
開発秘話vol.2 ラージフォーマットと小型軽量
写真愛好家のジレンマとも言える現象がある。気軽に写真を撮るうちに楽しくなって、より高画質のカメラを手に入れたくなるのは自然なことだ。画質に比例してカメラは大きく重くなる。その結果としてカメラをいつも持ち歩けなくなり、写真を撮る機会が減ってしまう。
良い写真が撮りたいと思ったら、特にスナップのように身近なものをモチーフにするジャンルでは、カメラを持っている時間が長くなるほどチャンスは増える。そのためにもラージフォーマットと少しでも長い時間を一緒に過ごしてほしい。小型軽量化は必須だった。

ときを同じくして、レンズ設計チームから非常にコンパクトなレンズ設計のアイディアが飛び込んできた。ラージフォーマットで初めてのレンズ一体型カメラ。手で包み込めるほど細く、小型カメラと遜色ないほど薄い。これならこれまでのGFXシリーズと比べても劇的なサイズダウンが見込める。
あとはボディ全体のサイズをどこまで小さくできるか。それはXシリーズの実績と経験があっても未知の領域だった。

X100VIをそのまま大きくすればいいのでは?そう単純な話ではない。
レンズの機構設計を新規で見直し、新たなレンズユニットの構造を開発。グリップやファインダーの突起がなく、ただでさえスペースが限られたレンジファインダースタイルのボディに高品質なメカ機構を収めるため、レンズユニットから電池周りの構造に至るまでカメラ内部の設計をゼロベースで見直し配置を最適化した。レンズ設計チームやメカ設計チームをはじめ、プロジェクトチーム全員が一丸となって、これまで成し遂げたことのない驚きの小型軽量を実現することができたのだ。

精密機器の小型化は、ダイエットというよりもトップアスリートが限界を越えるための減量を思わせる。小さな積み重ねの結果、ラージフォーマットとして驚くほどのサイズダウンを実現。X100やX-Proシリーズのファンが手にしても馴染みやすく、首や肩から下げて一日中歩いても負担にならない軽さ、専用のカメラバッグではなく普段使いのカバンに収められる大きさになった。

一方で、X100VIと比較して、重量の分だけ落下などの衝撃に対して高いタフネスが求められた。メカ機構設計のなかで新たな耐衝撃構造を組み込み、気軽にどんなときでも持ち歩くことを影でサポートしている。プロテクトフィルターとアダプターを組み合わせることで防塵防滴仕様になるところもX100VIと同様。
GFX100RFはX100VIの拡大コピーではない。ラージフォーマットの卓越した画質を、身近に使える小型軽量で実現したことで、GFX100RFのコンセプトはここに極まった。