2016.07.05 FUJIFILM

バッテリーマネジメント術

ミラーレスカメラというのはその構造上、ファインダー像を得るために常にセンサーおよび表示デバイス系を駆動させておく必要がある。そのため、どうしてもバッテリーの保ちという意味では一眼レフに比べると分が悪い。
その対策として、複数個のバッテリーを携帯するユーザーも多いだろう。幸い、Xシリーズは、初号機であるX-Pro1から最新機種のX-Pro2に至るまで、レンズ交換式のモデルでは同じバッテリーを採用しているので、複数機のXシリーズを駆使しているユーザーは、2~3つのバッテリーを持っているのも珍しくないようだ。バッテリーの重量もせいぜい45g前後。10個以上携帯するX-Photographerを見たこともある。
しかし、他にバッテリーをマネジメントする方法はないのだろうか?沢山持ち歩くのは有効な手だが、それでも最後の1本になったときに、どう節約するのか? それを考えるための情報として覚えておくといいことがある。
X-Pro2にはパフォーマンス設定という項目がある。これは、文字通りカメラのパフォーマンスをコントロールしているわけで、フルスペックを引き出す性能重視の”ハイパフォーマンス”、撮影枚数重視の”エコノミー”、バランス型の”スタンダード”の3つがある。

しかし、これに加えてX-Pro2の場合、HMVF機ゆえに何を表示デバイスにするかという概念が加わる。つまり背面液(LCD)で見るか、EVFで見るか、OVFで見るかである。以下のマトリックスを見てもらいたい。
基本的にはOVF>LCD>EVFの順で省エネになっている。OVF使用時は、AF動作時以外はセンサーを駆動させずにすむのでバッテリーの消耗が少ない。またLCDよりもEVFのほうが消耗が激しいのは、LCDよりもEVFの方が表示品質が高いことにその理由がある。液晶パネルそのものは小さいものの、85fps236万ドットのパネルに適した情報を入力するために、センサーをフルに駆動させる必要があるからだ。(※LCDは54fps162万ドット)

実際は、撮影シーンに応じてOVF⇔LCD⇔EVFを行き来することになるので、何かのモードで固定して使うことはないかもしれない。しかし、バッテリーに余裕がないとき、不必要なパフォーマンスを選択しているとしたら勿体無い話だ。
三脚に据えて、落ち着いて風景撮影に取り組むときは、大きなLCDを見ながらのほうがよいだろうし、パフォーマンス設定は”エコノミー”でも十分だ。
街に出て、スナップシュートを試みるならば、X-Pro2の最大の持ち味であるOVFをメインに使うのが良いだろう。AF速度は早い方が良いから、パフォーマンス設定は”スタンダード”にしておく。それでもデフォルト値よりもはるかに持つ。
そして、ここぞというとき。ないしは潤沢なバッテリー補給体制にあるときは、”ハイパフォーマンス”の一手だろう。85fpsという数値は人間の目のほぼ限界に近い。なめらかな動きで被写体を追うことができる。ちなみに、光学ファインダー上に小窓を使ってスルー画を表示する、エレクトロニックレンジファインダーはEVFと同じ扱いになる。

さて、設定によるバッテリーマネジメント術を書いてきたが、実はもっとも効果的なのはこまめに電源を切ることだ。上記の撮影枚数の試算は、CIPA規格に沿っている。それは30秒に一度シャッターを切るというものだ。つまり250枚撮影なら、125分撮影に置き換えられる。

125分のうち、アイドリングタイムが何分あるのかは分からないが、不要なときには電源をOFFにしておくのが良い。X-Pro2は起動時間もとても短い。0.4秒で起動する。