
Yaman Ibrahim
「ワウブラン(ムーンカイト)」の文化とその源を再訪する
私の名はヤマン・イブラヒム。プロのFUJIFILM Xフォトグラファーで、マレーシアのクアラルンプールに拠点を置いています。旅行、ドキュメンタリー、それと過去数年間得意にしてきたスタジオ撮影を含むポートレート、それらを中心に、写真に対する私の情熱と専門知識は高まっています。私は自分のプロジェクトでFUJIFILM X-Pro3を使うというすばらしい機会を与えられました。そのプロジェクトとは、ワウブラン(ムーンカイト)を作る伝統的な技術を写真に撮るというものです。
このシリーズでは、カイト職人の魅惑的なスキルを観察することができました。マレーシア半島東海岸にあるケランタン州の有名なカイト、ワウブランを、繊細なデザインとタッチを組み合わせて仕上げていく職人技、それを観察するのです。
FUJIFILM X-Pro3を使用すると、伝統的なカイトを作る骨の折れるプロセスの、一つひとつのステップをとらえることができます。忍耐と気遣いが極限まで要求されるプロセスを経て、この上なく美しいワウブランができ上がっていくのです。
ワウブランのフレームを作るには、乾燥させた竹の骨を注意深く選び、それらを加熱して然るべき形にします。弱い炎を使って加熱することで、骨を狙いどおりの形にたわめていきます。プロセス全体を撮っていくうえでは、液晶スクリーンを簡単に折りたためる点が実に便利でした。アングルを変えるときは特にです。職人のさまざまな動きを大きなパースペクティブで確認し、一つひとつの手順の詳細を簡単に、そして快適にとらえることができました。
次のステップはワウブランのフレームに紙を張ることです。特別な色の紙が使われました。パターンと伝統的なモチーフによる複雑なデザインが紙に刻み込まれ、目を奪うようなアンサンブルができ上がりました。そしてここで、FUJIFILM X-Pro3の光学/電子ハイブリッドビューファインダーが私を助けてくれました。解像度、コントラストと明るさ、色空間の広さ、そのどれもがすぐれているので、この特別なカイト、色のバリエーションと深さを特徴とするこのカイトの、伝統的な彩りを強調することができました。
完成されたワウブランには高さが3メートルにもなるものもあります。世界中で作られるどのカイトよりも大きいのがふつうです。ワウブランの目立つ特徴は、伝統的な精緻なデザイン、さまざまな色の組み合わせ、そしてカイト職人の技がつくりだす細部のみごとさです。
飛翔するワウブランを撮影しているときは、野原を吹き抜ける午後の風のようなさわやかさを覚えます。X-Pro3の高速フレームレートと人間工学に基づいて設計された形状のおかげで、私は一歩先のアクションにより集中できます。フレーム内にとらえたワウブランは空に固定されたかのように見え、達成と成功のおごそかな雰囲気をかもし出していました。
私が作品を写真で表現する際、独自の傑作を産み出そうとするアプローチにおいて常に最前列にあるものは、活気に満ちた絵のようなストーリーテリングの要素です。富士フイルムX-Pro3カメラを使用すれば、それはもっと説得力のあるものになるでしょう。X-Pro3のレトロでクラシックなデザインと形状は、自分がフォトグラファーであることを、全体としての結果を支えるものは創造性とプロ意識であることを、常々私に思い出させてくれます。その一方で、最新のすべての光学技術とセンサー技術も積極的に取り込まれています。X-Pro3は、控えめでありながら、瞬間を撮ることのできる本格的な未来のツールです。