2018.05.14 Heinz Zak

X-H1で撮るフリースタイルスキー・スノーボード

Heinz Zak

ハインツ・ザック(1958年オーストリア・ヴェルグル生まれ)は、30年以上に渡って、カルヴェンデルの麓に位置する町、シャルニッツで暮らしている。彼は「自分の」山を、一年中、好きな時間帯に、日がな一日上ることを繰り返している。
ハインツ・ザックというこの多彩な男は、作家であり、写真家でもあるばかりではなく、定期的に開催される写真講座で講義をし、登山ガイドを務め、アウトドア活動や登山に関するセミナーも主催している。彼が発表するプレゼンテーションには、毎年毎年何千人もの熱心な参加者が来場し、さらに彼が撮影する写真は、雑誌、書籍、およびカレンダーに掲載されている。

その当時未発表だったFUJIFILM X-H1の撮影オファーを富士フイルムから貰った時、本当に光栄だった。ヨーロッパ中を見渡しても、誰もまだこのカメラを使ったことなかったのだから。このカメラの新機能の1つに、スローモーション(毎秒120フレーム)の動画撮影がある。この機能を最も生かせるのは高速アクション。それに、このスローモーション撮影機能は、野外での静止画・動画撮影に私が最も必要とした機能の一つだ。X-H1の登場でようやく、静止画撮影、ブレない4K動画、HD画質でのスローモーションが1つのカメラに集約された。ようやく、私のニーズに合ったカメラを手にすることができたのだ。

当初は険しい山の斜面を滑るフリーライダー達の撮影を計画していたが、幸運なことに、シュトゥーバイ氷河で開かれるフリースタイルスキーのイベントを知った。世界最高峰のフリースキーヤーとスノーボーダーがプライムパーク・セッションとシュトゥーバイ・ズー・スノーパークで競い合うのだ。
仕事で撮影する時は、可能な限り緻密にプランを立てた上で撮影に取り組みたいと思っている。屋内環境、特にスタジオではライティングを調整することでイメージする画を創りだすことが出来る。 屋外撮影の時は、 背景の空が広いほど、写真表現の幅が広がる。自然光が芳しくない時は、できるならば別の日に延期したほうが良い!
今回は、いろんな意味でとてもラッキーだった。まず、トップクラスのアスリートが難易度の高い技を駆使して競い合う大会に巡り合った。次に、シュトゥーバイ氷河のコンディション・天候共に良好で、青空がとても綺麗だった。そして、最後に今回の撮影パートナーは古き友人達Stefan FritscheとTobi Margreiterだったんだ。

カメラのシャッタースピード、ISO感度、絞り値の設定を念密に調整する必要がある。ここには、氷河から反射する明るい光がある。そんな環境では、Xシリーズ特有のダイヤル操作がとても便利!瞬時に必要な設定値に変更できる。パートナーが持つカメラの設定も同様に瞬時に変更可能だ。
本番に向けて、まずこの高速アクションに慣れる必要があった。選手との距離が近いほど、ファインダーを覗きながらアクションを追い続けるのはとても困難。本当に速いので、NDフィルターを外して、シャッタースピードを1/500秒に再設定する。絞りは、F8とF11間で調整することでシャープな画像を撮れるようにした。露出は、基本的にマニュアルで設定する。
キーポイントの1つは、フォーカスをマニュアルにすること。世界中何処を見渡しても、このアクションのスピードに追いつけるAFシステムは今現在ないだろう。特に、青空が広がり、強い日差しの下撮影をしなければならないこの環境において。X-H1で適度な距離にピントを置いているか確認するのは、リアコマンドダイヤルをプッシュするだけ。そうすることで、拡大表示に切り替わり、ピントの精度が瞬時に分かる。フォーカスポイントの色を赤に変更することもでき、見やすくなったのもとてもよかった。
技を披露している瞬間を3つの異なるアングルから正しいシーケンスで撮影するには、適切な撮影ポジションとレンズの選択が極めて重要。こういった大会では、許可された撮影ポイント写真家はとても限定的。だから、FUJINONズームレンズXF10-24mmF4とFUJINON XF16-55mmF2.8が欠かせない。遠くからの撮影では、XF100-400mmF4.5-5.6、XF55-200mmF3.5-4.8、XF50-140mmF2.8を使うんだ。
手になじむグリップもとても大切な要素。我々が撮影する環境の気温はとても低い。冷たい風が突き付けてくるのでグローブを着用したままシャッタースピードやISOを変更できるダイヤル操作がとても嬉しい限り。

もちろん、静止画の撮影も同時に進行する。バッテリーグリップをつけると最大11コマ/秒の連写が可能になる。連写モードでは絞り値をF16までさらに絞りこむ。そうすると、太陽の形がさらに星型に際立つんだ。フォーカスや露出は全てマニュアル。シャッタースピードはだいたい1/2000か1/4000あたりに設定する。
X-H1のボディ内手ブレ補正の性能はすこぶる良い。それとバッテリーの持ちも思いの外よかったので撮影に集中できた。

X-H1は、私の念願の機能が詰め込まれたドリームカメラ。これこそ私が求めていたカメラなんだ!