他国際写真コンテスト受賞歴多数。

私はこれまでX-T1、X70、そしてX-Pro2と共に世界を旅してきた。それぞれのカメラに素晴らしい特徴がありとても満足している。それでもX100Fを初めて使った時の高揚感はこれまでで一番だった。手に持って日本文化の中心地である京都を歩きシャッターを切った瞬間、これこそが理想のカメラだと確信した。コンパクトで軽い上に見やすいビューファインダーと静かなシャッター音、直感的に操作できるデザインに加えて早いAFは決定的瞬間を逃す事がない。現在ストリートフォトグラファーにとってこれ以上のカメラは他に存在しないだろう。

X100Fは私が好きな画角(35mm判換算で35mm)の単焦点レンズを備えるだけではなく、二本のコンバージョンレンズがある。この28mmと50mm(35mm判換算)のレンズがX100Fの可能性を大きく広げている。私が一眼レフからミラーレスカメラに移行した時の一番の不安材料は、レンズ交換時にセンサーがむき出しになることだった。埃、雨、潮風があるところではとてもレンズ交換はできない。実際に何回かセンサーにゴミがついてがっかりしてしまった事がある。しかしコンバージョンレンズはこの問題を簡単にクリアしている。そしてレンズの取り外しも素早く行えるし、今回新しくなったコンバージョンレンズは自動でカメラが認識してくれる為、セッティングを変える必要もない。また、デジタルズームを使えば35mm判換算で28mmから100mmもの画角をこのコンパクトなシステムでカバーできてしまう。このカメラとレンズの組み合わせ はまさに最強の旅カメラとも言えるだろう。どうしてももっと広角や望遠が欲しいというシーンには出会ってしまうものだ。

私は、2年前から故郷である京都の撮影を始めた。世界中を旅した後で京都を客観的に見ると、この街がいかに素晴らしいか再認識できたし、独自の文化や街並みを捉えることに加えて自分自身のルーツを探ったり子供の頃の記憶を思い出しながら撮影を続けている。京都という街の特徴は、とにかく道幅が狭い。ここ最近は、X-Pro2に35mm(35mm判換算)の単焦点レンズ一本で撮影してきたが、京都では28mm(35mm判換算)のレンズが必要だと感じている。X100Fとコンバー ジョンレンズはこのプロジェクトに必要不可欠なシステムだ。

X100Fは、写真を愛する全ての人にとって理想的なカメラだと言える。レンズ交換が出来ないカメラに抵抗感があった方々は、コンバージョンレンズと共にぜひトライして頂きたい。もっと写真の事が好きになるはずだ。これまで多くの写真家をこのカメラが魅了してきたように。